河内守
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河内守（かわちのかみ）は、河内国の国司。畿内のひとつで大国である河内国の長官である。
河内国は藤原京、平城京、長岡京、平安京などの各時代の都の隣国という位置にあり都と海を繋ぐ要衝の地であったため、重要視され、都に近いことから権力の中枢にある権力者の与党が任命されたり、兼務することが多かった。
また、官位制度のうえでも河内国は大国であるため、受領の中では最高位のひとつであり、名誉な位置であったことは確かである。ただし、受領として地方官で一財産を築こうとする受領階級にとっては官位の高さの割に収入は少ない国であるため、受領階級ではあまり人気の国ではなかった。
[編集] 歴代の河内守（長官）<著名な人物のみ抜粋>
賀茂吉備麻呂 かも の きびまろ ???-??? 8世紀前半に活躍した人物で、養老元年（717年）に河内守に任官。
百済王敬福 くだらのこにきしきょうふく ???-??? 8世紀中ごろに活躍した百済王族出身の人物。河内にある百済王神社の建立者。天平21年（749年）、陸奥守の時に、大仏建立に使用する黄金が不足したときに、黄金を発見したことから、その功績により従五位上陸奥守から従三位宮内卿兼河内守に任官。
紀淑人 き の よしひと ???-??? 10世紀前半に活躍した。紀長谷雄の次男で、承平6(936年)年伊予国の日振島で海賊が蜂起した際に伊予守・南海道追捕使となり海賊を帰服させた人物。承平5年（935年）に河内守に任官。天暦2年（948年）に河内守に再任。
源章経 みなもと の あきつね 文徳源氏。藤原公則を養子とした。その子、則経と則章は源義家の郎党。
源頼信 みなもと の よりのぶ 安和元年（968年）-永承2年（1048年） 清和源氏 当初、藤原道兼の家人で左兵衛尉となり、盗賊退治に活躍する。道兼が亡くなり、藤原道長が藤原氏の当主となると、多くの国の国司となり、受領階級として活動するようになる。長元元年（1028年）に平忠常が乱を起こし、平直方らが討伐に向かうが鎮圧できずにいると、長元3年（1030年）に甲斐守に任官し、その翌年長元4年（1031年）に平忠常征伐の命が下ると、忠常は降伏し、頼信の名声は高まった。その後、鎮守府将軍を経て、寛徳2年（1045年）頃、河内守に任官。
坂上定成 さかのうえ の さだしげ 坂上田村麻呂の後裔の坂上主計頭範親(さかのうえ の のりちか)の子。検非違使右衛門少尉、明法博士、右衛門権佐、河内守などを歴任した。
源頼義 みなもと の よりよし 頼信の子。鎮守府将軍をはじめ、河内守、伊予守、伊豆守、下野守など多数を歴任。
源義家 みなもと の よしいえ 頼義の長男。鎮守府将軍をはじめ、左馬権頭、左将監、左馬允、河内守、下野守、相模守、武蔵守、陸奥守、伊予守など歴任。
源義綱 みなもと の よしつな 頼義の次男 河内守をはじめ、陸奥守、伊勢守、美濃守、甲斐守、近江守、信濃守、上野介などを歴任。
源義忠 みなもと の よしただ 河内源氏 義家の子、頼義の孫。第四代の河内源氏の棟梁。家督相続以前に累代の本拠地の河内国の国司を経験。
藤原秀能 ふじわら の ひでよし 寿永3年（1184年）-仁治元年（1240年） 父も河内守で秀宗といった。母は源光基の女。承久の乱で大将軍となった藤原秀康の弟。16歳のとき後鳥羽院（1180～1239年）の北面の武士となった。その後、歌人としても活躍。和歌所寄人に寄人に最年少の18歳でなった。左兵衛尉・左衛門尉・河内守に任官。従五位上出羽守に至り、承久3年（1221年）、承久の乱の際に一方の将となったが、敗北し熊野で出家、如願を号した。貞永元年（1232年）、後鳥羽院が隠岐で編んだ『遠島御歌合』に歌を寄せた。家集に『如願法師集』がある。武人にして歌人であったが、武人としては名を残せなかった。
源義兼 みなもと の よしかね 河内源氏。義家の六男の源義時の孫。義家以来の河内源氏の本拠地である河内国石川荘を継ぐ。石川源氏。石川判官代を称し、河内守であったとする史料あり。
平保盛 たいら の やすもり 平頼盛の子。小谷殿と称す。河内守となり、小谷城を築城し、小谷氏の祖となる。
源光行 みなもと の みつゆき 河内源氏。源氏物語の注釈書や海道記などの著書のある文人政治家。鎌倉幕府政所別当。承久の乱で京方。
源親行 みなもと の ちかゆき 河内源氏。源光行の子。父とともに源氏物語の注釈書を書いた。その他にも多く著書があり、歌人としても著名。詳細は源親行の項を参照のこと。
楠木正成 くすのき まさしげ 大楠公 永仁2年（1294年）？-建武3年（1336年）5月25日 橘氏後裔という河内国の在地豪族であったが、後醍醐天皇の討幕運動に参加し、河内の千早、赤坂の城で幕府軍を苦しめ、討幕運動を成功に導いた功労者。建武の新政では、河内守、摂津守に任官。後醍醐天皇と足利尊氏が対立すると、あくまでも後醍醐天皇に味方し、一度は足利尊氏を駆逐するが、再度、戦い、湊川で敗れ自決した。
楠木正行 くすのき まさつら 小楠公 嘉暦元年（1326年）-正平3年（1348年）1月5日 父、楠正成の死後、家督相続。河内守となり、吉野の南朝の主力として戦う。八尾、藤井寺、教興寺に転戦し、瓜生野の激戦を制す。翌年、四条畷で高師直軍に敗れ、弟正時と自決した。
