笑福亭松之助

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五枚笹は、笑福亭一門の定紋である。

笑福亭松之助（しょうふくていまつのすけ）は落語の名跡。当代は2代目。

初代笑福亭松之助（1918年 - 1986年）は、のちの6代目笑福亭松鶴。1946年に実父5代目松鶴に入門して初代松之助を名乗り、1948年に3代目光鶴、1953年に4代目枝鶴を経て、1962年に6代目松鶴を襲名した。昭和の「上方落語の四天王」の一人。本名は竹内日出男。享年68。
2代目笑福亭松之助は、本項にて詳述。

2代目笑福亭松之助（しょうふくていまつのすけ、1925年 8月6日 - ）は、上方（大阪）の落語家、喜劇俳優、作家、タレント。吉本興業所属。兵庫県神戸市出身。本名は明石徳三（あかしとくぞう）。5代目笑福亭松鶴の弟子であり、6代目笑福亭松鶴の弟弟子にあたる。

[編集] 人物

上方落語界でも芸に厳しい噺家とされるが、一般的には「明石家さんまの師匠」として知られている。さんま以外の弟子に五所の家小禄（廃業し、現在は京都の祇園で飲食店を経営）、実子の明石家のんき、パーポ明石（廃業しダンサーになる）がいる。明石家さんまによれば、弟子には主に実家の生業をもとにした芸名を名付けており、さんまのほかにも兄弟弟子として実家が理髪店の明石家パーマ、実家が下着店の明石家パンツなどが過去に存在していたとされる。

上方落語界の最年長である（桂米朝より生まれが3か月早い、東西落語界の最年長は桂米丸である）が、落語家として一門を形成していない事、喜劇役者として活躍し落語界から離れた時期がある事、上方落語協会を離脱した事や、主に新作落語を演じる事などから、総じて軽んじられがちである。

とはいえ古典落語の持ち噺も多く、「らくだ」、「堀川」、「くっしゃみ講釈」、「高津の富」、「ぞろぞろ」、「大箋」、「三十石」、「百年目」、「立ち切れ」、「佐々木裁き」、「お文さん」、「野崎詣り」、「質屋蔵」、「花筏軽業」、「片袖」、「三人兄弟」、「へっつい幽霊」、「兵庫船」、「軒付け」、「首提灯」、「桜ノ宮」、「善哉公社」、「昆陽池」、「三枚起請」など。

別の一面は、明石光司のペンネームで喜劇台本や新作落語の原作を書き下ろす、作家でもある。また趣味の水泳では、マスターズの大会で金メダルを獲ったことがある。他、映画出演多数。

[編集] 来歴

1948年6月 5代目笑福亭松鶴に入門。2代目笑福亭松之助となり、落語家として寺田町の大阪市交通局の寮で初舞台。（実際の高座デビューは翌年の京都富貴亭）
1951年軽演劇の宝塚新芸座にゲスト出演。そのまま入団し、喜劇役者の道を歩む。
1959年吉本興業に喜劇役者として移籍。吉本新喜劇の座長となる。
1961年松竹芸能に喜劇役者として移籍。松竹爆笑劇の座長となる。
1964年日本ドリーム観光へ移籍。千日劇場での落語や「お笑いとんち袋」（桂米朝司会・関西テレビ）のレギュラーの他、大阪劇場での実演にコメディリリーフとして出演する。
1967年吉本興業に復帰。新作の「TVアラカルト」（別名・「仮面ライダー」、「バカボン」）を中心に活躍。
1974年明石家さんまが入門、弟子入りする。
1989年映画『どついたるねん』に出演。（監督・阪本順治）
テレビ朝日「ニュースステーション」のコメンテーターとしてレギュラー出演する。
ドラマ俳優としても連続テレビ小説「まんてん」「わかば」にレギュラー出演した。
2003年映画『蛇イチゴ』に出演。（監督・西川美和）

[編集] さんまの師匠

さんまが弟子入りを希望してきた際「どうしてワシのとこなんか来たんや？」と問うと、「あんたにはセンスがある」と言われて、「おおきに」と答えた。
さんまが修業時代に駆け落ちを理由に上京し、その後、夢破れて帰阪した際、師匠の松之助は決してこの事を咎める事無く、快くさんまを一門へ復帰させた。
さんまは、当初落語家・「笑福亭さんま」として育てられるが、松之助はさんまが落語家よりもテレビタレントの方に向いていると判断。テレビタレントとして活動しやすいように「笑福亭」の亭号を返上させる代わりに、松之助自身の本名「明石徳三」から「明石家」の屋号を授けた。

（一見、温情に見えるが、実は松之助の落語に対する姿勢は真摯であるため、落語を演じない者に一門の「笑福亭」を与えることは許されないとした方針によるもの。従って、現在さんまも自ら「落語家」とは名乗らず、上方落語協会への加入もしていない。和服の着物姿の場合も一門の五枚笹の芸紋は付けず、自らの家紋を付けている。また、上記の判断より、松之助はさんまには落語を一本しか教えなかった。この話には諸説あり、他には「カケオチ騒動を起こしたさんまに協会から非難の眼が向かないよう、明石家の屋号を与えた」など。なお、自分自身は喜劇役者時代も笑福亭松之助の名前で通した。）

さんまの今日までの活躍については概ね好意的である。
- 修業時代にナンパしながら女の子を笑わせていた事について、他の師匠であれば眉をひそめるところを「芸人としてむしろ勉強している」と褒めた。
- よみうりテレビ「11PM」初出演時、司会の藤本義一に対し一方的に喋りまくった事について、絶賛した。
- 現在もさんまの出演するテレビ番組をよく見るが、その度に「彼は常に全力投球で、絶対に手を抜いていない。」と感心している。
さんまはよく遅刻をすることで有名だが、ドラマ等で松之助と共演する際は遅刻もせず、松之助の楽屋の前で長時間直立不動の姿勢で立ち、食事の際には素早く食べ終わり師匠を待つという。また、松之助夫人が足の怪我で入院した際、西宮市の病院まで見舞いに駆けつけた。

[編集] 六代目松鶴との関係

現在の松之助は二代目で、6代目笑福亭松鶴の前座名である。
- なお6代目はあくまでも兄弟子であり、松之助を預かってはいない。（つまり、6代目の一存では改名させられない。）このため、本来は前座名である「松之助」の名が大御所となった今も名乗られ続けている。
松之助は六代目を「兄貴」として慕っていたが、6代目逝去の際は「余りにも悲し過ぎる」ので葬儀には参列しなかった。
松之助が喜劇役者として松竹芸能に所属し、角座の軽演劇に出演していた際、ちょうど六代目の襲名披露興行が行われており、松之助も弟弟子として口上に参加した。（同じ一門であっても、所属事務所が異なれば口上には参加できない。）
6代目のために新作落語を数本書き下ろしている。