社公民路線
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社公民路線（しゃこうみんろせん）とは、日本社会党が日本共産党とは訣別し、公明党・民社党と共に議会を通じて非自民連立政権の実現を目指す戦術を指す。
かねてから、社会党右派が、社公民路線を提唱していたが、当時の力関係では、社共共闘に取って代わることは出来なかった。
1970年代に民社党の西村栄一委員長が『民主的革新政党の統一』を提唱に始まり社会党江田三郎、公明党矢野絢也、民社党佐々木良作ら3党の書記長らが反共の政策集団「新しい日本を作る会」を結成し社公民連合政権構想の第一歩となる。
1975年には、政敵関係だった社会党成田知巳委員長と公明党竹入義勝委員長が和解し社公両党による選挙協力が成立する。
1976年に新自由クラブ、1977年に社会市民連合の結成で中道勢力が拡大した。
1979年の東京都知事選挙で、社共が推薦した太田薫・総評議長が落選したことにより、風向きが変わる。社会党は、社共共闘を破棄し、社公民路線に転換することを確認したが肝心の知事選が公民両党が自民党・新自由クラブ推薦鈴木俊一候補に相乗りし太田候補が落選。この年の12月『公民連合政権構想』、翌年1月には『社公連合政権構想』を樹立し、日本共産党との共闘関係を正式に破棄したが社民両党間の政権構想は出来なかった。
1980年6月のハプニング解散による衆参同日選・衆院選で社民両党は、現状維持だったが公明党が50議席台の割れの大敗し、参院選で公民両党は健闘するも社会党が50議席台割れの大敗をした。これを受け、1980年代には「共産党を除いた国会対策委員長」会談による根回しが常態化する。政策次第では、社会党支持の労働組合が、自由民主党の候補を支援することも始まった。
1986年社会党が発表した新宣言は、自由民主党との連立への布石だとして左派や新左翼などから批判された。この7月の衆参同日選で自民党が圧勝すると今度は前回とは逆転し社会党、民社党が大敗。また中道勢力だった新自由クラブが自民党へ合流した事で選挙協力に大打撃を受けた。12月に社会党土井たか子委員長が誕生。統一地方選、都議選と勝利した。
1989年7月の参院選に地方区で反自民非共産の統一候補で調整し勝ち越し自民党を過半数割れに追い込む圧勝する。参議院で土井たか子を内閣総理大臣に首班指名した。
1990年2月の衆院選で野党で社会党だけ躍進し公民・中道勢力が惨敗した。この結果を受けて公民両党は、社会党との路線をいったん撤回し自民党との連携に動く。
民社党は、春日一幸、塚本三郎、大内啓伍ら自民党に最も近く、「自民党より右」の立場を是とする議員も少なくなかった。そのため、しばしば自民党との連立政権を狙い、党内でも佐々木委員長、永末英一、米沢隆ら社公民路線派としばしば対立した。社会党に対しても、日米安保・原発容認などの「現実化路線」を取るよう要求した。やがて、公明党も含めた両党は「自公民路線」への傾倒を深めて行く。
1992年にPKO法案の賛否をめぐって社公民路線は完全に破綻し、公明・民社は事実上与党として、PKO法案成立に協力した。しかし自民は公民を与党として遇することはなく、野党が分断されただけに終わった。社会党も表向きは自民党と対決していたが、裏では国会対策委員長会談などで根回しして妥協する「国対政治」が常態化していた。実際、自民党梶山静六－社会党村山富市両国対委員長が同法案で根回しに尽力し政局は、安定した。自民党の金丸信は、自民党と、社会党右派（田邊誠や久保亘など）を巻き込んだ大連立を企図していた。7月の参院選で社公民の選挙協力が失敗し惨敗する。
1993年6月嘘つき解散自民党から新生党・新党さきがけが独立すると、再び新生党と組む形での社公民協力が成立。社会民主連合を加えた「非自民五党共闘」態勢を取ったが、保守派が主導権を握り、社会党は「現実化路線」をほぼ呑む格好になった。そして第40回総選挙では議席数は社会党の一人負けだったが、連合政権構想が非自民連立政権に化け成立する事になった。社公民は念願の与党の座に就いたが、社会党は与党内で孤立。やがて非自民政権は、あろうことか社会党・さきがけが自民党と手を組み崩壊する。
社会党「新宣言」から9年後の1995年には、社会党・自由民主党の連立した村山内閣が発足している。しかし、社自の関係は、「新宣言」の成立前から、既に兆候となって現れていた。社会主義労働者党は、新宣言を「自民党との連立の布石だ」と批判していた。
