昭和一桁
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昭和一桁(しょうわひとけた)とは、昭和元年(1926年)から、昭和9年(1934年)までを指す。
[編集] 概要
この時代は、政党内閣の一時的な成立と崩壊、金融恐慌、世界恐慌などの経済的混乱、日中戦争の拡大、戦時体制への移行した時期にあたる。
[編集] 世代として
この時代に生まれた人々を指して「昭和一桁世代」と呼ぶ。少年時代は戦時体制下で軍国主義的な風潮の影響を受けた。思春期から青年期を迎えたころに第二次世界大戦の敗戦を経験した。
そのため、保守的な平和主義者が多いが、ナショナリストも少なからずおり、世代のなかに両端の考え方が存在する世代である。また、戦前と戦後の教育の双方を受けた世代であり、学問に対して懐疑的である場合が他の世代に比べて多い。いわゆる墨消し教科書を経験した世代でもある。
またこの世代は団塊の世代の親や、あるいは彼らが社会に出るまでに少なからぬ影響を与えた「大人」の世代でもある。団塊の世代には学生運動(全共闘)も発生しているが、これはこの「大人として社会で実勢を握っている」という昭和一桁世代への反発があったともみなせよう。
なお団塊ジュニアの世代から見ると、「お爺ちゃん、お婆ちゃん」と呼ばれる世代でもある。2000年代に入っては既に引退した世代ではあるが、第二次世界大戦で完全に文化面や社会面での連続性が途切れてしまった時代にあっては、戦前の情報を持つ生き証人でもあり、近年の地域おこしなどで伝統産業や伝統芸能を復活させようとする際には、貴重な証言者ともなっている。
ただ、地方農村ではいまだに現役で働く昭和一桁世代や、働けなくなってあれるに任せた田畑をもつ同世代も見られ、これが食料自給率(→日本の経済#農業)低下の一因とも見なされる。