性具
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
注意: この項目には未成年者の閲覧にふさわしくない記述・表現が含まれています。
医療情報に関する注意:ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。免責事項もお読みください。 |
性具(せいぐ)は、人間の性的欲望を満たす目的で作られた製品で、女性用・男性用のほか様々な製品が作られている。大人のおもちゃ、愛のおもちゃ(love toy)とも呼ばれる。
目次 |
[編集] 概要
これら用具は生殖器や肉体を刺激する事で、性的な快楽を得るための物である。
マスターベーション(オナニー)用の物や特殊な性癖に特化した物もあるが、使用法によっては性機能障害や不感症の改善に役立つと一般には思われており、多くの場合ではより倒錯した性行為に補助的に使用される事もある。
その用途上、18歳未満の人が購入する事は道徳上で公序良俗に反すると考えられているため、その販売に関しては法律や地域条例、または業界内の自主規制の上で制限が設けられている。
これら器具類は大別して
- 男性が一人で楽しむ物
- 女性が一人で楽しむ物(または複数の女性が同時に楽しむ物)
- 男性が女性に性的刺激を与えるために使用する物
- 女性が男性に性的刺激を与えるために使用する物
- 男女が性交時に同時に使用して、性的快感を強める物
- 特殊な性癖を満足させるために用いられる物
となっているが、この幾つかの特徴を併せ持つ器具もある。
古くから女性が性的快楽を追求する行為は不道徳的であると見なされていたため、これら器具の多くは男性の性的な願望を強く反映した物が多かったものの、近年になって女性の性的な欲求も社会的に認知されるようになって、女性自身の発案による器具も多く出回るようになった。
しかし、これらの器具の多くは「いかがわしい物」として、けして大っぴらに販売される事が無いため、粗悪な製品が多く出回る傾向が強く、購入者も買った事が周囲に知られる事を厭う傾向が強く、粗悪品を買ってしまっても泣き寝入りする事も多いために、何処の国の製品であっても、全般的に良心的な物は少ないようであるが、近年ではインターネット上の通信販売でも専門サイトの増加もあって相当数が流通しており、中には良心的で品質面に配慮した製品の発売を表明するところも見られるようになってきている。日本では果敢にもグッドデザイン・コンテストに出品しようとした業者も出ており、審査段階で強制撤去という憂き目を見たものの、工業製品としての安全性・信頼性を意識する段階にあることが伺える(→ZAKZAK記事)
なお、「性具」は薬事法における医療機器(衛生用品)としての制限を受けるため、「玩具」(ジョークグッズ)などとして販売されるものも少なからず存在している。前者はともかくとして、後者は機能的に問題が見られる傾向が強い。その用な物を「性具」のように利用する際には、コンドームを器具に装着するなど、衛生面や破損時における相応の配慮が必要である。
[編集] 歴史
これら性的用具の歴史は古く、その起源ははっきりしないが、紀元前より権力者の衰えた勃起能力の代用品として、張形と呼ばれる男性生殖器を模した器具が存在していたとみられる。石器時代には既に、そのような用途に用いられたと見られる石器が登場していたと見る説もあるが、古くは処女が初めて性交する際の出血で陰茎が穢れると考え、そのような器具を使用したと考える者もいる。(初夜権)
記録に残る日本最古の張形は、飛鳥時代に遣唐使が持ち帰った青銅製の物が大和朝廷への献上品に含まれていたと云う記述があるそうで、奈良時代に入ると動物の角などで作られた張り形が、記録に登場している。
江戸時代に入ると木や陶器製のこれら器具が一般にも使われ始めるが、一部では陽物崇拝の一環として、神社に奉納されるためにも用いられ、実用には適さないような、とてつもないサイズの張り形も見られる(→かなまら祭)。なお、この時期と前後して江戸城下には幾つかの媚薬や精力剤を専門に扱う店が生まれたが、その元祖と言われているのが1626年に創業した四ツ目屋と云われている。
現代では、高度な電子技術を駆使したバイブレータなどの製品は家内制手工業により製造されており、厳冬期の豪雪地帯での貴重な仕事・産業となっている。日本製品は高い性能と品質を誇り、中国・韓国など近隣諸国でも人気が高い。
[編集] 女性向け
[編集] ディルド(張形)
男性性器を模した物で、モーター等は内蔵されていない。金属性や木製・陶器製の物などが古くからあったが、あまりに固過ぎて違和感(もしくは異物感)もあったためか、近年ではゴムやシリコーンと云った、柔らかい素材の物が好まれるようである。逆に硬いガラス製の物もある。両端が男性器を模した物もあり、こちらは女性同士が楽しむためにも用いられる。発展形として腰の前面に装着するためのベルトまたはパンツと一体化されたペニスバンドがある。多くの商品で張形を外向き、内向きに変更可能。
[編集] バイブレータ
バイブレータに人や動物の顔がついているものは古いモデルで、現在は様々な形が存在する。また、購入者には男性が多いと考えられてきたために、ハイパワーや高機能を謳ったものが多かったが、最近は女性の購入者の割合が増えてきたため、デザインや色がよりマイルドなっている。
- スティックタイプ
- バイブレーターの中でも棒状のもので、モーターと錘(またはカム)により震えるようにできており、中には全体が屈伸したり表面の凹凸が変化するなどの複雑な機構を備えた物もある。またそれら機能を適切に配置する事で、陰核を刺激するための装置が取り付けられているものがあるなど、より過激な興奮を得られるように改良が続けられている。このような製品を利用した場合、より強い刺激を求めて次第に太いものを求めるとする俗説ないしポルノ設定上の扱いもあるが、これは特に医学的根拠がなく、実際には遥かに巨大な新生児が通過した後の女性でも、通常の性交で十分性感が得られるのは周知のとおりである。
- 女性の膣の深さは、日本女性で平均14 - 15cmとされている。女性の性器は非処女であっても、大きなものの挿入に対して実質的な痛みや恐怖を伴うために、必ずしも大きなものを求める女性ばかりとは限らない。出産経験者が膣がゆるくなるといった話から、女性の膣は伸びやすいと思われがちだが、括約筋は拡張し続けなければ収縮して元にもどる。また、クリトリスやGスポットを刺激して得られる性感と子宮口を圧迫して得られる性感は著名だが、膣口を拡張して得られる性感は個人差が大きい。性感の調査の上では単純に巨大なものを挿入した際に、圧迫感が強すぎて挿入感が鈍るという報告も見られる。そのため必ずしも性具を用いた場合に大きなサイズを好むわけではない。実際12cm程度の小さなディルドーもロングセラー商品として販売され続けている。
- 古くは濃いピンク色や黒のものが多かったが、オナニーが一般化するにつれ、形状や色が、卑猥でないものが増えて来ている。近年では女性向けの入りやすいアダルトグッズショップや、インターネット上の通販サイトが増えており、幅広い年齢層に受け入れられているため、初心者向けの小さくシンプルな物から、熟練者向けの巨大で凹凸の激しく刺激が強い物まで様々な製品が用意されている。
- 通販の場合、表向きはマッサージ器などと称して売られている(前述の薬事法による規制のため)場合があるので注意する必要がある。ただ、注意書きとして不自然に防水機能を備えているとか直径が書かれているので勘のいい人にはすぐに理解できる。人に知られにくいようケースに可愛い縫いぐるみなどが用いられることがある。
-
- 主なバリエーション
-
- 電動こけし:バイブレータの中でもこけしの形をした性具のことを言う。こけし (性玩具)を参照。
- うねり・首振りタイプ:内部にモーターとロッド、カムを仕込むことで棒部分をうねらせるもの。
- 三点タイプ:内部モーターの振動を利用し、棒状部の付け根に2つの突起を設けたもの。肛門と陰核を刺激するために作られている。極初期に出た「熊ん子」から続く代表的なタイプ。
- パールタイプ:内部に小さな球を詰め込み、それを攪拌することでバイブ表面を変化させるもの。
- ローター内蔵タイプ:廉価版で、スティック状の本体に、後述のローターを仕込むもの。アクションには乏しいが経済的である。
- 自作タイプ:野菜など好きな形状のものを型取りし、シリコーンを流し込むことで自作が可能なキット。振動は後述のローターを組み込む。
- 双頭タイプ:振動部が中央にあり両端が挿入可能になっているもの。これは、女性同士が松葉崩しの体位のように互いの外陰部を近づけ、互いの膣口にバイブレータのそれぞれの頭をあてがい、挿入し合うものである。
- 防水タイプ:ほとんどがシンプルなスティックタイプでOリングなどを用いて入浴しながらでも使用できるタイプ。
- 家庭用電源タイプ:乾電池ではなく100Vコンセント(ACアダプター)で使用するタイプ。
- リモコンタイプ:無線でスイッチのオン・オフ、強弱の変更を可能にしたもの。
- ストラップ装着型:いわゆるペニスバンド。バイブレータ付きのものは少ない。
- ロータータイプ
- 一般にピンクローターまたは単に「ローター」と呼ばれる物で、振動部分だけを小型化したものである。膣内へ挿入できるようになっているが、陰核や乳首などを刺激し快楽を得る用途に向く。また外見が男性器をかたどっていないため、所有への心理的抵抗感が少ない。
- 乾電池とスイッチのケースが振動部分とケーブルで接続されている場合が多いが、このケーブルと振動部への接続は防水になっていない事が多く、また引っ張り強度も弱い物もあるため、挿入の用途に向かない製品も見られる。そのため、挿入に際してはコンドームを装着して使用すると良い。
- 本来この製品は女性用であるが、これを肛門に挿入し快楽を得る男性もいる。
-
- 主なバリエーション
- 家庭用ハンディマッサージ器用アタッチメント
- 近年発売されている肩や腰などをマッサージする器械の先端部を交換、挿入もしくは振動刺激が楽しめるようにするもの。もともと大人のおもちゃではないものを利用するのでハイパワーな上、アタッチメント自体は単純な構造で洗浄しやすい他、アタッチメントを外しておけば収納も容易という利点がある。主に海外製。
[編集] 真空吸入具
- 乳房用
- もともとは妊婦用の搾乳器。女性の乳首を吸い上げることで乳首を際立たせる効果がある。近年では動力つきの大型なものが登場し、海外のアダルトビデオなどに見られる。コンプレッサーを用い、透明のアクリル製シリンダーを乳房に装着して使用するが、これはどちらかというと性感云々というよりも、一種の性倒錯プレイ用品といえよう。
- 陰核部用
- 俗にクリキャップと呼ばれる1990年代に登場した、ゴムなどで出来た小さなサック状の器具は、勃起した陰核に装着して使用する。一般に陰核は最大限に勃起しても外陰唇より出るか出ないかといった大きさで、また絶頂に達する前に萎えてしまうため、これを持続的に刺激するために考案された。キャップを指で潰して装着、キャップ内を陰圧とする事で、陰核に吸い付かせる形で装着する。もとは実験用のスポイトのゴム球部で代用されていた。
- キャップ内を陰圧とする事で、陰核の勃起を強制的に持続させると共に、キャップ頭部が常に陰唇の外部に飛び出した格好となるため、これに触れる形で陰核を刺激する。
[編集] 男性向け
[編集] オナホール
ラブホールとも呼ばれる。男性器を女性器へ挿入する快感を再現するための膣口をかたちどった製品。これに男性器の挿入を繰り返し女性器への挿入に近い快楽を得る。一般に女性の性器を忠実に模した物が好まれ、実物の陰毛を植毛した製品もあるが、逆に全く違った形状で一見それとは判りにくい物も存在する。価格は、ほとんど使い捨ての100円程度の物から、ローションを使用し繰り返し使える数万円代のものまである。また、バイブレーター機能を内蔵していたり、ピンクローターを装着できる構造になっている物もあり、より強い刺激を得ることができる。高級品では、人工皮膚(シリコーン等の軟質合成樹脂素材を使用し、より人体に近い触り心地を再現するため、異なる固さの樹脂で積層構造としている)なども使われる。
古くはコンニャクを使用する方法もある。
-
- 主なバリエーション
[編集] ダッチワイフ
女性の人形(等身大の全身若しくは下半身のみ)にオナホール取り付けたものが一般的。オナホールは同封されてないものもある(人形、として販売しているため)。
陰部のみならず口や肛門に当たる部分にも、男性性器を挿入するための穴が設けられた物もある。ビニール風船のような空気を入れて膨らませる簡易式の物から、シリコーン樹脂などで女性臀部や全身を模した物など様々だが、得てして後者は高価で数十万円台の等身大人形といった高級品も市販されており、差別化のため、こちらは「ラブドール」とも称される。
高級なものは、性具というよりはむしろ等身大の着せ替え人形として利用されているものも少なくない。特にラブドールなどでは、椅子に座らせたり様々なポーズを取らせる用途に向くよう、骨格構造を持つものも多く、近年の専門メーカーともなると様々なオプションパーツを用意して、客が好みで自由に容姿を選択できるタイプの物も見られる。
[編集] 前立腺刺激具
商品名から「エネマグラ」と呼ばれることが多い前立腺マッサージ器。単に「プロステート(prostate:前立腺)」と呼ぶ場合もある。勃起不全や前立腺障害解消用の医療機器であるが、大人のおもちゃとして分類されることもある。
肛門を介して前立腺を刺激することにより、女性のオーガズムに近い(射精をともなわない)快感(ドライオーガズム)が得られる。また、男の肛門は性感帯として広く知られており、陰茎に触れなくとも、肛門に指や器具を挿入するだけで射精が自然に起きることがあるとされている(これを俗に“ところてん突き”と言う)。余禄ではあるが不妊治療においての精液採取方法には電気刺激射精法と呼ばれるものがあり、性感に拠らずとも電極を肛門から挿入して前立腺を電気刺激することで射精が行える。なおこれは脊髄損傷などで下半身の感覚が無くても射精が行える方法でもある。
女性の肛門よりも性感度は男の肛門の方が大きい。一説によると前立腺を肛門から触ることができるために快感を感じたり、射精が起きたりすると言われている。また毛深い男性ほど肛門周辺の性感密集度は高く、愛好者筋に依れば肛門に発毛している男性はほぼ全員が訓練次第で肛門で性感を感じる事が可能とされている。
ただし、陰茎によるマスターベーションと異なり、快感を得るためには訓練や経験が必要であり、感覚の度合いにも個人差が大きい。
[編集] 男女両用
[編集] ラブローション
性玩具用にローションと呼ばれるこれらの液体は、強い粘性と潤滑性をもった水溶性の物質で、摩擦を軽減させる効果がある。これは「性具」というより消耗品だが、これを用いる事により愛撫の効果を高めたり、または様々な特殊プレイにおいて本来は肉体機能上で潤滑されない部分を潤滑(パイズリ・素股などのプレイが有名)させたり、また初心者や高齢者にあって性器が濡れ難くなっている場合などにも利用される。
様々な用法が存在し、その利用法も利用者の工夫次第で無限と言えよう。ただ、これらの液体は摩擦力を軽減させるために、足の裏や椅子に付着していた場合などに転倒の事故を招き易いので注意が必要である。
濃過ぎる場合には水で薄めて使用するが、業務用の濃厚なタイプでは2~5倍程度に薄めて使用する物も見られる。製品によっては紫外線で分解してしまったり、生分解性があるために腐敗したりする物も多い。密閉容器に入れ冷暗所で保存して、開封したら早めに使い切る必要がある。また、コンドームの摩擦緩和用として、薬局・薬店のコンドームコーナーでは、化粧品や歯磨きのようなチューブ入りのローションが販売されている。これらの多くは「潤滑ゼリー」という名称で販売されており、潤滑性の点では一般的なローションより劣るが、容易に洗い流すことができる。
主成分は水溶性ポリマー(主にポリアクリル酸ナトリウム)と水であるが、これは食品添加物の増粘剤にも利用されており、たとえ口にしても特に大きな危険性は無いと考えられる。ただし、保存料など、それ以外の添加物が含まれている製品も見られるため必ずしも無害とは言い切れない。
- 参考:日本農薬学会提供の資料(PDF形式)
温感ローションと呼ばれている物では、グリセリンが配合されている。これは浣腸に用いられる成分であるため、アナルに対するローションとしては使用できない。温感ローションに関しては、主に男性がオナホール等を利用する際に使うべき物で、それ以外の用途には注意が必要と思われる。
性行為に用いる避妊具同様に薬局・ドラッグストア等でも販売している製品も見られるが、品質面で気を使うなら、これらの店舗で購入した方が無難であると思われる。
[編集] アナルグッズ
男女ともに肛門は性感帯となりうるために、専用として売られているものが数多く存在する。
いずれの器具にも言えることだが、肛門への挿入は細菌の付着が避けられないため、挿入後に他の体腔(特に膣)に対して使用してはならない。
- アナルバイブ
- 通常のものより細く作られた専用バイブ。スティック型に分類されるが、ローターもそのまま使用することがある。
- アナルディルドー
- アナル専用に細く作られた張形。拡張棒と呼ばれるものはエボナイトや硬質樹脂で作られており、肛門の括約筋をほぐすために十数段階の直径のものをセットにして販売している。
- アナルボール
- プラスチック、もしくは硬質ゴムの球。挿入して楽しむ。紐がついていて、引き抜くことも可能。
- アナルビーズ
- 数珠状に繋がっている球体を肛門に出し入れし、括約筋を刺激して楽しむ器具。真珠を模したものはアナルパールとも呼ばれる。
- アナルリーマー
- リーマーとは先端に複数の刃のついた円錐状の、板などの穴を広げる工具のこと。アナルリーマーはゆるいぎざぎざのついた円錐状の部分を肛門に挿入し、文字通りあなるを広げるもの。無理な挿入は禁物。
- アナルプラグ
- 愛好家が用いる栓のようなもの。肛門に挿入する。そのまま服を着せて羞恥プレイに用いたり、浣腸の後に我慢させるためににも用いられる。アナル栓、ブットプラグとも呼ぶ。近年ではステンレス製で露出部分に宝石やレリーフなどを埋め込んだファッショナブルなブットジュエルと呼ばれるアクセサリー風のも登場している。また動物の尻尾付きのものもある。
[編集] 拘束具
体を拘束し、その不自由さにより快感を得るプレイ(SMプレイなど)で使う拘束具がある。縄といったシンプルなものから、腕、脚、または口を強制的に開放するものまである。特に拘束する機能を有するボンデージというファッション形態も存在する。
これらでは直接的な性感よりも、着用者の精神的な部分に働き掛ける要素が大きく、愛好者にあっては愛撫や前戯の一形態として扱われる傾向も見られる。
ただし、どのような器具を使うのも自由であるが、そのようなSMプレイは、相手を拘束することによって快感を得る者(S)と拘束されることによって快感を得る者(M)の間には、お互いの信頼関係があって初めて成立するプレイことであることを頭に入れておくべきである。当然のことながら、信頼関係なしでは犯罪である。
また拘束行為は、事故が発生して緊急にその拘束を解除する必要に迫られる事もあるので、拘束具を切断・解放するために良く切れる・または工具用のハサミを用意する事が望ましい。
[編集] 電気刺激具
近年登場した低周波治療器を性感帯に用いることがある。海外では専用の端子の数を増やし、出力をアップしたものが販売されている。また、電気をパルスにして性器に通電する、という行為を好むマニアもいて、そのためのアンプと通電素材でつくられたディルドーやアナルプラグなども存在している。主に海外製品。
[編集] その他
性交で快感を得るための器具として、上のいずれにも分類しがたいもの。
- スケベ椅子
- 所謂浴室用の低い腰掛けであるが、腰掛けると丁度又下に手を入れることのできる空洞が空いている。ソープランドなどで一般的に見ることのできる備品であるが、ラブローションを使ったプレイなどでも滑らないよう、工夫も見られる。
- ラブチェアー
- これも椅子の一種であるが、電動で腰の動きを代用させようというものもみられる。なお「ラブソファー」は恋人どうしが愛を語らうのに適したゆったりして柔らかい二人掛けのソファーに過ぎず、このラブチェアーとは全くの別物である。
この外にも、医療用器具の類が一種のイメージプレイや倒錯プレイとして利用される場合がある(→イメージクラブ・性的ロールプレイ)。
[編集] 使用上の注意
[編集] 電動器具の問題点
これら器具には粗悪な工業製品が多い事は前記の通りであるが、中には使用すれば負傷する可能性のある物まであるので、使用前に安全かどうか良く調べる必要がある。
- 強度の問題
- 使用時に簡単に破損してしまうことがあるので、安全のため使用前に強度をチェックする。
- 動作の問題
- モーターや電気コード・操作部分が異常過熱する場合がある。中には部品が溶け、火傷する可能性があるものも存在する。短時間の使用では問題なくとも長時間使用できない物もあるので注意を要する。
- 防水性の問題
- バイブレータやロータの一部には防水仕様としているものがあるが、JISなど第三者機関での試験を行っているものはほとんどなく、安全性に問題があるものが多い。感電や器具の破損の危険があるので注意を要する。安全のためコンドームを被せて使用するのも一つの方法である。
[編集] 使用に際しての注意
- 相手への配慮
- 男女間や同性間でこれら器具を用いる場合、相互の合意は必須である。当人の意思を無視して使用すれば、相手を心理的にも肉体的にも傷付ける結果になることがある。特に女性の中には、生殖器に本来異物であるこれら器具を挿入する行為に生理的嫌悪感を抱く人もいるため、男性の一方的な好奇心からこれら器具を使用すべきではない。女性への不意な使用から心理的ダメージを与え不感症に陥るケースも報告されている。
- 無理な使用
- 女性生殖器や肛門を刺激する器具の多くは、必要以上に深く挿入できないような構造になっているものの、稀にそのような安全機能(フールプルーフ)を持たない製品がある。それらを深く挿入し過ぎた場合に、子宮口や直腸・S状結腸などを傷付け、その原因となった行為の羞恥心から医師への受診が遅れ、腹腔内の感染症を併発して死に至るケースもある。
- 衛生上の注意
- 不衛生な工場で生産・梱包されていたり、長期間不衛生な倉庫に保管されている場合があり、購入時は器具をよく洗浄する。できればコンドームを使用し、共有はしない。また、肛門に使用した器具を、そのまま女性器に挿入するなどしてはならない。使用後の手入れは十分にする。
[編集] SMプレイでの使用
プレイの一環として、これら器具を利用する場合には、SMプレイ自体が一種の演技的なものの上にあり、またその根底には愛情と信頼が欠かせない事にも絡み、相手を慮っての使用が不可欠である。(→SM (性風俗))
SMプレイでは恥辱プレイのような精神的な物と、鞭で叩いたり縛ったり蝋燭を垂らしたりといったものが知られているが、これらはいずれも安全性を配慮した関連製品が市販されている。
例えば蝋燭では融点を低く抑えた物があるなどしていて、むしろ視覚的な要素に配慮して、赤い色などをしていたりする物も多い。しかし裸火を扱う事から、余り近付けすぎると本当に火傷してしまうため、充分な高さから溶けた蝋のしずくを垂らす事が奨められているなど、一定の「正しい使い方」も見られる。取扱説明書がある場合にはよく読み、理解した上で使用するべきである。
また拘束具の項でも記述している通り、緊急時にすぐに拘束を解けるような配慮も欠かせない。一刻を争う急性疾患で出来るだけ早い医療機関への搬送が必要であるのに、「余りに恥ずかしい格好」のため119番通報が遅れてしまった例もある。
日本ではロープで縛る行為も人気だが、これらの縛り方も専門筋では「出来るだけ一本のロープで、結び目は必要最小限に」が鉄則となっていて、緊急時にはロープの一箇所を切るだけで、すぐさま全体が解けるようになっているという。専門の書籍やビデオ教材では安全な縛り方を扱ったものも見られるので、関心のある向きは無闇に形だけを真似たりせず、それらを専門の資料を参考に、安全にプレイすることが推奨される。
精神的なプレイである「放置プレイ」でも同様である。緊急時にはすぐに救助できるよう、充分な配慮を心掛けなければならない。特に拘束したまま放置した場合には、静脈血栓塞栓症になる可能性もある。このような配慮が無いプレイは、単なる虐待に過ぎないと言える。
[編集] 関連項目
- 新婚旅行で、性的な経験の浅い男性がポルノ作品の影響から、新婚初夜で大人のおもちゃを出してしまい、あらぬ誤解を招いて破局を迎えたという痛ましく情けない話が聞かれる。
- 倒錯プレイの一種である。元来異物である大人のおもちゃの使用も、これの類型に含まれる場合がある。
[編集] 外部リンク
- 大人のおもちゃ完全活用マニュアル - 大人のおもちゃの説明
- Hのお道具 - 海外製を含む多くの大人のおもちゃと薀蓄あり