詩のボクシング

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詩のボクシングは、二人の朗読者が自作を交互に、ボクシングリングに見立てた舞台の上で朗読してどちらの声と言葉がより観客の心に届いたかを競う「声と言葉のスポーツ」。詩のボクシングでは、朗読者を「朗読ボクサー」と呼ぶ。実際のボクシングのようにリングアナウンサーやレフェリーもいる。

1997年10月に音声詩人で映像作家の楠かつのりが、声の言葉による新たな表現を見出すために日本朗読ボクシング協会 (JAPAN READING BOXING ASSOCIATION = JRBA) を設立し、以後その実践の場としての「詩のボクシング」を主宰している。その実践は、評論家の三浦雅士が「詩歌の世界に革命を起こした」と指摘したように、声の言葉による新たな詩歌表現の可能性を示している。また、詩のボクシングは、詩歌の世界のみならず他の表現ジャンルに大きな影響を与えている。

1998年には、小学生の5人1チームによる団体戦なども行われるようになった。今や全国の小学校、中学校、高校などの授業や総合的学習の時間に取り入れられ行われるようになっている。

全国の高校生が参加する高校生「詩のボクシング」全国大会も開催されており、教育現場においても「詩のボクシング」が児童、生徒の「聞く・話す」のコミュニケーション能力を培うものであると高く評価されている。

[編集] 黎明期

詩のボクシングは当初、詩人や作家、ミュージシャンなどの間で行われた。1997年10月26日に行われた第1回「世界ライト級王座決定戦」は、詩人で作家のねじめ正一と女性詩人の阿賀猥で行われた。判定の結果、初代チャンピオンはねじめとなった。そのねじめに谷川俊太郎が挑戦し、谷川が勝利し、2代目チャンピオンとなる。続いて、3代目チャンピオンには詩人の平田俊子が、4代目には作家の島田雅彦が王座に就いた。そして、5代目を決めるタイトルマッチでは、チャンピオンの島田にミュージシャンのサンプラザ中野が挑戦したが、島田が防衛した。

[編集] 一般人の参加

しかし、主宰者の楠かつのりは、活字のプロではその場の広がりに限界があると感じ、1999年から彼が独自に考案したルールとジャッジ判定法によって一般参加のトーナメント戦を始めた。実は、この多数参加する予選を通過した朗読ボクサーがトーナメント方式（16人制）で朗読力を競う形式のものが、詩のボクシングとして広く知られることになった。このトーナメント戦は、当初は偏狭な活字信奉者の「詩は声に出して味わうものではない」という抵抗にあいながらも全国に広がり、これまでに32都道府県で大会が開催されている。また、2001年から年に一度、各地でチャンピオンになった朗読ボクサーが日本一を決める全国大会が開催されるまでになっている。

2000年9月17日には、二人でタッグを組んで闘う「詩のボクシング」タッグマッチが始まった。福島泰樹（歌人）・立松和平（小説家）対巻上公一（超歌唱家）・楠かつのり（音声詩人）という顔合わせであった。初代のタッグチャンピオンの座には、巻上と楠のタッグチームが就いた。