F-11 (戦闘機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

F11Fはグラマン社が製造した1950年代後半のアメリカ海軍の艦上戦闘機である。愛称はタイガー（Tiger）。戦闘機の機種記号が海軍と空軍で統一された後の機種記号はF-11である。

[編集] 概要

F9Fクーガーは、優秀な戦闘機であったが、水平飛行で音速突破ができないなど速度性能には問題があった。そのため、1952年4月にF9F-8として本格的な超音速戦闘機がアメリカ海軍より発注された。なお、1952年6月にはチャンスボートF8Uの契約も行われていることから、F-8開発の保険的な意味合いも大きかった。機体がF9Fとは全く異なるが、F9F-8の名称で開発開始されたのは、既存機の改修として、予算対策のためである。なお、開発途中でF9F-9に名称が変更されている。1954年7月に初飛行しており、1955年4月にF11Fの名称が与えられている。

チャンスボートF8U、マクドネルF4Hと海軍の主力機の座を争ったが、小型軽量という特徴がわざわいして、生産数は196機に止まった。実戦部隊への配備も1957年から1961年までと短い。運動性に優れていたのでアメリカ海軍のアクロバットチーム「ブルーエンジェルス」の使用機になった。初期生産型と機首部分を延長した後期生産型がある。

エンジンはライトJ65-W-18（推力 3,380Kg)で最高速度1,210km/hを記録した。エンジンをより強力なGE J-79（推力 4355Kg）に変えた性能向上型F11F-1Fスーパータイガーは最高速度 2,253Km/hを記録したが、海軍の興味をひかず採用にはいたらなかった。NATOや、F-86の後継戦闘機を選定していた日本の航空自衛隊に売込をはかり、日本では採用が一旦内定した。しかし、後に政治問題化し（第1次FX問題）白紙化。その後の再選定でロッキード F-104に敗れた。F11F-1Fは試作機2機の生産にとどまった。