画角情報

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画角情報（がかくじょうほう）とは、デジタルテレビ放送における放送信号に付される識別制御情報の一つ。実際の運用としては主にハイビジョン放送用信号で用いられ、4:3画面サイズへの表示を識別できる付加情報。

[編集] 概要

デジタルテレビ放送には、ハイビジョン用放送信号（HD映像信号）と従来解像度放送用（SD映像信号）がある。HD放送用の信号には、サイマル放送の兼ね合いと、過去のアナログ放送向けに作製された映像ライブラリの番組をHD放送信号に変換（アップコンバート放送）する都合で、映像部分が4:3サイズとなっている放送信号が存在する。この4:3映像サイズの番組は、本来は4:3画面テレビでの視聴を前提にしたものなので、4:3テレビの画面では画面全体に表示する必要がある。この放送信号を受信したテレビ側が、通常のHD放送信号（16:9/1080i⇒1920×1080または1440×1080にスクイーズ記録された映像フォーマット）と表示の切替を行なう際に用いる識別用に必用な付加情報。デジタル放送の映像規定に定められている映像フォーマットにあるアスペクト比とは別の情報として定義されている。デジタル放送の開始により額縁放送が出現してこの用語の認知度が広まったが、本来は従来からパンスキャン情報・パンスキャン信号として用いられてきたもの。

あくまで、HD放送信号における4:3映像サイズの識別にだけ用いられる情報なので、単に画角情報と呼ばれることが多いが、意味合いとしては「4:3画面サイズ表示識別情報」という意味で用いられる。

このような放送の場合で、放送局側が識別情報として4:3画角情報を付与していないものは額縁放送と呼ばれる現象が発生する。（ワイド画面テレビでは4:3画角情報が付いている信号も付いていない信号も表示状態は全く同じになる。）現状では、民放のBSデジタル放送や地上デジタル放送では、4:3画角情報をつけていないものが多く、4:3画角情報をつけている局は東京の放送局ではNHK（総合、教育、BS1、BS2）、BS朝日、WOWOW（標準画質放送のみ）、スターチャンネルのみ。その他は、BS日テレ、BS-iのごく一部で行われているにすぎない。在京キー局以外では唯一テレビ埼玉だけがデジタル開局翌日のみ全てのソースに4:3画角情報をつけて放送した実績がある。2006年12月1日に放送開始する放送大学では対応は不明である（ただし全番組が4:3標準画質で制作されている。試験電波を発射している現在の段階では対応している）。

なお、デジタル放送用受信機には放送番組の信号情報をEPG（電子番組ガイド）から取得して表示させる機能を持つものが殆んどである。EPG情報の作製は人間の手作業が介在する関係で、実際の放送信号の内容とは異なる場合（虚偽記載・誤入力など）も確認されている。民放の番組の中には、実際に4:3画面サイズのテレビで視聴した時には額縁放送になるにも関わらず、EPG上では4:3画角情報が付加されているような表示になっているものがある。放送信号の映像信号情報が「4:3/1080i」になっていても4:3画角情報が付されているとは限らない。（EPG情報の表示基準が曖昧な為、視聴者に誤解を与えるケースになっている。）

4:3画角情報を付加して、番組の境界で表示信号の解像度を変更することでのデメリットもある。 4:3画面サイズテレビでは、4:3画角情報により4:3表示を行なうという事は、画面の解像度を本来の1080iから480iに変更して4:3表示を行なう。テレビ側のスペックや機能によっては、搭載画面モニターがハイビジョン用解像度になってる場合は、解像度を切り替えての表示ではなく、ハイビジョン解像度のままで左右の余白パネル部のみをカットするパンスキャン方式で行なう事も技術的には可能だが、現状では多くの機種では、4:3画面表示は480i解像度に切り替えて表示する方式になっている。解像度が変化すると画面制御技術上の関係で画面表示が一瞬乱れてしまう。従ってCMと番組（あるいは隣接する二つの番組）で表示解像度が異なる場合には、4:3画角情報を付加する事で番組の冒頭が一瞬乱れてしまう現象になる。因みにNHK（2004年8月から総合・教育テレビで。2006年11月22日よりBS2で。同年11月24日よりBS1で）では画角情報の異なる番組の間にフェードアウトを挿入する事でこの現象の影響を回避している。地上波の場合、東京キー局送出信号と各ローカル局送出信号との間の切換時はフェードアウトを挿入しても画面の乱れが回避しきれない場合もあるが、これは単純にテレビ側の解像度切換の画面の乱れとは異なる現象になる。BSハイビジョン放送、NHKワールドでも4:3画角情報付きの番組がある関係で、同様に解像度切換時を考慮したフェードアウト挿入があるが、これらのチャンネルでの4:3映像番組のほとんどは、4:3画角情報を付加しない「16:9/1080i」として放送されているおり、従って解像度の変更の影響を考慮する必要がないためフェードアウトの挿入は行なわれない。なお、フェードアウトはアナログが通常（4:3）←→レターボックス（16:9）〈そのほか、通常（4:3）←→レターボックス（14:9）やレターボックス同士（14:9）←→（16:9）の場合もある〉。デジタルが通常（16:9）←→アップコンバート（4:3）への切り替え時に挿入される。