彭ヨウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
彭羕（ほうよう、178年? - 214年? または、179年? - 215年? 享年37）、字は永年(えいねん)。中国、三国時代の重臣。広漢郡の生まれ。若い頃から劉璋、劉備と仕えたが、その都度、主に対する誹謗で実刑を受けた人物である。
目次 |
[編集] 略要
[編集] 生涯
「蜀書」劉彭廖李劉魏楊伝 - 彭羕には、 「身長8尺、甚だ容貌魁偉であり、性格は驕慢、人をぞんざいに扱うことが多かった」とある。
些細なことから誹謗したことにより、2度も渡って刑に処されている。一度目は、書佐を務めた時に劉璋を｢暗愚な君主｣と誹謗し、また同僚の讒言によって、髠鉗(こんけん、断髪され奴にされること)の刑に処され労役囚とされた。後に劉備の陣営にいた龐統の所に無断で訪れて、仕官した。その才能を劉備に認められて治中従事として仕えた。彼は自分の仕事を見事にこなし重用されるが、やり方が苛酷で部下の信頼を失った。また彭羕の本質を見極めた諸葛亮により、その野心を警戒された。挙句に諸葛亮が劉備に進言したことより江陽太守として左遷された。
この左遷への不満から「あの老兵（劉備）は耄碌して話にならない」「卿(馬超)が外（の軍事）を、我が内（内政）を握るなら、天下に不足はないのだが…」と劉備への謀反とも取れる誹謗を馬超に漏らした。馬超は上奏し、それにより処刑された。37年の生涯であった。
[編集] 演義での彭羕
なお、演義では彭義となっており、220年に親友の孟達が関羽を見殺ししたことによって、危惧を持った彭義が従者に立場が危うい孟達宛の書簡を渡した。だがこの従者は関所で馬超に見つかり投獄されたという。事態を察した馬超が彭義の邸宅に訪れて、真相を探り彭義が正史と同じような言葉で馬超に劉備への謀反の話を持ちかけた。あとは正史と同じように、馬超が劉備にお目通りして、警護兵に逮捕され処刑された。親友の刑死を知った孟達は直ちに上傭から魏に奔ったという。なお、追記事項として、彭羕と伝を同じくしている劉封・廖立・李厳・劉琰・魏延・楊儀は、全員ともに「上役に対する不忠の行動があった若しくは上役に煙たがられた事を理由に死んだ」者達である事を伝えておく。
[編集] 出来事 (年代順)
- 州の書佐となる。
- 州牧の劉璋に誹謗が伝わり、髠鉗の刑に処され、労役囚となる。
- 劉備に進言するため、その軍師の龐統を頼る。
- 成都が平定され、劉備が益州の牧を兼務すると、治中従事に抜擢される。
- 江陽太守に左遷
- 劉備への誹謗を馬超に上奏され、逮捕。処刑される。
[編集] 参考書籍
「正史 三国志 5 蜀書」 (陳寿 著、裴松之 注、井波律子 訳) ちくま学芸文庫 ISBN 4-480-08045-7
