旗艦
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旗艦（きかん、Flagship）とは、海軍用語で、司令官（司令・司令長官などを含む）が座乗し、指令・命令を発する艦である。
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[編集] 語源
無線による情報伝達（無線通信）が無い19世紀以前には､洋上での情報伝達は主として「旗旒信号（きりゅうしんごう」という旗によって伝達する方法であった。そこで司令官の指令・命令は、座乗する艦のマストに複数の旗として掲げられ、この旗（旗旒）を掲げる艦を旗艦とよんだ。
[編集] 変遷
元々旗艦が誕生する背景には、海戦において戦術的な艦隊が形成し始めた「艦隊戦」の登場による。そして使用される艦種は時代と共に変遷した。
[編集] 木造帆船時代
司令官とその幕僚を乗せて、艦隊に指示を出す高いマストを有する艦、すなわち艦隊で最大の戦列艦が旗艦とされ、中でもトラファルガー海戦に勝利した英国ネルソン提督の旗艦「ビクトリー」が有名である。
[編集] 前弩級艦時代
無線による意思疎通が始まった時期だが、重要な命令は旗によった。戦闘では司令官は艦隊を率いる先頭艦に座乗する。そこで木造帆船時代と同様、最大最強の艦を旗艦とした。日本海海戦で活躍した東郷平八郎が座乗した連合艦隊旗艦戦艦「三笠」が現在も横須賀にあり一般公開されている。
[編集] 第一次世界大戦～第二次世界大戦初期
無線による指令・命令が一般的に使用されるようになった。また司令部に属する人員の数も増えたため、旗艦用に特に居住区を設置した艦も作られた。第一次世界大戦時のドイツ海軍の旗艦戦艦「フリードリッヒ・デア・グロッセ」は特に旗艦用として居住区を設けていた。
[編集] 第二次世界大戦中期以後
従来旗艦として使っていた戦艦は、航空機の攻撃に対して鈍重すぎて時代遅れになりつつあることが明瞭となった。また情報伝達量の飛躍的増大を受け、高速力で通信能力に優れた艦を旗艦とするようになった。昭和18年2月に日本の連合艦隊旗艦となった軽巡洋艦「大淀」が代表例。
[編集] 現代
艦固有の運動力（速力）・攻撃力・防御力よりも指揮・通信能力が最重要視されるようになった。米国第7艦隊旗艦「ブルー・リッジ」の艦種は「揚陸指揮艦」であり、指揮・通信能力や居住区は十分あるが戦闘能力はほとんど無い。現在の日本海上自衛隊護衛艦隊旗艦の護衛艦「たちかぜ」も、旗艦になるに際し兵装を減らして司令部施設を設けた。
[編集] 転用
上記の意味が転じ現代では「旗艦」を、同一会社の中で最大の設備・規模を有する中核店舗・工場を指す場合もある。（※）
例）某デパートの本店、某工業の本社工場。*ヒンデンブルク号はツェッペリン社が有する最大の飛行船で旗艦と呼ばれた等。
[編集] フラッグシップ
フラッグシップ機の記事も参照。
他の多くの海軍用語と同じように旗艦やフラッグシップの語も多分に洩れず、集団やグループを率いる最も重要な位置付けにあるものとして日常的な言葉づかいとして使われる。
製造業の企業ではフラッグシップ・プロダクト（例：自動車メーカーにおける、そのメーカーの最高級車）、小売業のチェーンストアでは先駆的な試みをする位置付けの店舗としてフラッグシップ・ストアのように形容詞的に用いられる。ラジオやテレビ等の放送網にあってはキー局（ホーム・ステーション）をフラッグシップ・ステーションのように表現する。
他方、小説における旗艦の位置付けは比較的大雑把な用いられかたが多い。例えばSFテレビドラマや映画の『スタートレック』シリーズにおける USS エンタープライズ号は、その他の多くの宇宙艦に乗船している高位の階級の部隊指揮官は座乗していないが、惑星連邦の旗艦としてしばしば紹介される。
[編集] 関連項目
- 司令部
- Z旗
- 大和、武蔵、長門 ：連合艦隊旗艦
- マシュー・ペリー：旗艦は1回目ミシシッピ号、2回目サスケハナ号
- 赤城 ：機動部隊こと第1航空艦隊の旗艦
- 日本海海戦において旗艦三笠がZ旗をあげた.
- 宮古港海戦 ：新政府軍船の旗艦は「甲鉄」
- トラファルガーの海戦 ：イギリス艦隊旗艦はビクトリー号
- HMS Victory（英語）
[編集] 参考図書
- 世界戦艦物語 福井静夫著作集第6巻 1993年8月 光人社
- 近代戦艦史 世界の艦船1987年3月増刊号 海人社
- 世界の艦船 2004年1月号
[編集] 外部リンク
- 記念艦みかさ公式ホームページ（財団法人三笠保存会）（世界三大記念艦として横須賀市の三笠公園に保存）
- 総合海洋事典＞＞旗に関する用語
- 海運雑学ゼミナール＞＞「200 国際信号旗は船舶同士の重要な通信手段」
