望月京

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クラシック音楽

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望月京（もちづきみさと、1969年 - ）は、東京都生まれの現代音楽作曲家。

[編集] 略歴

東京芸術大学卒業、同大学院修了。フランス政府給費留学生として渡仏し、パリ国立高等音楽院作曲科第3課程(博士課程）を修了。 IRCAM（フランス国立音響音楽研究所）研究員となる。作曲を北村昭、尾高惇忠、間宮芳生、ポール・メファノ、エマニュエル・ヌネス、ブライアン・ファーニホウ、トリスタン・ミュライユの各氏に師事。

第64回日本音楽コンクール作曲部門第１位及び安田賞、シュティペンディエン賞（ダルムシュタット)、ユネスコ国際作曲家会議優秀作品賞(パリ)、第10回芥川作曲賞、アルス・ムジカ音楽祭prix du public（ブリュッセル)、第53回芸術選奨文部科学大臣新人賞、第13回出光音楽賞などを受賞。

秋吉台国際20世紀音楽セミナー&フェスティバル、南西ドイツ放送局、ベルリン・ビエンナーレ、西ドイツ放送局、ロワイヨモン財団（フランス）、読売日本交響楽団、サントリー音楽財団、ケルン放送局、ミュージック・フロム・ジャパン（ニューヨーク）など世界各国の音楽祭やオーケストラ、財団等から作品を委嘱されるほか、その模様は放送等でも度々取り上げられている。

現在、パリ在住。作品は全てブライトコップフ・ウント・ヘルテル出版社から発売。

[編集] 作風

[編集] 第一期（第一節）

第三世代の同期に比べると作風が開花したのは20代後半とやや遅れ、フランス留学後になる。ファー二ホウやヌネスらの音素材を微細に描くスタイルに魅了され、1995年に「5人の奏者のためのパサージュ・アン・ファイユ」を作曲。音コン一位を受賞したこの作品は「あまりにも高度の技術力で、他のファイナリストをまったく寄せ付けない」と評された。この作品のスコアを評論できる評論家が存在しないとも言われていた問題作であった。事実、この技術力で受賞した若手作曲家は、彼女以来現れていない。

この作品は構成法において新しい複雑性からの影響が顕著ではあるものの、本家とは違い楽器を損なうような狂気までは感じられない。作品後半には等拍リズムも消極的に用いられており、後年の作風の前兆も聞こえてくる。

[編集] 第一期（第二節）

しかしながら、このスタイルをクラウス・フーバーは認めず「日本の勉強をして来い」と一喝した。彼女自身もフーバーのコメントには理解できなかったものの、この時期から様々な持続を組合す反復に興味を持ち、「オーケストラのためのカメラ・ルシダ(sic!本来の発音はカメラ・ルーツィダ)」を完成させる。この作品はフーバーのみならず多くの作曲家からも支持を得て国際的なデビューを飾った。

この時期には「ピアノとヴァイオリンとオーケストラのためのホメオ・ボックス」、「オーケストラのためのメテオリット」、「オーケストラのためのオメガ・プロジェクト」などの大編成の作品で個性を発揮することが多くなったが、「メテオリット」では冒頭の打楽器のインパクトに比べて中間以降は常套的なリズムが多く、意外にもオーケストラのマナーに妥協する結果となった。これら三つの作品群は、「冒頭には才気が見られるものの、後半以降にオリジナルなアイデアを見出しにくい」弱点がそのままになっており、現在もその属性は変わらない。デビュー当初から室内楽作品には微分音を含んだ特殊な音列の使用で作品全体の格調を高めていたが、オーケストラ作品ではそのような工夫も見られず、倍音列をゆがめた音高に装飾が絡んだわかりやすい聴覚上の把握にとどまっている。

その後、オーケストラ作品の委嘱が増えると音楽性はさらにわかりやすくなり、2006年現在はあまり強度の語法を用いておらず響きのテンションも低下している。それでも、1960年代生まれにしては珍しく響きの感性に潤いが見られるため、彼女はなお将来が嘱望される日本の若手作曲家の一人である。