横山ダム
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横山ダム（よこやまだむ）は岐阜県揖斐郡揖斐川町東横山（旧・揖斐郡藤橋村）地先、木曽三川の一つである揖斐川本川に建設されたダムである。
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[編集] 沿革
揖斐川は古来より氾濫を繰り返す河川であり、大垣市を始め流域市町村は根本的な治水対策を岐阜県に要望していた。これに応じ県は1951年（昭和26年）より補助多目的ダムとして揖斐川河口より約80km地点である横山地先にダムを建設する計画を進めた。その後「木曽川改訂改修計画」の実施に伴いダム事業は1953年（昭和28年）に建設省中部地方建設局（現・国土交通省中部地方整備局）に移管され、1957年（昭和32年）より「揖斐川総合開発事業」として建設事業に着手した。
この間水没する藤橋村住民は「横山ダム建設反対期成同盟会」を結成し一丸となって反対運動を展開。建設省職員との交渉はもとより入村を拒む事態となった。この為建設省は藤橋村長や同盟会会長へ再三訪問、水没住民への戸別訪問を重ねて交渉開始を懇請し2年を掛けて補償交渉に漕ぎ着け、更に2年後の1961年（昭和36年）に補償交渉が妥結するという極めて難航した補償協議となった。又1959年（昭和34年）には伊勢湾台風により当初計画されていた洪水調節流量を超える出水を記録した為、洪水調節計画の再度変更を迫られた。こうした紆余曲折を経て1964年（昭和39年）6月28日に完成した。
[編集] ダムの目的
横山ダムは揖斐川の洪水調節、既得農業用水の取水量維持を図る不特定利水、中部電力による発電（認可出力70,000kW）、揖斐川中流域への新規灌漑を目的とした特定多目的ダムである。灌漑に関しては1968年（昭和43年）より農林省（現・農林水産省東海農政局）が事業主体となって進めた「西濃用水事業」の水源として利用され、下流の揖斐川町岡島に建設された岡島頭首工より取水され濃尾平野西部の農地を潤している。尚、西濃用水は現在西濃用水土地改良区連合が管理を行っている。
堤高は80.8ｍで、型式は中空重力式コンクリートダム。これはダムのコンクリート量を少なく出来る点で昭和中期に盛んに造られたが、技術が高度な為却ってコストが掛かり現在では建設される例は無い。ダム堤体内にはおよそ幅9m、高さ40m、奥行き16mの空洞が10箇所あり、最近ではこの空洞内でコンサートも開かれた。ダム管理事務所に問い合わせすれば、堤体内部の見学も可能である。
[編集] ダム再開発
ダム建設から40年が経過し、特に坂内川より流入する土砂によってダム湖である奥いび湖の堆砂が予想以上に進行している事から、1990年（平成2年）より事業費360億円を掛けて「横山ダム再開発事業」を行っている。湖底の堆砂掘削による有効貯水容量の増量と併せて新規利水として上水道供給を目的としており、2010年（平成21年）の完成予定である。掘削した土砂は上流に建設されている徳山ダム（水資源機構・中央土質遮水壁型ロックフィルダム）の堤体材料としてリサイクルされており、有効且つ経費圧縮と環境に優しい堆砂活用法として注目されている。
[編集] 揖斐地域の道路整備と河川開発
ダムは国道303号と国道417号の分岐点に位置し、左折する国道303号はダム天端を通り、旧坂内村中心部を経て八草山トンネル（旧八草峠）を越え滋賀県木之本町に至る。だがダム天端は幅員が狭く、名阪近鉄バスの路線でもある事から大型車が頻繁に通過しており、すれ違いが困難な為ダム両岸で待機せざるを得ない状況が毎日の様に見られていた。更にダム右岸から旧・坂内村方面は急カーブが連続する隘路でもあり、転落事故の危険性が大きかった。この為横山ダム再開発事業の一環として奥いび湖を跨ぐ斜張橋・「新横山橋」の建設が現在進められており、完成すれば整備済みの区間と直結し事故の危険性減少と冬季の交通の安全性が高まる。「新横山橋」は国道417号と連結する事になるが、417号を直進するとプラネタリウムのある藤橋城を通り、現在建設中の徳山ダムに至る。2008年（平成20年）完成を目標に現在堤体盛り立てが終了、試験的に貯水してダム堤体の安全性を確認する「試験湛水」の準備をしている。藤橋城から徳山ダム湖区間の国道417号も整備が進められ、2007年（平成19年）完成を目標に徳山バイパスの整備が進められている。
揖斐川のダムには上流に徳山ダム、下流には中部電力管理の久瀬ダム・西平ダムが本川筋にあり、支流の根尾川には中部電力の金原ダム（小堰堤）、上大須ダムがあり、坂内川にはイビデン株式会社所有の神岳ダムがある。尚、本ダム上流の杉原地先には徳山ダムの揚水発電施設として中部電力によって杉原ダム（高さ58.0m、重力式コンクリートダム）が、坂内川には国内最大の2,280,000kWの認可出力を誇る金居原揚水発電所の上部ダム（高さ148.5ｍ、重力式コンクリートダム）が関西電力によって建設予定であったが、電力需要の伸び悩みから新規供給は難しいとの判断で中止となっている。
