Palm
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Palm (パーム)は、ジェフ・ホーキンスによって開発されたPDAの名。
同時に、それを製造・販売する会社Palm社(旧palmOne)、そのPDAに搭載されるオペレーティングシステムであるPalm OSを指し、さらに同OS搭載のPDA全般を指してPalmと呼ぶこともある。
目次 |
[編集] Palmの哲学
昔は Newton と、今は Pocket PC と良く比較される。
Palmの特徴は「禅 of パーム」といわれるフィロソフィーで強調され、限られたリソースを効率的に使って、実践的なユーザインターフェイスを提供している。
[編集] ハードウェア
標準的なPalmデバイスは、以下のような特徴を持つ。
- 本体前面の大部分を占める、感圧センサーを備えた液晶画面(タッチパネル)
- これは専用のスタイラスペンでも、指でも、キャップをしたままのボールペン等でも操作できる。
- 感圧センサー面の下部に配された、グラフィティ専用領域。左側が文字入力、右側が数字入力用に割り当てられている。最近は、ソフトウェア的に実現されている。
- 本体前面最下部ボタン群。
- 取り外せる入力用のスタイラスペンと、それを格納する穴などの機構。
- 本体裏面のリセットボタン
- これはピンなどを使って押す必要がある。なお、多くのモデルでは、スタイラスの中にリセットピンが内蔵されている。近年の機種は、リセットボタンの直径がスタイラスの先端で押せる大きさに調整されている。
- TreoやTungstenC/Wなどの機体は、キーボードも搭載されている。
[編集] データの入力
クレイドル(又はクレードル。ゆりかごの意)と称する台座型の装置を介してパソコンと同期を取るHotSyncという仕組みを備え、ソフトウェアのインストールやデータの連携が容易になっている。データの同期を取るパソコンを、俗に母艦という。
文字入力にはグラフィティと呼ばれる、アルファベットを元にした一筆書きの記号を手書き入力する。これは完全な文字認識に比べて処理も軽く、入力もしやすいとされている。例えば、「A」は「Λ」、「B」は「β」のように書き込む。「*」や「@」のような記号も入力できる。
また、入力領域を左右に分割し、左側を英文字、右側を数字の入力に完全に分離している。これにより、「1」と「I」、「O」と「0」、「5」と「S」、といった似た形の文字を同じストロークで確実に入力することが可能となっている。
現在は、より一般のユーザーに使ってもらうためにキーボードモデルも販売されている。
[編集] ソフトウェア
[編集] Palm OS
Palmのオペレーティングシステム、Palm OSは他社にもライセンス供与され、IBM、ソニーなどから互換機が発売されている。(Handspringも互換機を出していたが、これはPalm社に買収され、現在は存在しない。参照-Palm, Inc.)
現在、OSは分社化したPalmSourceが開発し、各社にライセンス供与を行っているが、株式会社ACCESSが2005年11月15日にPalmSourceを買収し、Linuxカーネル2.6ベースのACCESS Linux Platform(ALP)の開発を始めた。ALPにはPalm OSエミュレータが内蔵されており、Palm OSアプリケーションが動く。他にはGTK+アプリケーション、Javaアプリケーションなどが動く。2007年にALP搭載端末の出荷が予定されている。
[編集] アプリケーション
Palmデバイスには、メーカーなどによって異なるが、以下のようなソフトウェアが標準搭載されている。
- 予定表 (カレンダー)
- アドレス帳
- ToDo (「やるべきこと」リスト)
- メモ帳(テキスト形式の物が主流だったが、後に手書きメモにも対応)
- 上記4つが、出荷時設定でアプリケーションボタンに割り当てられている
- 電卓
- 支払いメモ(Palm OS4には搭載されていない)
- 電子メールリーダー(パソコンの未読電子メールを読める)
- 辞書(英語・英和/和英など)
など
なおソフトウェア環境の仕様を広く公開しており、専用のプログラミング環境(コンパイラとエミュレータがセットになっている)も無償で提供されているものもあり、世界中にフリーウェア作家が存在している。またPalmのストイックともいえるリソースの少なさは、逆にプログラマー達の創作意欲をくすぐるのか、他のPDAと比較しても全般的にフリーウェアの完成度は高いとされる。しかしその一方で、PDA初のコンピュータウイルス(トロイの木馬)が発見されたのもこれである。
[編集] 特色
旧来の機種はフラッシュメモリ容量が4MBや8MBでメモリカード非対応となっていたが、最近の機種では標準で32~128MBになっている他、SDカード等のメモリカードにも対応し、フラッシュメモリーを搭載した機種もある。ハイエンド機のスペックは一昔前のPocket PCとさほど変わらない。 メーカーによっては、MP3プレーヤーやデジタルカメラ・GPS・Wi-Fi・Bluetoothといった付加機能を搭載している機種もあり、一部にはバーコードリーダー組み込みとなっている製品もある。近年では腕時計型やハードディスクを搭載した機種も発売されている。 一方で、もともとのストイックな設計理念もあって、非常に安価な機種も多い。 また、先発である事や前出の開発環境が無償提供されている事もあって、ソフトウェア資産の豊富さでは、他のPDAから突出している。
しかし、ハードウェアの進化に比べてOSの進化は遅れている。Palmが登場した時代には、シンプルなハードウェア、アーキテクチャでシンプルなユーザーインターフェイス、シンプルなソフトウェアを駆動するというコンセプトは確かに正しく、また成功を収めたが、現在ではややアンバランスなシステムになってしまった感は否めない。
さらに、後発のPocket PCと競合するうちに、PDA市場そのものが高機能携帯電話やスマートフォンに押されて縮小傾向となり、現在日本市場からはいずれのメーカーも撤退してしまった。 なお、北米市場においては、安価でシンプルなZireシリーズ、ビジネスマンに人気のTungstenシリーズ、スマートフォンのTreoシリーズが比較的好調に推移しており、今後はハイエンドのPalmデバイスはスマートフォンへと移行していくものとみられる。
[編集] メーカー・ブランド一覧
Palmデバイスを提供している(いた)メーカーと、製品ブランドの一覧。
- Palm, Inc. (旧palmOne)
- PalmPilot
- Palm
- Tungsten
- Tungsten T5(フラッシュメモリーを搭載)
- Zire
- Treo(Handspringを買収)
- LifeDrive(4GBのMicroDrive搭載)
- ソニー
- CLIE(2005.7販売終了)
- Handspring
- Visor
- Treo
- IBM
- WorkPad(PalmのOEM)
- TRG
- TRGpro
- HandEra 330
- Tapwave
- Zodiac1
- Zodiac2