骨川スネ夫
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骨川 スネ夫(ほねかわ すねお)は、藤子・F・不二雄のSF漫画作品「ドラえもん」に登場する架空の人物で、主人公・野比のび太のクラスメイト。
原作では目上の人に「骨川君」と呼ばれる事があるが、アニメではスネ夫で統一されている(ただし、母親には「スネちゃま」と呼ばれる)。中国語表記は「小夫」「強夫」。
1965年(昭和40年)2月生まれ(方倉設定では3月28日生まれ、以前は1963年(昭和38年)生まれだった(てんとう虫コミックス2巻『ぼくの生まれた日』の初出時(「小学四年生」1972年8月号)より算出)。)。血液型はAB型。
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[編集] 設定
ナルシストかつイヤミ、口が上手くウソつき。パパは会社社長で家庭がとても裕福であり(小学生でありながら月の小遣いが数万円)、自慢話をよくしてのび太を憤慨させたりうらやましがらせたりする。ごく初期にはメインの敵役になることが多くジャイアンより威張っていたが、すぐジャイアンの子分としての立場を確立。極度のマザコンでもあり、危機的状況に陥ったり寂しかったりするとすぐ「ママ〜」と叫んで泣く(『のび太の恐竜』では「おかあさま」と呟いている)。母親に溺愛されている。
ケンカについては、ジャイアンや親によるバックボーンからのび太に勝つことが多いが、実際にはのび太より弱いらしい(小学館『続・ドラえもん全百科』)。
なお、骨川家の住所が判明している。その住所は「東京都練馬区月見台すすきヶ原3-10-5」(15巻参照)。
ちなみに、自宅にあるパソコンはマッキントッシュである。あまり知られていないが、テーマソングとして「スネ夫のうた」という曲がある。
[編集] 外見
特徴的なキツネ顔に加え、前から見ても横から見ても山形に見えるという極めて独特な髪型をしている。(このため1980年代後半に「スネ夫の前髪はどういう構造なのか」との話題で『コロコロコミック』読者欄が沸いたこともある。後に同誌にスネ夫の髪型のように変なものを指摘する『スネカミコーナー』なるコーナーも登場)親族は全員、髪型以外の顔つきがそっくりであり、本来血縁関係がないはずの配偶者やペットまでもこの顔つきである。
唯一の悩みは身長の低さで、のび太より5cm低い135cm(アニメ『おねがい小づち』)。背が低いことに劣等感を持っている(32巻『スネ夫のおしりがゆくえ不明』等)。
また、連載初期はおねしょ癖があり、居眠りの時でさえオムツが必須。おしっこをする時はズボン・パンツを(廊下に)ぬぎ捨て、ドアを開け『ママ怖いよ。』といいつつ用を足している。寝る時にオムツをするよう母親に注意されるほどだった(1巻『(秘)スパイ大作戦』)。しかし、『大長編ドラえもん』では、おねしょをしたという話は特にない。
[編集] 知力
有名私立中学への進学を志望しており(『サハラ砂漠で勉強はできない』)、塾に行ったり模範生と言われたり家庭教師をつけられたりしている割には成績はあまり良くない(100点をたまに取る程度)。「正確グラフ」によれば、のび太・ジャイアンよりは頭が良いが、しずかちゃんよりは悪い。 のび太に言わせれば、塾へ行くと言ってはさぼり、そのつど得意の口八丁で塾講師におべっかを使ってごまかしていると言う(12巻『ウラオモテックス』)。『のび太の日本誕生』では全科目に家庭教師を付けられ、耐えられずに家出した。
英会話を習っている(映画『ぼく、桃太郎のなんなのさ』)。しかし、いざ英語が必要になったときには会話に詰まっており、特に英会話に堪能というわけではないようである(アニメオリジナル『スネ夫のロマンス』)。
[編集] 体力
どちらかというと低めで、草野球チーム「ジャイアンズ」の特訓で町内十周マラソンをした際、最下位になった(道具を使ったのび太は別として)という前歴がある(21巻『まねコン』)。
[編集] 趣味
趣味はプラモ作り・ラジコン・(漫画の)読書・テレビゲーム・ジオラマ撮影・鉄道模型製作・アニメーション制作(途中で頓挫)など多彩。流行に敏感。基本的に手先は器用である。
芸能界に詳しくミーハーで伊藤翼ファンクラブの幹事。
夢はファッションデザイナーになることと漫画図書館を建てること。
これらの他、教養テレビの「上級フランス語講座」をかかさず見ており、ビデオ録画している(のび太の大魔境)。出木杉英才程ではないが知的好奇心は旺盛な方で、博学ぶりの一端をのび太ら仲間に披瀝することもある。
[編集] 性格
リッチでレアなコレクションと体験談で他人を悔しがらせるのが好き。のび太がドラえもんに道具を出してくれと懇願する発端の多くはスネ夫の自慢話である。母親に溺愛されているためマザコン。鏡で自分の顔を30分も見続けるほどのナルシストだが、自分の低身長だけはひそかに苦にしている。
ジャイアンの嫌がらせが腕力から来るのに対し、スネ夫は『のび太だけ除外』等という精神的な意地悪をする。のび太にだけゲームを貸さない、コレクションに触らせない、遊びや行楽に誘わないといった類が多い。主に「この車にはあと3人しか乗れない」とか言う場合が多い。余談だが、44巻「アニメばこ」には、「3人用のビデオ」という、訳の分からないものが出てきた(のび太に見せないための詭弁と思われる)。
ジャイアンの腰巾着かつ強力な参謀としてのび太をいじめる反面、ジャイアンにおもちゃなどを取り上げられてのび太に泣きつく日和見的なところがある。のび太がドラえもんの秘密道具でジャイアンにイタズラなどをしようとした場合は、のび太やドラえもんとグルになることも(35巻『ま夜中に山びこ山が! 』など)。原作連載初期の頃は逆にジャイアンを従えて歩く描写が見られた。
口が達者でおべっか、ゴマすりはお手のもの。ジャイアンは勿論のこと女の子を褒めて気分良くさせる話術にも長けている(財力を生かしてちょっとしたプレゼントという合わせ技などもアリ)。のび太の海底鬼岩城では、これが原因でジャイアンとともにムー連邦の監獄に入れられている。文才もありアイドルへのファンレターコンクールで入賞するほどである。のび太に次いで体力がないのをカバーしていると言うべきか、空気を読む勘の鋭さとボキャブラリーの豊富さは天下一品。
極めて現実的で、神仏や幽霊・妖怪などを一切信じず、超自然的なものを科学的に説明しようとする傾向がある(『のび太の大魔境』ほか)。その一方、そういった類のものを極度に恐れており、ある意味でのび太を上回る臆病者。ドラえもんの道具で出した怪物などで気絶する場面もしばしば見られる(16巻『びっくり箱ステッキ』など)。開けた者の最も恐がるものが出てくる道具「びっくりばこ」をスネ夫が開けたところ、出てきたものは「幽霊」であった(TC未収録『びっくりばこ』)。また、「背後霊」を信じている描写もある(37巻『ロボット背後霊』)。なお、その時霊能力者に霊視してもらった結果によると、動物霊が2体と、ドン・ブラスコ・ピラニエスという名の700年前のスペインの貴族の霊が憑いているという。
『友情カプセル』(4巻)ではドラえもんを自分の召使ロボットにして全ての夢をかなえようと画策した。ただしひみつ道具の悪用から痛ーいしっぺ返しを喰らうのはのび太と同様である。
学校一の美人と評される隣のクラスに在籍する河井伊奈子(かわいいなこ)が好きらしい。(『ガールフレンドカタログ』)しかし、遠足のスライドを見せる際に、静香に「私は見に行かない」と言われると、「しずちゃんがいないと意味がないんだよ」とも言っていることから、静香のことも好きなようだ。(『表情コントローラー』)
[編集] 血縁
- 祖先
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- スネル
- てんとう虫コミックス(以下、てんコミと略)7巻『石器時代の王さまに』に登場する石器時代の少年。顔がスネ夫そっくりなことと名前から祖先と思われが、作中で祖先とは明言はされていない。現代からやって来たのび太を変な猿と思い込み、ペット扱いして仲間に自慢する。スネ夫の自慢癖はこの頃からの遺伝のようだ。
- スネ丸
- てんコミ1巻『ご先祖さまがんばれ』に登場する戦国時代の少年武士。やはり祖先とは明言されていない。戦争で打ち首にされそうになった殿様とスネ丸をのび太が助け出したが、のび太が目をはなした隙に、スネ丸は殿様が気絶していたことをいいことに、殿様を救ったのは自分だと申し出た。同話冒頭で、スネ夫が「先祖が家老で、殿様の命を救った」とのび太たちに自慢しており、これがスネ丸のことだとすれば、スネ夫の要領の良さはスネ丸譲りと言える。
- スネ丸
- 映画『アララ♥少年山賊団!』に登場する戦国時代の少年。上記のスネ丸とは別人。詳細は映画の項目を参照のこと。
- 兄弟
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- スネツグ
- スネ夫の弟。現在はアメリカ・ニューヨーク在住の叔父の養子になっている。
- スネ夫の弟は初期は普通に登場していたが、連載が進むにつれて登場しなくなった。その後、藤子不二雄ランドが刊行され、スネ夫の弟が登場する話が収録されたが、原作者の藤子自身、弟の存在を忘れていたのか、スネ夫を一人っ子と設定していたため、苦肉の作として、スネ夫に弟はいるが養子に出たという『スネ夫は理想のお兄さん』が描かれ、再登場した。
- 顔は似ているものの性格は兄のスネ夫に似ず素直に育っているようである(初期は兄同様に意地悪だった)。スネツグの声優は龍田直樹(1985年)→甲斐田ゆき(2006年)。
- なお現存する原作コミックで、初期のスネ夫の弟が登場するエピソードには、てんコミ「ドラえもんプラス」の3巻「アリガターヤ」がある。
- 親戚
- 曾祖母
- 父の祖母で、93歳。梅干のような口をしており、よく迷信を話して聞かせる。なお、祖母・祖父の存在は不明。
- 子孫
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- スネ太郎
- てんコミ6巻『のび太のおよめさん』で名前だけ登場。スネ夫の妻が「うちのスネ太郎」と言っていることから、息子と思われる。腕白なノビスケの苛め相手らしい。
- スネ樹
- スネ夫の息子。上記のスネ太郎との関連性(兄弟か、設定変更か)は不明。詳しくは映画『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』を参照。
- ミエキチ
- 映画『ドラミちゃん ハロー恐竜キッズ』に登場する、22世紀でのセワシの友人で、スネ夫の玄孫のようなキャラクター。スネ夫と同様ずる賢く口数が多い。セワシと恐竜鳥類祖先説で論争していた。声優は山口勝平。
- (名前不明)
- てんコミ21巻『未来の町にただ一人』に登場。顔はスネ夫そっくりだが、子孫がどうかは不明。夏休み中にジャイアン似の少年が月旅行、静香似の少女が火星旅行へ行く一方、彼に至っては太陽系一周旅行に出かけている。家の裕福さは相変わらずのようだ。
[編集] 姓について
現在のシンエイ動画版アニメ放映開始後は、一貫して「骨川」で統一されているが、それ以前は「滑川」とされていた事がある(てんとう虫コミックス13巻『ハロー宇宙人』の初期単行本参照)。また、表札が「木佐」と書いてあった事もあるが(てんとう虫コミックス10巻『お天気ボックス』)、こちらは『オバケのQ太郎』のキャラクターの名字を間違えて書いた可能性が高い。
[編集] 敵キャラとの関係
スネ夫は敵キャラに取り憑かれる回数がトップである。
主な取り憑かれ例
- 未確認知的生命体「ヤドリ」に取りつかれ、敵の作戦実行に関わる(のび太と銀河超特急)。
- 封印されていた恐ろしい敵「ウランダー」に狼から乗り移られ、嵐の竜「マフーガ」を蘇らせる(のび太とふしぎ風使い)。
[編集] 未来
[編集] 青年期
『のび太の結婚前夜』(コミックス、及び同話を原案とした映画)では青年期のスネ夫の姿が見られる。原作コミックスでは従兄のスネ吉に憧れてか、印象的なあの髪型がスネ吉同様のパンチパーマになっている。身長ものび太達と同程度に成長しており、これに関する劣等感は解消されたと思われる。映画では現在同様の髪型だが、ピアスを付け、左ハンドルのオープンカーを乗り回すといった、いかにもといった印象の青年に成長を遂げていた。ちなみに愛車は電気自動車。
[編集] 将来
デザイナーになりたがっているが、将来は父の会社(広告代理店、又は貿易会社という説がある)を継いで社長になり、顔も性格もキツ目の女性と結婚してスネ太郎という息子(名前だけ登場)をもうけている(大山のぶ代版アニメではスネ樹)。
[編集] 声優
アニメ版の声優は1973年の日本テレビ版では八代駿、1979年より放送中のテレビ朝日版では日本テレビ版でジャイアンの声を担当した肝付兼太(一時期(1985年11月〜12月)の代役は龍田直樹)、2005年4月より関智一。
なお、関は短編映画「おばあちゃんの思い出」(2000年劇場公開)で幼少期のスネ夫を演じていたり、劇場版「のび太のワンニャン時空伝」でダクという犬の少年(のび太一行と対になる動物たちのグループがあり、その中でスネ夫のポジションにあたるキャラ)も演じていた。
[編集] その他
2006年3月15日に「トリビアの泉」の新企画で「トリビアの影ナレ(影ナレーション)」が発足し、その第1弾の声が彼だった(声は肝付兼太、しかし、エンディングのクレジットには影のナレーション:??? と表示されている)。2006年3月29日放送の後半ではアルプスの少女ハイジのハイジ役の杉山佳寿子に影ナレを交代(前半まではスネ夫)。 その番組内でスネ夫とハイジの夢の共演が果たされ、スネ夫は「アルプスのくせに生意気だぞ~」(そして、「ちぇっ覚えていろよ」)と言っていた。2006年4月19日前半(後半はルパン三世の銭形警部役の納谷悟朗)、4月26日前半(後半は美味しんぼの山岡士郎役の井上和彦)2006年9月27日前半(最終回)(途中からは風の谷のナウシカのナウシカ役の島本須美)の影ナレも務めた。
[編集] スネ夫外交
国際社会における日本の外交姿勢を『ドラえもん』の作品中でのスネ夫の立場になぞらえた言い方。すなわち、金持ちのボンボンで、ガキ大将のジャイアン(アメリカ)のご機嫌を伺いながら一緒になってのび太(弱い国)を苛め、たまにジャイアンのご機嫌を損ねて酷いめにあわされる。911後のアメリカ・ブッシュ政権の単独行動主義に追随する小泉政権の外交姿勢を揶揄する言葉として使用された。