魔法の妖精ペルシャ
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魔法の妖精ペルシャ(まほうのようせいペルシャ)は1984年7月6日から 1985年5月31日まで、毎週金曜日18時 - 18時30分に日本テレビ系列(NNN・NNS)で放送された魔法少女アニメである。全48話。
ぴえろ魔法少女シリーズ | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第1作 | 魔法の天使 クリィミーマミ |
1983年7月 ~1984年6月 |
第2作 | 魔法の妖精 ペルシャ |
1984年7月 ~1985年5月 |
第3作 | 魔法のスター マジカルエミ |
1985年6月 ~1986年2月 |
目次 |
[編集] 概要
魔法の天使クリィミーマミに続く、スタジオぴえろ製作によるぴえろ魔法少女シリーズ第二弾。シリーズ中唯一の原作付き作品であり、また主役に本職の声優を起用した唯一の作品でもある。
香港でも我愛莎莎というタイトルの広東語吹き替え版が放映された。
アフリカ育ちの少女・速水ペルシャが日本に帰国する途中、妖精から魔法のアイテムを託され、妖精の国・ラブリードリームを救う為に、魔法の力で愛のエネルギーを集めるというお話。
原作は青沼貴子作のペルシャがすき!だが、これはターザンのパロディ的なスラップスティックコメディであり、魔法絡みの要素は一切登場しない。またアニメに於いて原作の面影を残しているのは数人のレギュラーキャラクターの設定と初期数話の粗筋のみで、内容的にはほぼオリジナル作品といえる。ゆえに本作品に於いては原作ではなく「原案」という扱いになっている(ただし、アニメ放映開始ごろアニメ版を踏襲したパロディ的な話が描かれ、その場限りではあるが断片的にアニメ版の設定が原作に取り入れられた)。
前作クリィミーマミの成功を踏まえ、当初はミンキーモモのように魔法の国を救う使命を帯びた魔法少女物としてスタートしたが、物語後半は魔法よりもペルシャ自身の内面や周囲の人々の心情風景の描写に重点が置かれるようになった。後に深い心情表現と丁寧で繊細な日常描写が高い評価を受ける、安濃高志監督の演出手法の一端が見られる作品でもあり、これら独特の手法は次作マジカルエミで確立してゆくことになった。
また、第41話で描かれているペルシャとトビーの関係については、実は過去に、(ペルシャ)と(トビー)を主人公!?とした、製作年月とタイトルが不明の白黒アニメが製作されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
主人公の速水ペルシャは、アフリカで生まれ育った野性児である。11歳の夏に、両親の待つ日本にやってきた。
日本に向かう飛行機のなかで、異世界ラブリードリームに引き込まれ、 その妖精から「ラブリードリームを救うために愛のエネルギーを集めてほしい」と言われ、愛のエネルギーを集めるための魔法を授けられる。
ペルシャを助けるお助け役として、アフリカからきたライオンのシンバ(後に猫に変身)やラブリードリームのカッパたち(ゲラゲラ、プリプリ、メソメソ)、妖精のボンボンなどがいる。
小学生らしく無邪気なペルシャだったが、第21話でプリンセスフェアリと沢木研二の悲恋を知り、魔法ではどうにもならない現実の重みを知り、精神的に成長していく。
初めは幼なじみの双子の少年・室井学と力のどちらにも好意を持っていたペルシャであったが、 友達のよよこと学の親密なシーンを目撃し、ペルシャは学のことが好きなのだと悟る。
ラブリードリームが当面の危機を脱した頃、学と力のアフリカ行きが決まった。 その騒動の中で学もペルシャを好いている事を知り、ペルシャは魔法の力を借りずに生きていく事を決心する。
[編集] 魔法
様々な職業のスペシャリストである大人の女性に変身することが主な効果である。呪文の頭を唱えると頭のヘアバンドが変化してバトンが飛び出し、それを振り回しながら残りの呪文を唱えることで身体が成長し変身を完了する。また、変身と同時に職業に見合った服装が備わった。なお、21話から小道具としてペンダントが追加されたほか、バトンも34話でモデルチェンジし、更にリストバンドが追加された。
この魔法には、1年以内にエネルギーを集められなかったり変身する姿を他人に見られると、学と力が女性に変わってしまうという制約が21話まであった。ただし、魔法を自分のために使うことについては特にペナルティはなかった。
変身後の専門知識と能力で、困った人を助け愛のエネルギーを集めることが魔法の目的だったが、集めたエネルギーの形や量を具体的に表したり最終的な目標値を示すことはなかった。この点は本作品において魔法の設定が今一つ上手く絡まなかった原因の一つであると考えられる。
他の効果としては、第2話に於いてテレビを介してアフリカに瞬間移動し、ライオンのシンバを日本に連れ帰ったが、副作用で言葉を話せるドラ猫に変えられてしまった。ほかに第28話で吸血鬼と対決した時に変身呪文の頭を唱えてひるませたり、第46話でおもちゃのピアノを本物に変えることもあった。
そもそもラブリードリームがペルシャに魔法を授けたのは、悲恋のあげく自分の世界に閉じ籠もってしまったプリンセスフェアリの「代理」を求めたからである。ゆえに変身後の容姿(美女ペルシャ)はフェアリの姿であり、意識はペルシャのままであったが、性格や言葉使いは一変した。ただし、アフリカで育った野生児ペルシャが速水夫妻の実の娘ではなく(原作版の様に)妖精だったと考えると、ラブリードリームが彼女を選んだ本当の理由も辻褄はあうのだが。
終盤、フェアリが復活すると、ラブリードリームはすぐにペルシャの役目を解いて、派遣した4人の妖精に撤収を命じ、彼女の元には妖精たちのはからいで最後1回分の魔法だけが残された。この使い道は描かれなかったが、恐らく数年後にアフリカへ帰った際にシンバを元のライオンに戻すことに使われたのではないかと思われる。
※ だが、一方では途轍もなくスケールの大きい魔法(!?)であるという可能性も考えられている。
[編集] キャラクター
- 速水ペルシャ(はやみ ぺるしゃ)(声:冨永み~な)
- 本編の主人公。アフリカで生まれ育ち、11歳の夏に日本にやってくる。帰国の途中にラブリードリームの妖精から、愛のエネルギーを集めるための魔法を託される。
- アフリカで動物たちと野生児同然に育ったため、運動神経抜群。100メートルを8秒台で走ることができる(ただし原作では二本足で4秒フラット、四つん這いの四本足では計測不能。アニメ13話で非常識な速さのために鉛の靴を履かせるというエピソードは原作から採ったものである)。
- 憐憫の情が強すぎる面があり、自分に悪意を持つ者や危害を加える者に対しても、 本気で憎んだり出来ない(28話、34話など)。そうした、他人の心の悲しみを察する心があるからこそ、ラブリードリームの呼びかけに応えられたものと思われる。
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- ペルシャ語と呼ばれる口癖がある。これ自体は原作の設定だが、変身後はフェアリの容姿に替わるため使用しない。
- 愛称「ペル子」。学と力にごく稀にこう呼ばれる、この呼び名から親しい仲が伺える。
- 冨永みーなは、本放送当時には現役の高校生であったが、声優としての実力は既にベテランの域に入っていた。冒頭で記したように、シリーズで本作品だけが主役に本職の声優を起用した経緯は不明だが、感情の起伏が激しい上にペルシャ語を操り、さらに変身後はフェアリの性格と口調に替わるという大変に難しい役で、恐らく素人ではとうていこなし切れなかったものと思われる。冨永みーなの熱演が本作品の魅力の大きな部分を占めていると言っても過言ではない。
- 室井学(声:難波圭一)
- 室井力(声:水島裕)
- シンバ(声:郷里大輔)
- ゲラゲラ(声:千葉繁)
- プリプリ(声:三田ゆう子)
- メソメソ(声:亀山助清)
- ボンボン(声:菅谷政子)
- 速水英樹(声:野島昭生)
- 速水久美(声:高島雅羅)
- 御友小夜(声:島津冴子)
- 室井剛健(声:藤本譲)
- 真鍋よよ子(まなべ よよこ)(声:稀代桜子 (4話~8話)・星野桜子 (9話~))
- ペルシャのクラスメートの女の子。昭和48年3月3日生まれ。学を慕っており、ぬいぐるみに「学様」と名前を付けているほど。その為、彼と親しいペルシャをライバル視している。また、ペルシャが転校してくるまではクラス一の駿足を誇っていたため、13話では運動会でもペルシャと檄闘を演じた。
- 翼という生まれたばかりの弟がいて、42話では育児ノイローゼのようになり、たまりかねて家出までしている。不動という従兄弟がいる。
- 篠川紀信(声:渕崎ゆり子 )
- 冬木冬太(声:深見理佳(現・深見梨加))
- 赤沼先生(声:田中秀幸)
- 校長先生(声:沢木郁也)
- 妖精(声:麻上洋子)
- フェアリ(声:岡本舞子(19話)・山本百合子(47話))
- 沢木研二(声:井上和彦)
[編集] スタッフ
- 製作:布川ゆうじ
- 原案:青沼貴子(集英社 週刊マーガレット連載『ペルシャがすき!』より )
- プロデューサー:堀越徹(日本テレビ)、大野実(読売広告社)、伏川政明(スタジオぴえろ)
- チーフディレクター:安濃高志
- 構成:富田祐弘
- キャラクターデザイン:岸義之
- 美術監督:中村光毅、三浦智
- 音楽:馬飼野康二
- 音響監督:藤山房延
- 撮影監督:杉村重郎
- 製作:スタジオぴえろ
[編集] サブタイトル
- 迷いこんだ夢の国
- 猫になったライオン
- ようこそ脱走犯
- キスは恋のABC
- 必殺! チャンピオン
- 真珠貝のロマンス
- 逃げてきたアイドル
- 大変!学が女の子に
- 初恋猫ニャンニャン
- 恋のパソコン占い
- 夢の扉をあけて……
- 六つ子ちゃん大行進
- 炎の町内ランナー
- 想い出はセピア色に
- 対決! モトクロス
- オモチャじかけの館
- 危険なおるすばん
- ケンカはやめて!
- ペルシャがふたり?
- 魔法が使えない!
- 凍りついた学と力
- 港祭りのハプニング
- ぬけだした雪の精
- あみかけのセーター
- 夜八時のサンタさん
- 真冬のライオン祭り
- 変身!また変身!!
- 吸血鬼はバラの香り
- 参観日はキライ!
- ふしぎの森の白雪姫
- こわれたバトン
- 冷たいバレンタイン
- スクープ! 結婚宣言
- 天使のように美しく
- 激突! フォーカス合戦
- きらめく氷の上で
- ざんげ! マリア様
- 疑惑のおじいさん
- 科学博カッパ騒動
- 沈黙刑はウッスラパー
- 時をかけるペルシャ
- 星あかりの映画館
- チューリップの求婚(プロポーズ)
- 小さな恋人たち
- 涙は春風に乗って
- 行かないで! 学と力
- よみがえった妖精(フェアリ)
- ペルシャが好き!
[編集] こぼれ話
下請スタジオのアニメアールに当時所属していた毛利和昭が作画監督を担当する予定があり、キャラ表まで製作されたが結局実現しなかった。この際に作成されたペルシャのキャラはTVシリーズ中最高の可愛さだったと言われている(バンダイのムック「魔女っ子倶楽部」に寄稿されたイラストとは絵柄が異なるという)。