永禄の変
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永禄の変（えいろくのへん）は、永禄8年5月19日（1565年6月17日）、三好三人衆と松永久秀らの軍勢によって室町幕府第13代将軍・足利義輝が京都・二条御所に襲撃され、討ち死にした事件である。
[編集] 概説
阿波国守護代から畿内の実力者となった三好氏は、三好長慶のときには、足利将軍や管領細川氏と対立し勢力を伸ばした。しかし、戦国時代においても流通経済の中心地であった京都の支配は、将軍と対立し幕府機構に頼らないままでは維持することが困難で、永禄元年（1558年）には将軍・義輝と近江守護・六角義賢の攻撃を受けて和睦した。その後も、義輝の積極的な幕政復興により、三好氏は京都を掌握することができず、しかもこの頃から十河一存など有力な一族や長慶の嫡男・三好義興が相次いで死亡する。永禄7年（1564年）には長慶自身も没し、その後継者の三好義継はまだ幼かったため、三好氏は没落の色を深めた。
永禄8年5月19日午前8時頃、義輝を廃し義輝の従弟・足利義栄を将軍に擁立しようと画策する三好三人衆・松永久秀らの軍勢は、義輝のいる二条御所を包囲・攻撃した。義輝側はわずかな人数でよく持ちこたえたが、ついに昼頃には討ち死にし、母親の慶寿院（近衛尚通の娘で12代将軍足利義晴正室）も自害して果てた。この将軍暗殺という事態により、将軍の権威は著しく失墜した。なお、このときの奮戦により義輝は剣豪・塚原卜伝の教えを受けた剣の達人であったという説も生まれている。
[編集] その後
松永久秀らは義輝の弟で奈良・興福寺一乗院の覚慶も幽閉したが、2ヵ月後に覚慶は義輝の近臣・細川藤孝らの手により脱出した。翌年2月に覚慶は還俗して名前を足利義秋（後に義昭）と名乗って近江国矢島（現在の滋賀県守山市）を経て越前守護・朝倉義景を頼った。
一方、三好三人衆は義輝の従兄弟にあたる足利義親（後に義栄）を淡路国で擁立して摂津国富田（現在の大阪府高槻市）に入った。
この事態に朝廷は苦慮した。永禄9年（1566年）4月、朝廷は吉田兼右の推挙で義昭を従五位下左馬頭を任命した。馬寮の官職は清和源氏ゆかりのもので次期将軍候補とされた人物が歴任する事も多かった。これに焦った義栄も巻き返しを図り、翌年初めには同じ従五位下左馬頭に任じられた。ここに将軍候補が並び立ったのである。
義栄は三好氏の、義昭は朝倉氏の支援をそれぞれ受けており、将軍宣下のための上洛は近いと思われた。だが、三好氏は三人衆と松永久秀の内紛が続き、朝倉氏は一向一揆対策に追われて上洛どころではなかった。
そこで朝廷は2人の将軍候補に対して取り敢えず一万疋（百貫）の銭貨の献金を将軍就任の要件として求めた。これに対して先に応じたのは義栄であった。義栄は一万疋の献金を半分にまけて貰った上に永禄11年（1868年）2月に将軍宣下を受けた。だが、京都の情勢は不安定で義栄の入京は先送りとなった。ところが、義昭は尾張国の織田信長に頼って同年9月に上洛、朝廷は富田の義栄を解任して義昭を新将軍とした。義栄は阿波国に逃れるものの間もなく病死した。
義昭は先の義栄将軍宣下の関係者の処分を要求し、関白近衛前久と参議高倉永相は石山本願寺を頼って逃亡し、権中納言勧修寺晴右は蟄居、参議水無瀬親氏は義栄とともに阿波に下った。
