宇島鉄道

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宇島鉄道（うのしまてつどう）は、福岡県築上郡八屋町（現・豊前市）の日豊本線宇島駅から分岐し、大分県との県境付近の耶馬渓駅までを結ぶ鉄道路線（軽便鉄道）を有していた鉄道事業者である。

[編集] 路線データ

路線距離：宇島－耶馬溪間17.7km
軌間：762mm
複線区間：なし
電化区間：なし

[編集] 路線概要

耶馬溪観光の客を見込んで、前年開業した耶馬渓鉄道（後に大分交通耶馬渓線となり、1975年全廃）と争う形で敷設された。だが大分県の県境付近までしか伸ばせず、営業成績も低迷したため廃線となった。

終着の耶馬渓駅は、県境の山国川を挟んで耶馬溪鉄道とかなり近接した位置にあり、同線の洞門駅までの延伸も検討されていたが、実現しなかった。

なお、この路線の宇島～耶馬溪間は1896年に設立が計画された日田鉄道（宇島～日田～久留米～若津港）とほぼ重なっている。

[編集] 運行概要

1932年12月6日改正当時

旅客列車本数：宇島－友枝間2往復、宇島－耶馬溪間3往復
所要時間：全線1時間2分－6分

なお、特等車と並等車が存在した。

[編集] 車両

機関車3台、客車6両、貨車24両が在籍していた。

[編集] 沿革

1911年 9月30日宇島～耶馬溪間の軽便鉄道敷設認可が下りる
1912年 3月27日宇島鉄道株式会社設立（資本金200,000円）
1914年 1月21日宇島－耶馬渓間開業（建設費368,120円）
1914年10月16日中唐原駅、百留駅開業
1929年 9月15日塔田駅開業
1931年 8月八屋～友枝間の乗合自動車営業を開始
1934年 12月1日下唐原－耶馬渓間廃止
1936年 8月1日全線廃止。宇島自動車運輸に改称、宇島駅～友枝・宇島駅～上唐原間の乗合自動車営業に切り替わる
1942年 7月乗合自動車営業を停止

[編集] 駅一覧

宇島駅 - 千束（ちづか）駅 - 塔田駅 - 黒土駅 - 広瀬橋駅 - 安雲（あぐも）駅 - 光林寺駅 - 友枝駅 - 下唐原（しもとうばる）駅 - 中唐原駅 - 上唐原駅 - 百留（ひゃくどめ）駅 - 原井駅 - 鮎返（あゆがえり）駅 - 耶馬溪駅

[編集] 接続路線

宇島駅：日豊本線

[編集] 廃線跡の現状

廃線より60年が経過し、全線に亙って痕跡を追跡するのは困難を極める。特に宇島駅～黒土駅付近の線路跡は市街地に完全に飲み込まれ追跡が難しい面はあるが、一部線路の盛土が残っている（塔田駅～黒土駅間）。また、黒土駅～広瀬橋駅間には、側溝に架かる橋の跡（レンガ積み）が残っており、線路跡に沿って草が生えているので、ルートが比較的分かりやすい。黒土駅跡や安雲駅跡さらに友枝駅跡は農協の施設になっているが、ホーム等の駅自体の痕跡は全く見られない。中唐原駅跡～百留駅付近は線路跡と思われる築堤が農道として使用されている。その先の百留～原井～耶馬溪駅間は福岡県道16号線に飲み込まれ痕跡は見られない。なお、終点の耶馬溪駅の先の山国川には、鉄道橋として建設されたと思われる石積みの橋脚と赤いポニートラスの橋が道路橋として対岸の本耶馬溪町樋田集落とを結んでいたが、道路改修に伴い平成初頭に惜しくも解体撤去された。