悪魔のようなあいつ

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悪魔のようなあいつ（あくまのようなあいつ）は1975年 6月6日～同年9月26日まで東京放送（TBS）系列で放送されていたテレビドラマ。1968年 12月10日に発生し放送された年の12月10日に未解決のまま時効を迎えた三億円強奪事件をモチーフとした作品で沢田研二の本格的テレビドラマデビュー作品でもある。

[編集] あらすじ

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[編集] スタッフ

原作：阿久悠、上村一夫
脚本：長谷川和彦
演出：久世光彦、和田旭、前川英雄、浅生憲章、大岡進
プロデューサー：久世光彦
音楽：井上尭之、大野克夫
主題歌：沢田研二「時の過ぎ行くままに」
制作：東京放送

[編集] キャスト

可門良：沢田研二
いずみ：三木聖子
野々村修二：藤竜也
八村八郎：荒木一郎
山川静枝：篠ヒロコ（現：篠ひろ子）
白戸警部：若山富三郎

[編集] DVDが出るまで事実上封印されていた理由

当該番組は沢田研二が本格的にテレビドラマデビューした作品という事から知名度は高いのだが近年DVDが発売されるまで再放送された事もなければビデオ・レーザーディスク化された事がなく事実上の封印作品となっていた。理由は三億円事件を題材に使った事が原因というのが定説となっているが事実若山富三郎を扮する刑事を悪役の代表として描いていたり、毎回のエンドで「時効まで、あと○○日」とまるで放送当時捜査していた警察庁・警視庁・府中警察署を嘲笑うかの如きテロップが出されていた。反社会組織礼賛タブーに触れるような筋立てではテレビ再放送・ソフト化できないのも無理もないが実は他にもいくつか理由が存在する。それは…

今でいう所のホモフォビア的表現が見られた。
病気をネタにした演出箇所が見られた。
今でいう所のパクリ的表現が見られた。
沢田研二サイドが長らく許可を出さなかった。

…の4点である。1.のケースは主人公が勤める藤竜也扮するクラブ経営者がいわゆる筋肉質のゲイで（当時藤は筋肉質の俳優という事で非常に珍しがられていた。）いつも主人公に近づいて「理想郷で一緒に暮らそう。」と友人以上の関係になろうとしていたが当時はゲイそのものが市民権のない時代であるから筋肉ムキムキの人間はみんなゲイなんだなという固定観念を植え付けるに十分な表現。今だったら「ホモフォビア的表現だ!」とゲイの団体から抗議されるのは必至であろう。

2.のケースは久世光彦お得意のおふざけ演出がタブーの一線を超えたものといえる。久世は時間ですよでヌードシーンを挿入したり、寺内貫太郎一家では主人公の母親が孫の部屋にあった沢田研二の写真を見て「ジュリーっ!!」と絶叫するシーンや食事中の大乱闘（※　大体主人公の息子が反抗したことがきっかけとなる。ちなみに食べ物は粗末にしていなかった。）を挿入するなどおふざけ演出で知られていたが当該番組でもいかんなく発揮している。しかし、これがタブーの一線を超えるものとなってしまった。久世は主人公が脳腫瘍を患っていていずれは死ぬ運命であるとの設定を表現するため病気で苦しむシーンを演出しているがそれは「ビョ――ン」という効果音を挿入→主人公が頭を抱える→そこに「脳腫瘍を示す英字」を重ね→そのテロップアニメーションで強調し…→最後には白目を向いて悶え苦しむ!というもの。しかもいずれは死ぬというのが「発狂して」である。今の放送指針では特定の病気を死ぬ病として表現したり精神障害者差別を助長する表現はタブーとされている。久世はそういうタブーを破っちゃったわけだから再放送されないのも無理はない。

3.のケースは荒木一郎扮するろくでなしが自殺するシーンの表現方法。ろくでなしは体にダイナマイトを巻いて自爆し果てているがこれはジャン・リュック・ゴダールのヌーベルバーグの大作気狂いピエロで主演のジャン＝ポール・ベルモンドが自殺するシーンにそっくりというのである。ジャン・ポールは恋人に裏切られたのに腹をたてダイナマイトを体に巻いて自爆しているがそのシーンをそっくりそのままパクッたというわけである。今ではパクリ自体が大問題になるご時世だからソフト化された場合ジャン・リュック・ゴダールの関係者から抗議されるのは必至だからDVD化が実現するまでソフト化をためらったのもうなづけよう。（※　余談だがDVD化された際ジャン・リュック・ゴダールから抗議の声がこなかったという。）

4.のケースは有力な理由といえる。主人公を演じた沢田は自身の要旨に対して実にストイックな事で知られていて当時の要旨が自身の理想としているものでなかったら映像化の許可を出さないことでも知られている。当該作品が再放送されない、ソフト化されなかったのはやはりこれというのがファンの間で通り相場となっていたが近年、沢田も「元に戻せないからもういいや（※　近年の沢田は二重アゴのオッサンと化しているという。崇拝者には見せられない体形だ。）」と悟ったのだろう。ようやくソフト化にOKサインを出したというわけである。結局沢田が許可を出さない限り封印されたまま…という事になっていたといえる。