斎藤勇 (イギリス文学者)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
斎藤 勇（さいとう たけし 1887年 - 1982年7月4日）は英文学者。文学博士。日本における英語・英米文学研究の生みの親であると同時に、植村正久に師事した敬虔なクリスチャンとしても知られ、日本のキリスト教界でも重鎮として信望を集めた。
福島県生まれ。東京帝国大学文学部英文科卒業。1923年から東京帝国大学教授。自身のプロテスタント信仰を背景に、日本における英文学研究に学問的基礎を与えた。夏目漱石が去った後の東大英文で指導的存在となる。教え子は芥川龍之介や中野好夫など多数にのぼる。
1947年に東京大学を定年退官し、名誉教授となる。1948年から1954年まで東京女子大学学長。この間、1949年、福原鱗太郎や市河三喜、大和資雄、中野好夫たちと共に日本英文学会を設立。1950年から始まったチャタレイ裁判では検察側証人として出廷。1953年、国際基督教大学の開学に参加。1954年から1964年まで国際基督教大学教授。
1975年、文化功労者に選ばれる。永らく日本英文学界の長老として斯界に重きを成していたが、1982年、東京都新宿区の自宅にて、当時27歳の孫に襲撃され、非業の死を遂げた。孫は統合失調症ゆえに責任無能力と診断され、精神病院に収容された。
長男は政治学者斎藤真。娘は佐波正一（国際基督教大学理事長）に嫁した。
著書に「英詩概論」「イギリス文学史」「植村正久」などがある。
