鐘離昧

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鐘離昧（しょうりばつもしくはしょうりまい、生年不詳 - 紀元前201年）は、秦末から前漢初期にかけての武将。
正しくは『鍾離昧』である。

[編集] 生涯

彼は淮陰郡（現在の安徽省と江蘇省辺り）の近郊にある伊盧県の人で、韓信の竹馬の友だったという。若い頃は淮陰の町で韓信と共に秦の始皇帝の政治の批判を熱く語り合ったという。　

紀元前209年、楚の名門の項梁･項羽叔甥の挙兵以来、鐘離昩は韓信と共に馳せ参じた。鐘離昩は勇猛果敢で各地を転戦でその武勇を発揮したために、楚を支える“四傑”（他の三人は范増・龍且・周殷）に数えられるほどの名将となった。だが、竹馬の友の韓信は項羽に冷遇されていたために、秦が滅亡すると劉邦の下に赴いて、その武将となった。ある小説では項羽の逆鱗に触れた韓信を鐘離昩が抑えて取り成してやることが多々あったように描かれている。以降も鐘離昩は楚漢戦争の時代でも項羽に従い、各地を転戦するが、劉邦配下の陳平の策「反間の計」に嵌ってしまい、鐘離昩は項羽に遠避けられてしまった。鐘離昩は項羽と君臣の関係を修復できないまま紀元前202年の垓下の戦いの際に四面楚歌が聞こえて来ると、同じ境遇にあった季布らと共に雑兵に扮して項羽を見捨てて、そのまま逃亡した。

劉邦(高祖)が帝位に即き、韓信が楚王に封建されると、お尋ね者となった鐘離昧は彼を頼り、韓信も古馴染みであり、かつて世話になったことから、鐘離昧を匿う。しかし、このことは、韓信に対して警戒心を強める劉邦の耳に入ることで彼の心証を悪化させることとなり、さらに韓信が謀反を企てているという噂が流れるにいたって、鐘離昧も韓信に実際に謀反を起こすことを勧める。だが、このことが自らの保身を図る韓信に鐘離昧への殺意を抱かせるにいたる。間もなく、劉邦が陳で諸侯を集め、会見するとの知らせが入り、劉邦への忠誠を示す絶好の機会であると判断した韓信によって鐘離昧は自決に追い込まれる。

鐘離昩は自決する前に唯一の親友の韓信に対して、
「韓信どの！わしを殺したとしても、貴方の忠誠心がそのまま皇帝に認められるはずがない。今日のわしのこの姿は、明日のあなたのお姿なのですぞ！」
と、散々に罵りながら壮絶な死を遂げたという。

こうして、韓信は鐘離昧の首級を持参して、劉邦に拝謁した。
だが、韓信は鐘離昧の予言通り、劉邦によって捕らえられ、斉王から淮南侯へ格下げされてしまい、後に破滅を迎えるのである。