編集ファミコン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
編集ファミコン（へんしゅうファミコン）とは1989年にシャープから発売されたファミリーコンピュータ互換機。当時の価格は43,000円。メーカー型番はAN-510。別名ファミコンタイトラー。
ファミコンテレビC1やツインファミコンに続くシャープのファミリーコンピュータ複合機で、ビデオ編集機能とS端子の搭載を特徴とした。ファミコンタイトラーとは内蔵されたビデオ編集ソフトの名称だが、本体を指す名称としてもしばしば用いられる。
[編集] 映像出力
S映像出力に対応させるため、映像出力を司るPPUにはオリジナルのファミコン本体に使用されたRP2C02にRGB出力を追加した互換チップ「RP2C05」が搭載された。RGB信号は本体内部でコンポジット映像信号やS映像信号に変換され外部へ出力される。本体にはツインファミコンにも見られたコンポジット映像出力端子、モノラル音声出力端子、RFコンバータ接続端子の他にS映像出力端子も用意されており、この端子を利用してテレビと接続することでより鮮明な画像でゲームを楽しむ事ができた。電子工作に長けたゲームマニアの間ではさらなる高画質を求めて編集ファミコン本体内部からRGB信号を直接引き出す、使い勝手との両立を図りPPUを他のファミコン本体に移植するなどの改造がよく行われた。
ファミコンテレビC1では動作しないソフトも使用できるが、ごく一部のソフトでは不具合が発生する。例えばバブルボブルではゲーム進行に影響はないものの、本来黒色で表示されるべき背景が赤色で表示される。これ以外のソフトでも他のファミコン本体で使用した際とは若干異なる色合いで表示される場合がある。類似の現象はSG-1000用ソフトをセガ・マークIIIで使用した際や、MSX規格のソフトをMSX2規格の本体で使用した際にも見受けられる。
[編集] ビデオ編集機能
本体には他のファミコンでは見られない映像・音声の入力端子と、ビデオ編集の際に利用するための各種スイッチ類も用意されている。カセットを接続せずビデオ編集にモードスイッチを合わせた状態で電源を投入すると本体に内蔵されたソフト「ファミコンタイトラー」が起動し、ビデオ編集モードに入る。
ビデオ編集モードは主にビデオカメラで撮影した映像へのテロップや絵柄、ナレーションの挿入を目的としており、祭りやクリスマスなど季節の行事、運動会など子供の行事、結婚式などの祝い事、赤ちゃんの成長などに対応したサンプル集があらかじめ用意されている。文字入力は本体のタブレットと付属のタッチペンを、音声の挿入はIIコントローラに用意されたマイクを利用して行う。
本体のスーパーインポーズスイッチを切り替えるとビデオ映像とテロップ類が合成される。ゲームソフト使用時でもこのスイッチを切り替える事によりゲーム内の黒い色が透け、ビデオ映像とゲーム画像が合成される現象が発生する。
[編集] 当時の認知度と後の状況
ビデオ編集機能を求める層とテレビゲームを求める層との不一致、さらには情報家電寄りの高額な価格設定から、ディスクシステムとの複合機として大いに普及したツインファミコンとは反対に全く普及せず、その存在もあまり知られていない。しかしシャープのテレビカタログではテレビ用オプション品として、ファミコンソフトの供給がすでに終了した1996年頃まで掲載が続けられた。
その後インターネットコミュニティの発達、一部地域での在庫品放出を経てマニア間ではその存在が広く知られるようになり、他のファミコンにはない高画質の優位性とビデオ編集機能の物珍しさから中古市場では比較的高値で取引される。
カテゴリ: ファミリーコンピュータ | シャープ
