矢倉沢往還
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矢倉沢往還（やぐらざわおうかん）は江戸時代に整備された街道で、江戸赤坂門から相模国、足柄峠を経て駿河国沼津宿を結び、大山参詣道や東海道の脇往還として機能していた。 現在は、ほぼこの旧往還に沿って国道246号が通っている。
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[編集] 歴史
古くは「足柄道」（あしがらどう）または「足柄路」（あしがらじ）と呼ばれ、万葉集に収録された防人の歌にも登場することから、8世紀頃には主要道として歩かれていた様子がうかがえる。富士山の延暦噴火（800-802年）で一時通行が困難になったが回復、その後は鎌倉時代に湯坂道（鎌倉古道のひとつ、江戸時代以降は東海道に代わる。箱根路とも。）が開かれるまで官道として機能していた。
江戸時代になると大山講が盛んになり、またの名を雨降山（あふりやま）とも呼ばれた大山への参詣者が急増したと言われる。そのとき矢倉沢往還は江戸からの参詣道として盛んに利用されていた経緯から「大山街道」（おおやまかいどう）とも呼ばれるようになり、現在は主に神奈川県内の旧道にて、その名が定着している。
「矢倉沢」（やぐらざわ）の地名は現在の神奈川県南足柄市の足柄峠付近に残っており、この辺りではかつての街道筋を「足柄古道」（あしがらこどう）として整備されているが、他の神奈川県内の区間は大正時代なると県道1号線に指定され、後に国道246号となり、幹線道路として拡幅やバイパス設置等の整備が進んだことから、一部の地域を除き往時の面影を辿るのは困難になっている。
[編集] 地理
[編集] 主な宿場
- 二子・溝口宿（川崎市高津区二子・溝口、1669年（寛文九年）宿駅設置）
- 荏田宿（横浜市青葉区）
- 長津田宿（横浜市緑区）
- 下鶴間宿（大和市）
- 厚木宿（厚木市）
- 伊勢原宿（伊勢原市）
- 箕輪宿（秦野市）（現在の鶴巻温泉）
- 関本宿（かつては「坂本」宿、南足柄市）
- 竹之下宿（静岡県小山町）
[編集] 峠
[編集] 大山街道・大山道
大山講が盛んになる江戸時代中期以降、宿駅などが整備され街道として盛んに利用された矢倉沢往還が「大山街道」の名で呼ばれるようになったのと同様、各地から大山への参詣道として利用された道が他にもあり、たとえば東海道・中原街道に接続する下記の経路も大山参詣道として利用されていたと推定されている。
- 「田村通大山道」 - 四谷（現在の藤沢市城南付近）で東海道と分かれ、田村の渡しで相模川を渡り伊勢原に至る経路
- 「柏尾通大山道」 - 不動坂（現在の戸塚区柏尾付近）で東海道と分かれ、長後、用田を通り、伊勢原に至る経路
- 「伊勢原道」 - 国府新宿（現在の大磯町国府新宿付近）から伊勢原に至る経路
- 「蓑毛通大山道」 - 二宮（現在の二宮町付近）から蓑毛（秦野市）を通り大山に至る経路
また甲斐国からの参詣道としては、須走・御殿場・足柄峠経由の経路や、「津久井街道」（道志みち、現在の山梨県南都留郡道志村・相模原市津久井町青野原）・煤ヶ谷（清川村）を通って大山に至る経路も歩かれたといわれている。
これらのほか、横浜（保土ヶ谷）や八王子からの経路についても「大山街道」「厚木街道」と呼ばれている。
[編集] 参考資料
- 川崎歴史ガイド「大山街道」、川崎市文化財団、昭和57年。
- 「近世神奈川の主要道と矢倉沢往還（大山街道）」、大山街道ふるさと館。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 大山街道ふるさと館
大山街道の歴史について常設展示あり。 - 国道246号について（川崎国道事務所）
大山街道の歴史と現状について記述あり。 - 足柄古道・足柄峠（小田急電鉄）
- かながわの古道50選（神奈川県）
- 大山街道サミット
二子・溝口地区を中心とし、大山街道の歴史を活かしての沿道地域の活性化を目的とする市民活動。
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