緯度0大作戦
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『緯度0大作戦』(いどゼロだいさくせん)は、1969年7月26日に公開された東宝製作の特撮映画作品。1974年12月14日には『海底大戦争 緯度0大作戦』(かいていだいせんそう いどゼロだいさくせん)と短縮・改題してリバイバル公開された。
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[編集] ストーリー
海底火山の噴火によって浮上できなくなった潜水調査員は、謎の潜水艦アルファ号に救助され、海底2万メートルの地底世界に存在する緯度0基地に迎えられた。地底世界には地上から消えたと思われていた高名な科学者がおり、人工太陽を初めとする高度な技術文明を誇っていた。だが、その別天地にも争いはあり、マッドサイエンティストのマリク博士は、アルファ号および艦長のマッケンジーを排除しようと、虎視眈々と狙っていた。別の地上の調査隊である岡田博士親子がマリク博士に捕らえられたことを知ったマッケンジーは、マリク博士の本拠地に急行する。そこには、敵艦黒鮫号に加え、マリク博士の手で改造された半獣半人の怪物たちが待ち構えていた。
[編集] 作品の成立
本作の起源は1940年代NBCラジオで放送されたテッド=シャーマン原作の"Tales of Latitude Zero"である。テッド=シャーマンは1960年代から映画化を試み、ドン=シャーププロに持ち込み、1967年東宝の藤本真澄渡米の際日米合作企画として持ちかけられ、実現した。当時アメリカ映画界は制作費の安い日本との合作を、予算調達に行き詰った邦画界は日米合作による低迷打開を模索していた時期であった。なお、当初ドン=シャーププロはアンバサダープロと名乗っており、初期脚本にはそちらの記名がある。
東宝では1966年にSFメカニック映画『空飛ぶ戦艦』が企画検討されたが、本作がそれに替わった。『空飛ぶ戦艦』は円谷プロの『マイティジャック』として蘇ることとなる。
当初主要キャストのギャラはアンバサダー、スタッフは東宝、制作費(公称3億6千万円、実質2億9千万円)は折半として契約がまとまり、「海底大戦争 -緯度ゼロ-」の題で製作発表された。70ミリパナビジョン大作での案もあったが当時日本に機材がなかったため実現しなかった。最終的にアメリカ側の予算調達が困難となり制作費は東宝が全て負担した。制作費の大部分はアメリカ側キャストのギャラであり、昭和44年製作の東宝映画では『連合艦隊司令長官山本五十六』(実質制作費2億1千万円)を大幅に超える結果となった。
当初は本格日米合作SF超大作として宣伝されたが、実際の公開に当たってはテレビアニメ『巨人の星』の劇場版を併映して子供向けの印象を与えてしまったりと混乱があった。そのためか興業成績は芳しくなく、東宝合理化による撮影所の解体も伴い、東宝は今後日米合作SF作品を断念する事となった。
本作は近年まで映像の二次利用に関する契約書の所在が不明であったためビデオ・DVD化されなかったが、契約書の発見に伴い2006年にDVD化された。
[編集] 作品の変遷
本作は戦前のラジオドラマをベースにしており、また内容検討の際ドン=シャープ側が用意したスケッチを元にしており、従来の東宝特撮作品にないアメコミ的カラーを含んでいる。また決定台本まで4稿におよび、相当の改変を経て完成作品となった。
主な変更点は
- 潜水艦アルファ号は原作ではオメガ号、時計会社の商標を考慮して変更
- 敵基地ブラッドロック島はザークーム島
- ルクレチア夫人が吸血コウモリ(原案ではゾンビコウモリ)に変身し主人公を襲う
- 黒鮫号(原案ではシャーク号)艦長黒い蛾(女性)は原案ではハルトゲ(男性でルクレチア夫人と通じる)、黒木ひかるのキャスティングが決まり変更
- 緯度ゼロの描写で、ホットタブパーティ(男女とも全裸)で科学講義を行なう場面があったが削除。監督曰く「あの時代では早すぎた」との事
- グリフォンと主人公達の肉弾戦が、実物大ぬいぐるみを必要とするため削除
などであるが、最大の変更点は、難解と評されるエンディングであった。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
当初、ロートン記者が救出されたのは50年後で、最期にマッケンジー艦長本人がロートンに「緯度ゼロの1日は地上の50年に相当する」と説明する。緯度ゼロ住民の長寿もそこにあることがわかる。
その後、完成作品と同様な日本版エンディングと、別のアメリカ版エンディングの製作が検討された。ロートン救出後彼は新聞記者の前で緯度ゼロの写真をスライドで紹介しようとするが何も写っていない。呆れた記者たちが去った後マッケンジー艦長本人が残り、スライドを再び映すと緯度ゼロの風景が写っていた、というもの。
これらは緯度ゼロの物語が夢であったか、現実であったかを漠然とさせ観客を混乱させる意図によるものであったが、より観客にインパクトを与えるため、田代博士やマリクの瓜二つまで登場する完成作品に落ち着いたと思われる。監督意図では「緯度ゼロはパラレルワールド」だそうである。
[編集] 参考文献
- 「MONSTRUM第二号 緯度0大作戦 −その成立と作品像−」
[編集] キャスト
[編集] スタッフ
[編集] DVDソフト
- 緯度0大作戦 TDV-16115D
- 緯度0大作戦 コレクターズBOX TDV-16116D
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