音響カプラ
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音響カプラ(おんきょう-)とは、電話機の受話器とスピーカーとマイクロフォンを用いて音響結合し、データ通信を行う通信機器である。通信端末が自由化されていない国々や内線電話の特殊な回線インターフェースなどで、モデムを電話回線に直接接続できない場合に一旦音声に変換することによって、公衆交換電話網を利用してコンピュータ間の通信を可能にするものである。
モデムとの間は専用コードで接続し、電話機の受話器を音響カプラ本体にはめ込み、発信操作は、接続した電話機のダイヤルを手動で回す方法で利用する。この構造的な関係上、周りの振動や騒音に弱い点があり、安定度は低く、初期の通信速度は300bps程度で、末期でも4800bpsであった。
現在も、電話網が十分整備されていない国や地域においては、まだまだ現役の通信手段でもある。
[編集] 日本での歴史
1980年代前半、公衆交換電話網へのモデムの接続には制度的な制約が多く、加入者線を利用したデータ通信には、NCU(Network Control Unit)と呼ばれる網制御装置か、音響カプラが利用されていた。
1985年に技術認定を受けた端末設備が自由に一般加入者線に接続できるようになり、安定してデータ通信のできるNCUを内蔵したモデムが一般に使用されるようになり、あまり使用されなくなった。残った用途は、当時、営業マンが持ち運んでいた「ラップトップ」といわれたポータブルパソコン(現在の大型ノートPC程度の大きさ)に多く使われ、出先の公衆電話を利用しての営業データの送信に使われることが多かった。
その後、モジュラージャックでモデムが直結できるISDN対応公衆電話の整備、PHS・携帯電話のインターネット接続対応、ホテルなどのインターネット対応、さらにはフリースポットやホットスポットなどの公衆無線LAN、など環境が整備され、一般には殆どその役目を終えた。
2005年現在、用途が限られているが28.8Kbpsのものも発売されている。
なおアナログ一般電話や公衆電話が存在し、モジュラージャックは存在せず、一般の無線アクセス環境が全てサービスエリア圏外、のような特殊な状況下では、衛星電話やホテル等設備での固定通信利用、または音響カプラの他には、外出時のデータ通信手段は存在しないと言う事になる。