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星座

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

星座(はくちょう座)
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星座(はくちょう座)

星座(せいざ、Constellation)は、複数の恒星天球上に占める見かけの配置を、その特徴から連想したさまざまな事物の名前で呼んだものである。古来さまざまな地域・文化や時代に応じていろいろなグループ化の方法や星座名が用いられた。古代中国では星同士を結んだ形を星官と呼び、主要な星官にもとづいて分けられた星空の区画は星宿と呼んだ。

目次

[編集] 概要

現在一般的に用いられる星座名は、国際天文学連合(IAU)が定めた88星座の分類による。これは西暦100年頃、アレキサンドリア(エジプト)の天文学者クラウディオス・プトレマイオスオリオン座ふたご座等、古代ギリシアに由来する星座をまとめた「トレミーの48星座」(トレミーはプトレマイオスの英語読み)をベースに、ヨーロッパ諸国の大航海時代に南天に与えられた比較的新しい星座(ほうおう座はちぶんぎ座など)を付け加えることにより成立した。

そのほかの呼び名も提案されたが勝ち残れなかった。特に「しぶんぎ座」は、現在はうしかい座りゅう座とも)の一部で、これにちなんで「しぶんぎ座流星群」の名がある。現在の領域にちなんで、「りゅう座ι流星群」ともいう。

これ以外にも非公式な呼び名(asterism:星群)もある。例えば、「北斗七星」はおおぐま座の一部で、くまのしっぽにあたる目立った7個の星がひしゃく状をなすことから名づけられた名前である。

IAUの星座分類は、名称を定義しただけではなく、各星座の範囲を厳密に決めたことも特徴である。すべての星座は赤経赤緯の線に沿った境界線で区切られている。このため、あらゆる太陽系外部の天体は必ずどれかひとつの星座に属することになる。各恒星は、星座内での光度の順番などにより、ギリシャ語のアルファベットと星座名をあわせ、「こと座 α星」などと呼ぶ。国際的にはラテン語を使い、α Lyraeと書く。このとき星座名は属格に活用変化させる。3文字の略符を使い、α Lyr と書いてもよい。4文字の略符もあるが全く使われない。恒星は、星座内で明るい順にα,β,γと名付けられる。この方式で最初の全天恒星図を作ったヨハン・バイエルにちなみ、この命名法による名をバイエル符号と呼ぶ。バイエル符号以外の命名法もある。恒星の命名法についての詳細は、恒星の項目を参照のこと。

天文学的には恒星同士の見かけの並びは特段の意味は無い。散開星団のプレアデス(すばる)などの例外を除き、星座を構成する星は互いに天体力学的な関連をもって並んでいるわけではない。地球からの距離もまちまちであって、太陽系の位置からたまたま同じ方向に見えるだけである。

しかし、古来星座にまつわるさまざまな伝説・神話が伝承されているため、これらの物語を通じて星座や天体観測に興味を持つきっかけを持つ人も多く、天文学の入門として広く話題として取り上げられ、親しまれている。

[編集] 88星座の一覧

和名 略号 リンクほか
アンドロメダ座 And (Andromeda)
いっかくじゅう座 Mon (w:Monoceros)
いて座 Sgr (w:Sagittarius)
いるか座 Del (w:Delphinus)
インディアン座 Ind (Indus)
うお座 Psc (w:Pisces)
うさぎ座 Lep (Lepus)
うしかい座 Boo (Boötes)
うみへび座 Hya (Hydra)
エリダヌス座 Eri (Eridanus)
おうし座 Tau (w:en:Taurus)
おおいぬ座 CMa (w:Canis Major)
おおかみ座 Lup (Lupus)
おおぐま座 UMa (w:Ursa Major)
おとめ座 Vir (w:Virgo)
おひつじ座 Ari (w:en:Aries)
オリオン座 Ori (Orion)
がか座 Pic (w:Pictor - 元々は Equuleus Pictoris
カシオペヤ座 Cas (Cassiopeia)
かじき座 Dor (w:Dorado)
かに座 Cnc (Cancer)
かみのけ座 Com (w:Coma Berenices (古来は w:asterism)
カメレオン座 Cha (w:Chamaeleon)
からす座 Crv (Corvus)
かんむり座 CrB (w:Corona Borealis)
きょしちょう座 Tuc (w:Tucana)
ぎょしゃ座 Aur (Auriga)
きりん座 Cam (w:Camelopardalis)
くじゃく座 Pav (Pavo)
くじら座 Cet (w:Cetus)
ケフェウス座 Cep (Cepheus)
ケンタウルス座 Cen (w:Centaurus)
けんびきょう座 Mic (w:Microscopium)
こいぬ座 CMi (w:Canis Minor)
こうま座 Equ (w:Equuleus)
こぎつね座 Vul (w:Vulpecula - 元々は Vulpecula Cum Ansere
こぐま座 UMi (w:Ursa Minor)
こじし座 LMi (w:Leo Minor)
コップ座 Crt (Crater)
こと座 Lyr (w:Lyra)
コンパス座 Cir (w:Circinus)
さいだん座 Ara (Ara)
さそり座 Sco (w:Scorpius (別名 Scorpio)
さんかく座 Tri (w:Triangulum)
しし座 Leo (w:Leo)
じょうぎ座 Nor (Norma)
たて座 Sct (w:Scutum)
ちょうこくぐ座 Cae (w:Caelum)
ちょうこくしつ座 Scl (Sculptor)
つる座 Gru (Grus)
テーブルさん座 Men (Mensa - 元々は Mons Mensae
てんびん座 Lib (w:Libra)
とかげ座 Lac (w:Lacerta)
とけい座 Hor (w:Horologium)
とびうお座 Vol (w:Volans - 元々は Piscis Volans
とも座 Pup (w:Puppis)
はえ座 Mus (w:Musca)
はくちょう座 Cyg (w:Cygnus)
はちぶんぎ座 Oct (w:Octans)
はと座 Col (Columba)
ふうちょう座 Aps (w:Apus)
ふたご座 Gem (w:Gemini)
ペガスス座 Peg (Pegasus)
へび座 Ser (w:Serpens)
へびつかい座 Oph (w:Ophiuchus)
ヘルクレス座 Her (Hercules)
ペルセウス座 Per (Perseus)
ほ座 Vel (Vela)
ぼうえんきょう座 Tel (w:Telescopium)
ほうおう座 Phe (Phoenix)
ポンプ座 Ant (w:Antlia)
みずがめ座 Aqr (w:Aquarius)
みずへび座 Hyi (w:Hydrus)
みなみじゅうじ座 Cru (w:Crux)
みなみのうお座 PsA (w:Piscis Austrinus)
みなみのかんむり座 CrA (w:Corona Australis)
みなみのさんかく座 TrA (w:Triangulum Australe)
や座 Sge (w:Sagitta)
やぎ座 Cap (w:Capricornus (別名 Capricorn)
やまねこ座 Lyn (Lynx)
らしんばん座 Pyx (w:Pyxis)
りゅう座 Dra (w:Draco)
りゅうこつ座 Car (w:Carina)
りょうけん座 CVn (w:Canes Venatici)
レチクル座 Ret (w:Reticulum)
ろ座 For (w:Fornax)
ろくぶんぎ座 Sex (w:Sextans)
わし座 Aql (w:Aquila)
りゅうこつ座,とも座,ほ座,らしんばん座の4星座はかつてはアルゴ座 (w:Argo Navis)としてひとつの星座であった。

[編集] 歴史

古代エジプトの遺跡で、既に星の並びを人などに見立てた図が発見されている。記録に残る限り、これが最古の星座だが、現在の88星座に直接結びつくものはない。星同士を結んで星座を作る風習がのちにメソポタミア文明に伝わり、ここで現在の星座の原型ができたと考えられる。ただし、エジプトとは独立して、別個に星座を作ったという可能性もある。

最初に決められた星座は、黄道十二星座で、おそらく、メソポタミア文明以前から住み着いていた羊飼いによって設定された。物的な証拠は残っていないが、ヒツジ、ヤギ、ウシといった家畜がすべてこの黄道十二星座に含まれているのが、間接的な証拠とされる。ただし、羊飼いが設定した星座は12個ではなかった可能性もある。

これらの黄道の星座はメソポタミア文明に取り入れられ、西洋占星術の基礎となった。メソポタミアの遺跡からは、黄道十二星座を記したものが発見されている。この星座は古代エジプトを通じて古代ギリシアに伝わり、ギリシア人たちは自分たちの神話体系にこれを取り入れるとともに、自分たちでもさらに新しい星座を設定した。ギリシア人が設定した星座にはみな神話がついているが、それ以前のメソポタミア文明由来の星座には、神話がついていないか、ついていてもこじつけに近いものが多い。

古代ギリシアでの星座への言及で最も古いものは、紀元前9世紀ホメロスの二大叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』で、星座名としてはおおぐま座、オリオン座、うしかい座が登場した。

紀元前4世紀の天文学者エウドクソスは、現代につながる44星座を決定したとされるが、その著書は残っていない。かわりに紀元前3世紀の小アジア生まれのマケドニアの詩人アラトスがこの44星座を詩にし、これが残っている。プレアデスとヒュアデスの2星団を星座にしているほかは、ほぼ現行のものが使われていた。

現代につながる49星座の設定者は紀元前2世紀の天文学者ヒッパルコスで、アラトスのものに修正を加え、現在にすべてつながる46星座を決定した。この後、トレミーの48星座とかみのけ座を合わせた全49星座を決定したという説もあるが、その著書は残っていない。

紀元2世紀クラウディオス・プトレマイオストレミーの48星座を決定した。プトレマイオスは、かみのけ座を認めなかった。この48星座を決定した者は、前述したとおりヒッパルコスだという主張もあるが、ひとまず、著書が残っているプトレマイオスの名をとり、今でもこれらの星座はトレミーの48星座と呼ばれ続けている。これは長く標準となり、16世紀までは付け加えられることも、減らされることもなかった。

16世紀、大航海時代が始まると、プトレマイオスが観測できなかった南天にも星が続々と見つかった。地動説が唱えられはじめ、プトレマイオスの絶対的な権威は薄らいだ。ティコ・ブラーエは、プトレマイオス以前に使われていたかみのけ座を復活させた。1603年ヨハン・バイエルが南天の星座を記した全天恒星図を作った。ただし、バイエルは、当時の船乗りが使っていた星座を新しく記載しただけで、特に星座を創作したわけではなかったとも言われる。この後、天動説が信じられなくなると、プトレマイオスの権威は低下し、さまざまな天文学者が続々と新しい星座を設定した。ただし、ヨハネス・ヘヴェリウスの7星座とニコラ・ルイ・ド・ラカーユの14星座を除き、ほとんどがその後は生き残れなかった。この時代に設定された星座は、星が少なく、従って星座も設定されなかった領域に無理やり星座を作ったような例が多い。また、王侯貴族にちなんで名付けられたものも多かったが、その他の国に認められず、ほとんどが消えていった。

このように、さまざまな理由で星座が乱立し、基準がとれなくなりはじめたので、1928年の国際天文学連合(IAU)第3回総会で現在の88星座が決められ、現在に至っている。

[編集] 日本語での呼称

88の星座とそのラテン語での正式名は決まったが、日本語での翻訳は特に決定的なものがなく、各天文団体ごとに若干異なる訳名が使われた。1944年に学術研究会議(現日本学術会議)が訳名を決定するとこれが全国的に使われるようになり、その後、数度改定され、現在に至っている。

[編集] 中国の星座

[編集] 星の集合体

中国では星空を天上世界の官僚機構に見立て、星同士を結ぶ線で構成される形を「星官」と呼んだ。西洋の星座と違い、1星や2星といった少数の星によって構成されるものも多いことが特徴である。古来より天文家ごとに星官の名称は異なっていたが、三国時代の陳卓が石氏・甘氏・巫咸三家の星官を統合して283官1464星とし、以後、この体系が沿用された。

[編集] 天球上の領域

星官は西洋天文学の星座と異なり、それ自体に星空を分割した区画の意味は含まれていない。天球上をある程度の面積をもった領域に区分した天区には三垣二十八宿の体系が作られた。個々の天区は天の北極付近および黄道沿いにある主要な星官に距星が置かれ、その距星のある星官によって名前がつけられている。

また二十八宿を7宿ごとにまとめた四象があり、東方青龍・北方玄武・西方白虎・南方朱雀に四分された。

なお三垣二十八宿や四象は星官にもとづいた不均等区分の天球分割法であるが、中国天文学にはこの他に天球を12の区画に均等区分した十二次十二辰といったものがあった。十二次・十二辰の領域や境界は二十八宿の度数を座標系として使用することによって表された。

[編集] 関連項目

Wikimedia Commons
ウィキメディア・コモンズに、星座に関連するカテゴリがあります。


[編集] 外部リンク

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