荒木幸雄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
荒木幸雄（あらき ゆきお、 - 1945年5月27日）は、群馬県桐生市宮前町出身の大日本帝国陸軍伍長。 特別攻撃隊、第72振武隊隊員として万世飛行場から九九式襲撃機で出撃し17歳の若さで沖縄の海に散った。 万世飛行場で出撃の二時間前に撮られた(この日の出撃は悪天候により中止、翌日夜明けに出撃)「子犬を抱いた少年兵」の写真で有名である。
目次 |
[編集] 優秀な少年飛行兵
山と川に囲まれた美しい街に生まれた荒木少年は大空に夢を抱く普通の少年であった。 15歳の秋に、陸軍少年飛行兵に応募。難関を突破し大刀洗陸軍飛行学校生徒隊に入隊する。 学問に飛行訓練に、いかんなく優れた才能を発揮し、1944年（昭和19年）の卒業の時には最高の栄誉とされる陸軍航空総監賞を受賞した。
[編集] 戦況の悪化と特攻隊
1944年（昭和19年）10月に特攻作戦が開始されると、優秀なパイロットであった荒木はすぐに選ばれる結果となった。 桐生の実家に帰った荒木は「天命が下りました」とだけ言い残し第七十二振武隊に合流した。 1945年（昭和20年）5月27日、特攻作戦により戦死。享年17。 桐生に残された墓には爪と髪しか残っていない。
[編集] 第72振武隊の最期
昭和20年5月27日、この日第72振武隊の99襲撃機の一団は万世飛行場を発進後、沖縄本島中部の金武湾の東約50㎞の位置で、アメリカ海軍レーダーピケット駆逐艦ブレイン(DD630)に突入したと推測されている。根拠として突入しようとする72振武の99襲撃機の写真が残っている。荒木もこの艦を目標としたと思われる。なおブレインは突入により大破炎上した。
(参考文献:「ユキは十七歳 特攻で死んだ―子犬よさらば、愛しきいのち」 毛利恒之著)
[編集] 父への手紙
荒木が出撃を前に、父に宛てた手紙が残っている。以下、原文のまま記す。
陸軍伍長 荒木幸雄 最后の便り致します 其後御元気の事と思ひます 幸雄も栄ある任務をおび 本日出発致します。 必ず大戦果を挙げます 桜咲く九段で会う日を待って居ります どうぞ御身体を大切に 弟達及隣組の皆様にも宜敷く さようなら
[編集] 外部リンク
- 写真
- ユキは十七歳 特攻で死んだ―子犬よさらば、愛しきいのち ブックレビュー (英語)
- 荒木幸雄の遺書 (英語)
