長瀬富郎
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長瀬 富郎（ながせ とみろう、文久3年11月21日（1863年12月31日） - 明治44年（1911年）10月26日）は実業家。花王創業者。
[編集] 来歴・人物
美濃国恵那郡福岡村（のちの岐阜県福岡町、現在の岐阜県中津川市）に生まれる。12歳のときに母親の実家である加茂郡神土村（現在の加茂郡東白川村神土）へ奉公に出る。17歳のとき奉公先の店主の弟が独立したのに従い店を移り、下呂支店にて副支配人にまで出世。
23歳のときに店を辞め上京する。150円の資金で米相場を張って失敗し、無一文になる。この時の挫折を教訓とし、「堅実に生きる」事を終生の誓いとする。
出直すべく日本橋馬喰町の小物問屋に入店、経営を任されるまでになるが自分の店を持ちたいという夢を捨てることができず、1887年(明治20年)23歳で独立を果たし「長瀬商店」(のちの花王）を馬喰町2丁目に創業する。
長瀬商店は洋小物問屋・小売店であり扱う商品の中に石鹸があった。外国製の石鹸に比べ国産の石鹸の品質がおとっていることに不満を持ち、石鹸の自社製造を決意する。そんな折、知り合いの石鹸職人村田亀太郎が独立したのを聞きつけ村田を口説き落とし二人で石鹸製造の道を歩み始める。
1890年(明治23年)満足できる品質の石鹸製造に成功。最初「香王石鹸」と名付け商標登録まで行ったが発売直前に「花王石鹸」に名称変更を行い花王石鹸の商標登録もする。
発売当時の花王石鹸の売価は1個12銭、箱入り(3個入り)は35銭だった。後に花王石鹸の人気が高まるにつれ偽物の”香王石鹸”が出回るが、最初に取得した香王石鹸の商標登録のお陰で勝訴し、偽物撃退に成功した。
1902年、向島請地に工場を完成させ、石鹸のほか香水・歯磨き粉・ロウソクの製造にも乗り出す。1904年、アメリカセントルイス万国博覧会にて花王石鹸が名誉銀牌を受賞。富郎はさらなる発展を目指し工場の拡充に乗り出しさらなる品質向上を図る。その結果、1910年のシアトル万国博覧会で花王石鹸は金牌を獲得するに至る。
1909年(明治42年)、富郎は結核にかかり病気療養に入る。1911年(明治44年)余命が少ない事を悟った富郎は死の直前に長瀬商店を合資会社(資本金25万円)に改組する手続きを取る。同月(1911年10月）、48歳で死去。
富郎が終生大切にした堅実経営の思想は現在の花王にもしっかりと息づいている。
