F-102 (戦闘機)

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F102 Delta Dagger

F-102はコンベアが開発しアメリカ空軍に制式採用された戦闘機。愛称はデルタダガー(Delta Dagger)。初飛行は1953年。

俗にセンチュリーシリーズとよばれるもののひとつである。

[編集] 概要

F-102はソ連の爆撃機を迎撃する目的で1949年より開発が開始された。北米大陸においてSAGEシステムとリンクし、迎撃を行うことを基本としている。機体形状はインテイクを胴体側面に持つ単発デルタ翼機であり、垂直尾翼も三角翼である。1951年12月に試作機YF-102の発注が行われている。

F-102とよくペアで出てくる話としてエリアルールが挙げられる。航空機は音速に近い速度で飛行すると急激に抵抗が大きくなる。その抵抗を抑える方法の一つとしてエリアルールがある。機体の断面積変化を滑らかにすると、抵抗が減少するという単純な法則である。機体の主翼部分の断面については、その分だけ断面積が増加するので、これを相殺するため胴体部分にくびれをつくり、断面積の急激な変化を抑えるのである。風洞試験において、YF-102が音速を超えられないことが判明した。そのため、試作11号機（YF-102A）以降において、NACAが発見したばかりのエリアルールを採用し、音速を超えることができた。

YF-102A

YF-102の初号機は1953年10月24日に初飛行している。YF-102は10機製造され、各種の試験・改装が行われたが、予測通り音速を超える事はできなかった。YF-102のエンジンはP&W J57-P-11（A/B推力：6,804kg）であったが、エンジンをJ57-P-23（A/B推力：7,258kg）に換装し、エリアルールを採用したYF-102Aが開発され、これは1954年12月20日に初飛行し、翌21日には音速突破を成し得ている。量産型F-102Aの配備は1955年から開始された。

F-102Aは、総計879機が生産され、1971年まで現役であった。アメリカ本土での防空が主任務であったため、実戦記録はないが、1962年から1969年には、ベトナム戦争に関連して南ベトナムにおける基地防空の任に派遣されている。退役後は、200機以上がPQM-102A無人標的機に改造された。

F-102Aは機銃は搭載せず、AIM-4 ファルコン空対空ミサイル、AIM-26A ファルコン空対空ミサイル（核弾頭）、2.75インチ空対空ロケット弾を機内弾薬庫に搭載した。AIM-4は最大6発搭載でき、前後の弾薬庫に3初づつ収納した。なお、ドッグファイトは考慮されていない。

火器管制装置を向上させたF-102Bが計画されていたが、これは空力的な改良も含めて、1956年には、F-102BはF-106として制式採用された。しかし、非常に高価であったため、こちらの配備数は340機にとどまった。

また、練習機型のTF-102も120機が製造されている。TF-102Aは座席配置がサイド･バイ･サイドであり、操縦席が横に広がったため、エンジンのインテイク部分がF-102Aとだいぶ異なっている。武装はF-102Aと同等であり、練習機と実戦機を兼用する目論見であったが、操縦席周りの改造が空力に悪影響を及ぼし音速を超える事ができなかったため、結局実戦機としての運用は放棄され、純粋な練習機として運用された。本機の失敗を教訓として、これ以降単座戦闘機を改造して練習機兼用の複座型を作る際は、タンデム配置にするのが標準となっている。