武田泰淳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

文学

ポータル

各国の文学
記事総覧

出版社・文芸雑誌
文学賞

作家

詩人・小説家
その他作家

武田泰淳（たけだたいじゅん、男性、1912年(明治45年)2月12日 - 1976年(昭和51年)10月5日）は、第一次戦後派作家として活躍した小説家。妻は随筆家の武田百合子、娘は写真家の武田花。

主に中国文学を手がける。代表作に『ひかりごけ』『風媒花』『司馬遷』『蝮のすゑ』『富士』などがある。

[編集] 略歴

1912年2月12日、東京都文京区本郷にある浄土宗の寺に大島泰信の次男として生まれる。幼名、覚。父の遺言により父の師の武田姓を名乗り武田泰淳と名乗る。

東京大学支那文学科に入学、竹内好と知り合う。左翼活動を繰り返したため退学。退学後、1934年、魯迅の弟、周作人来日歓迎会を機に竹内好らと共に「中国文学研究会」を設立する。

1937年、華中戦線に送られるが2年後に除隊される。1943年、『司馬遷』刊行。終戦後、日本に戻る。 1947年、『蝮のすゑ』発表。同年、北海道大学法文学部助教授として勤務するが、翌年には『近代文学』の同人となり作家活動に専念するため退職。

1951年、当時文学者が多く集まっていた喫茶「ランボオ」で働いていた鈴木百合子との間に子ができる。長女花が誕生と共に11月鈴木百合子と結婚。戦時中に起きた、羅臼島沖に遭難した船長の食人事件をテーマに、1954年『ひかりごけ』を発表。この作品により前述の事件がひかりごけ事件と言うようになった。

1969年10月から、週の半分を過ごしている富士山麓の山荘からイメージを受け、太平洋戦争末期の富士北麓の精神病院を舞台にした長編小説『富士』を文芸雑誌『海』に連載。1971年『富士』を刊行。『富士』刊行後、糖尿病原因の脳血栓症で入院。片麻痺がのこったため以後の作品は妻百合子の口述筆記により書かれる。1976年、『目まいのする散歩』を刊行、野間文芸賞を受ける。

1976年10月5日、胃ガン及び転移した肝臓ガンで死去。64歳。