篠山藩
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篠山藩（ささやまはん）は、丹波国（現在の兵庫県篠山市北新町城内）に存在した藩。
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[編集] 藩史
慶長14年（1609年）、山陰道の要衝である篠山盆地に城を築くことによって、大坂の豊臣氏をはじめとする西国諸大名のおさえとする理由から、近畿や中四国における15カ国20大名の賦役により篠山城が築城され、同年末に松平康重が八上藩より5万石で移封されたことから、篠山藩が立藩した。康重は元和5年（1619年）7月19日に和泉国岸和田藩に移され、代わって上野国高崎藩より松平信吉（徳川家康の異母妹の子）が5万石で入ったが、信吉は翌年8月1日に死去し、後を継いだ松平忠国は慶安2年（1649年）7月4日に播磨明石藩へ移された。代わって摂津高槻藩より松平康信が5万石で入る。康信の後は松平典信、松平信利と続いたが、前者は在位3年、後者は在位4年という短命な藩主であった。そして松平信庸、松平信岑と続き、信岑の時代である寛延元年（1748年）8月3日、丹波亀山藩に移され、入れ替わりで青山忠朝が5万石で入った。その後、藩主家は青山氏として明治時代まで続き、第6代藩主・青山忠敏は明治2年（1869年）の版籍奉還により藩知事となり、明治4年（1871年）7月14日の廃藩置県により篠山藩は廃藩となった。その後、篠山藩は篠山県を経て同年11月2日に豊岡県、明治9年（1876年）8月21日には兵庫県に編入されたのであった。
[編集] 藩政
松平（松井氏）の初代藩主・松平康重は、藩政の基礎固めに専念した。松平（藤井氏）第2代藩主・松平忠国は、村上義明など改易された大名を預かったり、福知山藩の城番を務めたりした。また、藩政においても検地の実施や城下町の整備、社寺の建設、文化発展に尽力した。
松平（形原氏）の初代藩主・松平康信は、4ヵ年にわたる検地を実施して郷村制度を確立し、さらに旧勢力である土豪を一掃して藩政を確立した。第4代藩主・松平信庸（康信の孫）は聡明な藩主で、第2代・3代と若死にしていたために混乱していた藩政を再建し、民政に尽くした。また、松崎蘭谷や万尾時春らを招聘して文化興隆に尽力し、篠山藩の全盛期を確立した。幕政においても京都所司代、老中などを歴任している。しかしその後を継いだ松平信岑は暗愚であり、折りしも享保の飢饉と重なって米価が昂騰し、強訴が発生した。にも関わらず、信岑は領民に対して苛酷な税制を強いたため、藩内では百姓一揆が相次ぐ。遂には延享4年（1747年）に百姓から中傷されたのが原因で、翌年に幕命によって追放されるように丹波亀山藩へ移封となった。
青山氏の第2代藩主・青山忠高は儒学者を登用して藩校・振徳堂を建設し、藩士の教育と文化発展に努めた。第4代藩主・青山忠裕は藩校をさらに増築した。なお、忠裕は奏者番、寺社奉行、京都所司代、大坂城代、老中を歴任した功績から、文政10年（1827年）5月7日に遠江において1万石を加増された。第5代藩主・青山忠良は幕末期の中で寺社奉行や老中を務めたが、阿部正弘と対立したことから罷免されてしまった。
藩内の産業においては、稲作以外に見るべきものもなく、そのために藩財政も領民も苦しく、領民は出稼ぎに出る者も少なくなかった。青山氏はこれによる人口流出を恐れて出稼ぎを制限し、さらに財政再建のために課税を強化したり新税を制定したりすることが多かったため、明和8年（1771年）、万延元年（1860年）、明治2年（1869年）などには大規模な一揆が起こっている。この他にも小規模な一揆、打ちこわしを合わせると、件数は20を越えると言われている。このため、藩では重税を課しても一揆が起これば、一揆側の要求を呑むことも少なくなかったと言われている。
最後の藩主・青山忠敏の時代である慶応4年（1868年）、戊辰戦争のときには、歴代藩主が幕閣となっていたことから藩内で佐幕派、新政府派に分かれて対立するが、西園寺公望率いる新政府軍が来襲すると、新政府に降伏した。なお、明治2年（1869年）に遠州にあった藩領は徳川家達の領土として組み込まれたため、新たに丹波・但馬国内で1万石を与えられている。篠山藩の藩財政が苦しかったことを示すものとして、明治3年（1870年）12月末までにおける藩の借財は、28万1329両であったと言われている。藩に産業らしい産業がないことが弱点であった。
[編集] 歴代藩主
[編集] 松平（松井）（まつだいら（まつい））家
5万石。譜代。
[編集] 松平（藤井）（まつだいら（ふじい））家
5万石。譜代。
[編集] 松平（形原）（まつだいら（かたはら））家
5万石。譜代。
- 松平康信（やすのぶ、従四位下。若狭守、慶安2年7月4日藩主就任－寛文9年9月28日隠居）
- 松平典信（すけのぶ、従五位下。駿河守、寛文9年9月29日藩主就任－寛文12年11月20日死去）
- 松平信利（のぶとし、従五位下。若狭守。主膳正、寛文13年1月19日藩主就任－延宝4年11月28日死去）
- 松平信庸（のぶつね、従四位下。紀伊守。侍従、延宝5年2月6日藩主就任－享保2年5月10日死去）〔京都所司代。老中〕
- 松平信岑（のぶみね、従四位下。紀伊守、享保2年6月27日藩主就任－寛延元年8月3日移封）〔寺社奉行。奏者番〕
[編集] 青山（あおやま）家
5万石→6万石。譜代。
- 青山忠朝（ただとも、従四位下。因幡守、寛延元年8月3日藩主就任－宝暦10年7月15日死去）〔寺社奉行。奏者番。大坂城代〕
- 青山忠高（ただたか、従五位下。下野守、宝暦10年9月8日藩主就任－天明元年6月24日隠居）
- 青山忠講（ただつぐ、従五位下。伯耆守、天明元年6月24日藩主就任－天明5年7月18日死去）
- 青山忠裕（ただやす、従四位下。下野守。侍従、天明5年9月10日藩主就任－天保6年閏7月16日隠居）〔寺社奉行。奏者番。京都所司代。老中。大坂城代〕
- 青山忠良（ただなが、従四位下。下野守。侍従、天保6年閏7月16日藩主就任－文久2年2月29日隠居）〔寺社奉行。奏者番。大坂城代。老中〕
- 青山忠敏（ただゆき、従四位下。左京大夫、文久2年2月29日藩主就任－明治4年7月14日藩知事免官）〔奏者番〕
