緊縛
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緊縛(きんばく)とは、
- 縄等でしっかりと縛るという意。
- アダルトビデオなどで女性を縄あるいは紐状もしくは帯状のもので拘束し身体の自由を奪う行為を指す。SMプレイでは服従的なパートナーを征服し性的欲求を満たす行為の一つ。縛り方により様々な形があり、服従的なパートナーを縛った状態で吊り上げる方法もある。ここで詳説する。
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[編集] 文化的背景
日本では手錠の発達が乏しかったこともあり、江戸時代の罪人の拘束はもっぱら縄が用いられていた。そのため捕縄術が発達し、如何にすれば囚人が死なずにまた、暴れないかという研究が必要になった、当時の刑罰には市中引き回しという公開処刑である晒し刑があったためである。身体の自由を奪い逃げられない状態にする技術は必要とされた技術であった。
捕縄術が進歩するに従い、他の技術同様内容が高度に細分化されていくこととなった。その例として罪人を縛り上げるときには身分や性別、年齢の違いによって結び目の結び方が異なる、縄の通し方が違うなど縛り方に細かいルールが存在する。これは茶の湯(茶道)や生花(華道)あるいは日本武術、武道などのように動きに美麗を求める日本人独特の感性と、江戸時代という身分固定が(それなりにゆとりがあったとは言え)完成された時代背景・環境が生み出した必然的とも呼べる技術体系である。 ただし、時代劇等では時代考証不足で罪を犯した武家と町民の縛り方が同じである。 ちなみに江戸時代は現代のように人権が基本的にはなかったので、「怪しいやつはとりあえず連行しろ」ということになっていた。これは別に怪しくなくとも一応連行するときも同様であり、その際には当然縛り上げられて連行された。が、当然無罪のケースも多く、そのため「縄目を受けても恥ではない(受けただけでは)」という考え方が一般的であった。もちろん有罪になればお家の恥であるが、ただ縛られて連行されただけではどうということはなかったのである。現在では手錠をかけられて連行されれば、当然大問題であるからして、おおらかな時代だったといえる。
明治維新以降の錦絵で緊縛された女性の絵があらわれ、美しい女囚が、縛り上げられた姿に性的興奮を覚えるという嗜好が公になったのは伊藤晴雨の責め絵からとされているが、それを好む人々が決して少なくなかったのは事実である。
そして近年、性的な表現の幅が広がるとともに、セクシャルなプレイの一環として、緊縛が幅広く取り入れられるようになる。 アダルト業界で、女性を緊縛し調教することを生業としている者を緊縛師・調教師と呼ぶ。
[編集] 縛りの技術
人間のような不定形で個体差の大きいものは、縛ることで自由を奪うことは難しい。実際に手首を縛ってみると、両手を束ねて縛っただけでは簡単にほどけてしまうことがわかる。これは関節の自由度を度外視して縄をかけた結果であり、緊縛には一定の技術・捕縄術が必要となる。ただし緊縛の目的は拘束された状態で長く置くことであり、あまりにきつく縛った結果、血管の血液の流れを阻害して四肢の一部が壊死したり、死に至らしめたりということは断じて避けなければいけない。そのためにも技術の習得は重要である。一般的には関節の動きを殺すために関節で縛る、身体が動くことは結び目が緩むことにつながるので出来る限り動かないように固定する、といった工夫が必要になる。実際に捕縛に従事していた役人の修得した日本武術の柔術各流派には独自の縛り技法が伝えられていた。
[編集] 縛る縄
一般的には麻縄と綿ロープと呼ばれるアクリル製の紐が存在する。一般に緊縛で使用される麻縄はジュート縄が主流となっており、ジュート縄は伸縮性がほとんど無く緊縛には向く素材である。表面にケバが立つため“なめし”と呼ばれる処理または手入れが必要となり、手入れを怠るとパートナーに掻痒感を与えることとなる。ジュート縄は非常に滑りにくい自然素材であるため細かなざらつきが皮膚を受け止め、大きな力がかからない限りは皮膚を傷める心配はない。綿ロープと呼ばれるアクリル製の紐は伸縮性があり、見た目にはソフト感があり鮮やかであるが力をかけた場合皮膚との摩擦が少ないためズレが生じやすく結果擦過傷を起こす可能性もある。
[編集] 主な縛り方
[編集] 上半身(主に腕)主体の縛り方
- 高手小手縛り:最も一般的な縛り方の一つ。後ろ手に組んだ腕の手首を肘より上に縛り、胸の上下に胸縄を巻く。
- 片手小手縛り:一方の腕のみを背後に回し固定、首縄と胸に回した縄で上半身を縛る。片手が自由になるために何かさせるための縛り方。
- 合掌縛り:背後に回した手を合掌させて固定する縛り方。体が柔軟でないと難しい。
- 鉄砲縛り:片腕を肩の上から、もう一方を側面から背中にまわして縛る方法。鉄砲を背負う形に見立てている。
- 後頭両手縛り:両手を頭の後ろで組んだ状態で縛る縛り方。西洋では服従のポーズ。
[編集] 全身の縛り方
- 海老責め:足は座禅を組ませ、そのまま正面から頭を足に近づけ固定する縛り方。体を海老のように曲げるためこう呼ばれる。元は江戸時代の拷問。
- 逆海老:上半身を縛り上げ、足は背中から頭に近づける縛り方。エビとは逆に背中を反らせるためこの名がある。英語ではhogtiedという。
- 座禅縛り:座禅を組んだ状態で足を縛る方法。通常手は背中側に固定する。足首と首を近づけて縛れば海老責めとなる。また、前に倒せば座禅転がしになる。
- 亀甲縛り:もっとも有名な縛り方。首にかけた二つに束ねた縄を股間から背中に回し、余った縄で手首を固定し、正面の縄を開くように固定する。その際に胸のあたりに六角形を作る。縄目が美しいので見栄えがする。手首を縛らずに飾り縄としても用いられる。
- 菱縄縛り:亀甲縛りと似るが、正面の縄目が六角形ではな無く菱形を作るように縛る。
[編集] 緊縛の鑑賞
緊縛は技術としても難しく、また縛らせてくれるパートナーが存在しない場合は鑑賞は不可能である。緊縛された女体の美しさは洋の東西を問わず人気があり、写真、イラストなどさまざまな鑑賞用のアイテムが出まわっている。緊縛写真は芸術的要素も含むため様々なスタイルが存在する。
[編集] 着衣の有無
緊縛を鑑賞する場合、被縛者の着衣の有無でもパターンが異なる。本来緊縛というシチュエーションでは必ずしも裸体でなくてもかまわないが、着衣の場合は想像力をかきたてられるようなファッションが好まれる。特に日本ではセーラー服姿が非常に好まれるが[1]、看護婦やスチュワーデスの制服[2][3]、果てはウェディングドレスでの緊縛もおこなわれる[4]。着衣でない場合も全裸か否かでも違いがあり全裸でない場合は下着姿で緊縛されていたり [5]、下半身のみ裸で緊縛されていたりする。全裸でもその縛り方によってポーズや形態は種々異なる。
[編集] 性器の描写
もともと責め絵とよばれるものは性器の露出を必ずしも必須としていない。日本では特に性器の露出は猥褻として発禁になる傾向にあった。アメリカでも出版規制(アメリカですらコミックに乳首禁止の時代があった)によりボンデージマガジンが生まれるなど、この類の出版物は、いかに性器を露出させることなくエロティシズムをかもし出すかが編集者の腕の見せ所であった。出版物への性器が映らない様にするには股縄を用いるSM雑誌は好都合だったこともありかなりぎりぎりの表現がなされた。日本の出版物の規制は陰毛に対してのものであり、きれいに剃り上げた性器にかかる股縄は大事なところを隠しながら、ぼかされる他雑誌よりもはっきりと局部のラインを描写できるために好事家には好かれた。
[編集] 緊縛重視か責め重視か
緊縛写真には緊縛された女性の肉体美を重視するか、緊縛された女性が種々責められる様を重視するかでスタンスの違いがある。
[編集] 責めの内容
以下、責めを重視した緊縛写真における代表的な責めについて記す。ただし自由を奪うことそのものが責めである、という解釈もできるため必ずしも緊縛した後に性的行為、では無いとも言える。緊縛したまま部屋の隅に放置して相手が音を上げるまで放っておくのも責めとしては面白いものである。
- フェラチオ等を強要する。[6]
- 乳房や秘所をまさぐる。[7]
- 無理やり股を開かせ女性器をあらわにする。[8]
- 集団で陵辱する。[9][10]
- バイブレータで責める。[11]
- 吊るす。[12][13]
- 屈辱的な姿で放置する。[14][15]
[編集] 関連人物
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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