西内雅

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西内雅（にしうちただし、1903年 - 1993年）は昭和期に活動した歴史学者、右翼思想家である。

（以下の経歴はウェブ上の各種記述をまとめたものであり、その信憑性については慎重な検討を要する。とりわけ、各作成者による矛盾が生じている点に留意のこと）

高知県生まれ。高知第一中学校卒業。一時期マルクス主義やアナーキズムに傾倒。代用教員を経て、広島文理大学数学科卒業。和暦および暦法研究の過程で幕府天文方渋川春海の弟子である谷秦山の土佐勤皇思想に接し、皇国史観にのめりこむ。その後、いわゆる平泉学派のイデオローグの一人とみなされるに至る。

広島文理大研究生、陸軍士官学校嘱託教官を経て陸軍教授（陸軍に属する教官ではなく、文部省からの派遣との説も存在するが、この点についての詳細は不明である）。

その後、内閣総力戦研究所所員（思想担当教官）として同所研究生等に「皇国思想」を教授するが、当時の日本の各界の若手エリートからなる総力戦研究所研究生の間では時代錯誤的であるとして評判が悪かったといわれる（猪瀬直樹著『昭和16年夏の敗戦』、1983年）。しかし、この皇国史観礼賛イデオロギーは陸軍に重用され、1945年7月、終戦直前の厳しい紙不足・出版統制下にもかかわらず、『谷秦山の学』という300頁を超える著作が3000部もの部数で出版された（同書奥付等による）。

終戦時の肩書は陸軍省兵務局思想班長。終戦時に発生したいわゆる宮城事件（昭和天皇暗殺も視野に入れていたとされるクーデタ未遂事件。詳細は同項目参照）では、西内は犯行グループの将校達と緊密に連絡を取り合っていたとされる（西内著『大東亜戦争の精神と宮城事件』による）。

上記のように、旧制中学卒業後から終戦時までの彼の経歴には詳細もしくは真偽が不明な点が多く、特に慎重な検討を要すると考えられる。

戦後は工学院大学、京都産業大学、中央学院大学、皇學館大学等を経て淡江大学（台湾）で教える。

1965年から1975年頃まで香港にて日本語学校を経営。本人の著書等によれば、文化大革命により大陸から脱出して来た中国人に教えていた際の1972年、文書「日本解放第二期工作要綱」を生徒から提供されたとされる（別の場所ではアジア諸国を歴訪中の1973年に入手したとも述べており、その“入手”の経路についてはやはり不明な点が多い）。西内は、この文書は銀行の貸金庫に保管しているとし、原本の提示を拒否し続けた。

現在、一般的には同文書は偽書とみなされ、西内本人が偽造したか、もしくは同時期に実現した日中国交回復による国際的地位の低下等を懸念した台湾の蒋介石政権が関与して作成されたかのいずれかの可能性が高いとされている。しかし、この文書は今日においても、慎重な史料批判を経ることなくネット等において流布されることも多く、さらには花田紀凱が編集する月刊誌WiLL等の一部メディアで取り上げられるような例も見られる。なお同誌掲載の際、西内の経歴に“陸軍士官学校卒”という誤った（もしくは偽りの）経歴が付与されたが、上記の通り彼はその嘱託教官であったとはされるが、その卒業生ではない。