葛野川ダム
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葛野川ダム（かずのがわダム）は、山梨県大月市七保町大字瀬戸字小金沢土室地先、相模川水系葛野川の右支川・土室川に建設されたダムである。
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[編集] 概要
葛野川ダムは、東京電力の揚水式水力発電所、葛野川発電所の下部ダムとして建設された発電専用のダム。 ダム湖の名は松姫湖（まつひめこ）。 ダム名こそ「葛野川ダム」であるが、建設されたのは葛野川支流の土室川である。
一方の上部ダムは山地をはさんで西側を流れる富士川水系日川に建設した上日川ダム（大菩薩湖）であり、異なる水系間で水を往来させることで揚水発電所としては世界最大の落差 714 メートルを確保。 両ダムの中間、地下 500 メートルの大空洞に設けられた発電所では、新開発の超高落差対応フランシス形ポンプ水車を採用した、1台あたり最大40万キロワットの水車発電機を2台据え付け、合計80万キロワットの電力を発生できる。
葛野川ダム建設にあたっては、発電所掘削時に排出される土砂を堤体の骨材として利用。 さらにRCD工法を採用することで建設コストの削減および建設工期の短縮が図られている。 1998年（平成10年）9月に湛水を開始し、1999年（平成11年）12月3日より葛野川発電所の営業運転開始をもって完成とされた。 葛野川ダムの河川維持放流設備として設けられた土室川発電所も同日より運用が開始されている。 下流域の河川環境保全のため、選択取水設備によりダム湖水の中でも水温が高く、また濁りの少ない表層部分の水を放流している。
[編集] 葛野川発電所
山梨県南部、富士五湖として有名な山中湖より流れ出る相模川水系では、1907年（明治40年）に東京電力の前身でもある旧東京電燈が駒橋発電所を運転させたのを始めとして古くから電源開発が進められ、城山発電所（神奈川県企業庁）のような揚水発電も早期から行われてきた。 大月市で相模川に合流する葛野川の大規模電源開発として、東京電力は1989年（平成元年）に葛野川水力調査所を設置。 1991年（平成3年）7月開催の第118回電源開発調整審議会において付議決定されたことを受け、1993年（平成5年）1月に葛野川発電所建設工事を着工した。
葛野川発電所建設にあたっては、随所に効率化のための新しい手法が導入されており、建設コストの削減や建設工期の短縮が図られている。 葛野川ダムでは、発電所掘削による土砂を骨材として利用し、さらにRCD工法を採用。 発電所のある地下空洞には、コンピュータを利用した分析により岩盤補強材の配置を最適化。 上池・下池を結ぶ急勾配（最大52.5度）水路はトンネルボーリングマシンを導入し一気に掘削。 結果として900億円もの建設コスト削減を実現した。
葛野川発電所は東京電力8番目の揚水発電所として、1台あたり最大40万キロワットの水車発電機4台を据え付け、160万キロワットの電力を発生するものとして設計された。 これは1979年運転開始以来、同社の揚水発電所としては最大の出力128万キロワットを誇っていた新高瀬川発電所を上回るもので、1999年（平成11年）12月3日の1号機運転開始に続いて2000年（平成12年）6月8日に2号機が運転開始。 その後、残り2台は可変速揚水発電システムを携え2003年（平成15年）7月を目途に導入される予定であったが、電力需要の伸び悩みから発電機据え付けは2台にとどまり、現時点での最大出力は80万キロワットである。 神流川発電所の運用開始もあり、今後の増設は不透明である。
[編集] 周辺
葛野川ダムは、中央自動車道 大月インターチェンジより国道139号を北上すればたどり着ける。 道の途中には山梨県営の深城ダムがあり、さらに進み松姫峠を越えれば奥多摩湖が見えてくる。
東京電力では大月市市街地にTEPCO 葛野川 PR館を設置、葛野川発電所および葛野川ダムの見学ツアーを主催している。 1日2往復で出発時刻は午前9時または午後1時。 見学時間は2時間30分程度で、移動には専用のバスを利用。 料金は無料であるが、事前予約が必要である。
一方、上部ダムである上日川ダムへ向かうには一度山を下り、山梨県道218号大菩薩初鹿野線を日川上流に向かって進む経路が現実的である。 こちらはPR館の見学ツアー対象ではないが、常駐している説明員による詳細な解説が受けられる。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 重力式コンクリートダム | 山梨県のダム | 相模川水系
