寺尾正・文姉妹
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寺尾正・文姉妹（てらお きみ・ふみしまい、明治44年（1911年）11月7日 - 妹・文平成9年（1997年）12月24日）は、東京市本所区 北二葉町出身の一卵性双生児の陸上競技選手。姉の正は50メートル走、妹の文は100メートル走の元日本記録保持者。過熱した人気を憂えた両親の意向により、競技生活の絶頂期に事実上引退した。結婚後の姓名は前田正、有賀文。
[編集] 来歴
- 1911年 東京市本所区北二葉町に、牛乳販売店を営む寺尾鐵二・政の二女・三女として誕生
- 1917年 東京都二葉尋常小学校（現・墨田区立二葉小学校）に入学。
- 1923年 関東大震災で自宅を焼失。陸軍被服廠を避け脱出したため、一家全員無事だった。
- 1924年 東京府立第一高等女学校（現・東京都立白鴎高校））に入学。
- 10月、第2回女子選手権（東京帝大トラック）に出場。正は50メートル走を7秒0、文は100メートル走を14秒0のそれぞれ当時日本タイ記録で優勝。
- 同月、第1回明治神宮競技大会（明治神宮外苑競技場）に出場。正は50メートル走を途中棄権。文は100メートル走を欠場。
- 1925年 行田重治、縄田尚文のコーチを受ける（主に早大トラック）。
- 10月、明治神宮大会関東予選会（神宮外苑トラック）で、正は50メートル走をで7秒2で優勝。文は100メートル走を13秒2の日本記録で優勝。共に出場した200メートルリレー走では府立第一高女チームが27秒8の日本記録で優勝。
- 同月、第2回明治神宮競技大会（神宮）に出場。正は50メートル走では人見絹枝に敗れ3位。200メートルリレー走は長岡高等女学校（現・新潟県立長岡大手高校）チームに敗れ2位。文は100メートル走では13秒5で中山久美子（小浜高等女学校（現・福井県立若狭高校）に敗れ2位。
- 11月、文は第12回全日本陸上競技選手権大会（現・日本陸上競技選手権大会）（神宮）に出場。100メートル走を13秒0の日本記録で優勝。
- 1926年 2月、全日本陸上競技連盟が初めて女子の日本記録を認定。50メートル走では正の7秒2、100メートル走では文の13秒0が日本記録として公認される。
- 5月、第2回関東陸上選手権（神宮外苑トラック）に出場。正は50メートル走をで7秒1で優勝。文は100メートル走は棄権。「アーモンド」チームと名付けられた府立第一高女チームは、200メートルリレー走では失格したものの400メートルリレー走は55秒4で優勝。
- 同月、女学校連盟第1回競技会に出場（神宮）。正は50メートル走を7秒0の日本記録、文は100メートル走を13秒0の日本タイ記録で優勝。アーモンドチームは200、300、400メートルリレー走で優勝。
- 6月、第3回女子体育運動会（神宮外苑トラック）の番外として、正、文、人見絹枝、松翁俊子（淀之水高等女学校（現・淀之水高校））の4人で400メートルリレー走を行い、52秒2の日本記録を出す。
- 10月、明治神宮大会関東予選会（神宮外苑トラック）で、文は100メートル走を13秒0の日本タイ記録で優勝。正は故障で欠場。
- 同月、文は第3回明治神宮競技大会（神宮）に出場。100メートル走二次予選で12秒7の世界最高記録（非公認）を出す。決勝は13秒3で優勝。アーモンドチームは400メートルリレー走で優勝、200メートルリレー走では長岡高女に敗れ2位。
- 1927年 11月、第4回明治神宮競技大会（神宮）に出場。50メートル走で人見絹枝（6秒4（世界タイ記録））に敗れ文は2位、正は3位。100メートル走でも人見（12秒5）に敗れ文は2位、正は3位。姉妹にとって、最後の大会となる。
- 1928年 「婦人倶楽部」の新年号に正・文をモデルにした久米正雄の小説『双鏡』が発表される。同作は家族の抗議を受け3月号で休載。この年の春から姉妹は競技を断念。
その後正は20才、文は18才で結婚する。
[編集] エピソード
- 人見絹枝はアムステルダムオリンピック選考競技会の前に寺尾家を訪問し、出場するよう家族を説得した。
[編集] 参考書籍
- 田中舘哲彦 『遠い青春の快走 -寺尾姉妹物語-』 ベースボール・マガジン社、1986年。
- 大島幸助 『銀座フルーツパーラーのお客さん -そのサインと生涯-』 文園社、2002年。
