Dura Ace

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

DURA-ACE（デュラエース）はシマノが作る自転車用コンポーネント。同社では自転車のコンポーネントにグレードを設けて販売しているが、中でも最高峰に位置する。専門に開発を行う部署が置かれると言われているが実際はそのような部署を置いて開発がされているわけではない。「DURA-ACE」というモデル名には、ジュラルミンという素材、デュラビリティ（durability:英語で「耐久性、耐久力」の意）と、さらに「世界で一番に」という思いを込めて「エース」が付けられている。ちなみに発売当時1年ほどは「ジュラエース」とのカタカナ表記だった。この事から現在でも「ジュラ」と呼ぶ人間が少なからず存在する。

[編集] 歴史

1971年：「デュラエース」と命名されたクランクがシマノから発売された(通称71デュラ)。

アメリカ向けの高級アルミ外装変速機「クレーン」が開発されたのと同時に、それに見合った高級感のある部品として開発された。クレーン(crane)は鶴の意。当時シマノの外装変速機には鳥の名前にちなんだ商品名がつけられていた。

1972年：ヨーロッパにシマノヨーロッパを設立。

ヨーロッパでの戦略としてレース用部品を開発することが至上命令だった。

1972年：「Dura Ace Component with Crane model」が高級コンポーネントとして発売された。
1978年：デュラエースEX(通称72デュラ)にモデルチェンジ。
1980年：エアロ化させたDDクランクとDDペダル、ハブが追加され、マイナーチェンジされた。
1982年：デュラエースAX(通称73デュラ)が誕生し、EXと併売される。
1984年：SIS（シマノインデックスシステム）を搭載した7400系(通称74デュラ)にモデルチェンジ。
1996年：7700系にモデルチェンジ(通称77デュラ)
2003年：7800系にモデルチェンジ(通称78デュラ)

[編集] 歴代モデル

Dura Ace Component with Crane model
デュラエースEX(通称72デュラ)

RDにハッチプレートメカニズム、駆動系にユニグライドメカニズムが採用され、さらに現代までの潮流を生み出したカセットフリーハブもボスタイプハブと併売されることとなった。

デュラエースAX(通称73デュラ)

AXでは全てのコンポーネントがエアロ化された。当時はエアロが時代の最先端との認識が強まっており、実用性よりもエアロ効果をねらった形状が優先された結果、互換性や実用性の低下を招き一部では不評だった。しかしAXの個性的な機構や外観・思想は一部マニアの支持を集めている。

DDハブにはユニバランスメカニズムが採用され、従来よりも左右対称へと近づいた。またスポーク穴を通過させる方向も揃えられた。カセットフリー歯は11tトップが採用された。これはフロントのインナー38t対応までを含め、駆動系全体のコンパクト化、軽量化を実行する為である。

DDペダルは軽量化しすぎたために、ロードレース中に折れる事故が多発した。このため72→73の際に補強され、重量も増加したため3世代が存在する。また73デュラで採用されたニューポジティブメカニズムなどのインデックス機構内蔵のRDは7段専用ハブに対応していたが、当時は自由に他社とパーツを組み合わせるという時代で互換性が重視されていた。しかし互換性が低いことから、後期モデルではこの機構も削除されている。FDに関しては空力を重視する為に横型とされたが、ケーブルをガイドで90度方向に曲げるため、引きが重かった。また専用台座をフレームに直付けする必要があり、ここでも互換性の壁があった。台座やピラー、Wレバー台座などにエアロパイプ用などが存在し、互換性の観点から非常に難しいコンポーネントだった。初期にはフロント82mmのエアロハブなどもあった。

7400、7410系(通称74デュラ)

「ニューデュラエース」との通称を持つ。73デュラとは異なり、Wレバー側にインデックス機構を採用した。当初は「子供のおもちゃ」と揶揄されていたSISだが、便利なことで大ヒットしすぐにヨーロッパのプロ選手も使うようになった。しかし、完全に主流となったのは90年代中盤以降のことである。

ベストセラーとなった7400系デュラエースは数回マイナーチェンジが実行され、当初６段だったのが７段、８段と変更された。一部のコンポーネントには7401,7402,7403などがある。

さらに7410として大規模なマイナーチェンジが実行された。このマイナーチェンジではそれまでのコンポーネント志向を超え、STI（シマノトータルインテグレーション）という概念が取り入れられた（STIという概念自体は下位グレードやMTBコンポに先に採用されていた）。世界初の「デュアルコントロールレバー」としてブレーキと変速の両方を手元でコントロールするブレーキレバーを発売。