地方隊
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地方隊(ちほうたい)とは、海上自衛隊に置かれて、主として担当の区域(警備区)の防衛・警備及び自衛艦隊の支援に当たることを目的としている部隊である。機動運用が行われる外戦の基幹部隊である自衛艦隊の隷下ではない。旧海軍の鎮守府、陸上自衛隊の方面隊に相当する。国際的に"Brown Water Navy (Coastal Navy)"と呼ばれるものである。
の5つが置かれている。
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[編集] 概説
[編集] 沿革
日本の領海を5つ程度の海軍区に区分して、各々に海軍の拠点(鎮守府)を置く考えは1886年制定の海軍条例に端を発している。同条例では現在の地方総監部と同じ位置に鎮守府が置かれるものとされていた(但し大湊ではなく室蘭であった(もっとも結局は室蘭鎮守府は置かれなかった))。
1952年(昭和27年)8月1日に保安庁に警備隊が置かれるのと同時に、横須賀と舞鶴に地方隊2隊が新編される。 1953年(昭和28年)9月16日に佐世保と大湊に地方隊が新編される。1954年(昭和29年)7月1日に防衛庁海上自衛隊が置かれるのと同時に呉に地方隊が新設される。
[編集] 任務
- 担当警備区域における防衛・警備等
- 防衛 : 沿岸の防衛、海上交通の安全確保等
- 警備 : 海上における治安の維持、人命財産の保護
- 災害派遣・航空救難
- 機雷その他爆発性危険物の処理
- 自衛艦隊等に対する後方支援(人事・教育、補給、造修、医務・衛生)
[編集] 特色
[編集] 海上自衛隊の人的・物的基礎として
地方隊は内陸県(群馬・栃木・埼玉・長野・山梨・岐阜・滋賀・奈良県)を含めて国内の全ての陸上及び領海を分担している。
准海尉以下の海上自衛官の任免は、地方総監が行うものとされている。そのこともあり、練習員課程・海曹候補士課程・初任海曹課程は各地方隊(大湊地方隊を除く)に置かれている教育隊が担当している。
また、自衛艦その他の船舶は、必ずいずれかの地方総監部に籍を置くものとされている。自衛艦に掲揚される自衛艦旗は、当該自衛艦が除籍される日又は支援船に区分変更される際に返納されるが、これは当該自衛艦在籍地の地方総監が受領し、返納された自衛艦旗は、籍を有していた地方総監が記念自衛艦旗として保存に当たる。
このように地方隊は、単に沿岸区域の警備を担うのみならず、海上自衛隊の人的・物的基礎となっている組織である。
また、地方隊の組織ではないが、海上幕僚長の指揮監督を受ける自衛隊病院もまた、各地方総監部所在地に置かれている。
[編集] 沿岸警備
機動運用が行われる自衛艦隊と異なり、警備区内での運用が中心であることから、あぶくま型護衛艦(地方隊向けの小型の護衛艦DE)や護衛艦隊での第一線の運用が終了した旧型護衛艦(DDなど)、さらには小型で高速のミサイル艇などが配備される。
海上保安庁は、戦後にアメリカ沿岸警備隊をモデルに誕生した組織であり、一方の海上自衛隊地方隊は、独立した沿岸警備組織がなかった戦前に沿岸警備を行っていた「海軍鎮守府」の伝統を受け継いだ組織である。創立時から、それぞれの職域が大きく重複していた。近年、不審船事件の発生などを受けて海上保安庁の体制が拡充しており、地方隊と海上保安庁との線引きが曖昧になってきている。海上警備任務では、日本近海で続発した不審船事件のうち能登半島沖不審船事件では、自衛艦隊の護衛艦隊の第3護衛隊群所属護衛艦と共に舞鶴地方隊所属護衛艦も出動したが速力不足で十分な活躍はできなかった。
[編集] 配備護衛艦
- わかば型護衛艦(1250トン)
- 帝国海軍の橘型駆逐艦が引き上げられる。DE261わかば。なお、DEとは「Destroyer Escort」(直訳すると「護衛駆逐艦」)の略である。
- いすず型護衛艦(1490トン)
- 昭和36年7月29日に一番艦が竣工される。平成5年11月16日に最後の同型艦が除籍される。DE211いすず他。
- ちくご型護衛艦(1470トン~1500トン)
- 1971年7月31日に一番艦が竣工される。平成15年度に全艦退役した。
- いしかり型護衛艦(1290トン)
- 昭和52年度計画で1隻(いしかり)のみ建造される。DE226いしかり。
- ゆうばり型護衛艦(1470トン)
- 1979年(昭和54年)度計画で建造される。いしかり型を承継する。DE227ゆうばり・DE228ゆうべつ。
- あぶくま型護衛艦(2000トン)
- 1989年以降2005年4月現在6隻が就役している地方隊の主力艦。DE229あぶくま・DE230じんつう・DE231おおよど・DE232せんだい・DE233ちくま・DE234とね。
- はつゆき型護衛艦(2950トン)
- 汎用護衛艦。
[編集] 配備ミサイル艇
[編集] 編成
[編集] 部隊の編成
- 地方総監部
- 護衛隊
- 掃海隊(司令は一等海佐又は二等海佐。掃海艦又は掃海艇2以上若しくは掃海管制艇2以上を以て編成される。)
- ミサイル艇隊
- 基地隊(司令は海将補又は一等海佐。基地隊本部・水中処分隊・基地分遣隊・磁気測定所・警備所・掃海隊・基地隊の長の直轄する自衛艦を以て編成される。)
- 航空隊
- 教育隊(司令は一等海佐、副長は二等海佐。二等海士として新たに採用された者(航空学生を除く)等を教育訓練することを任務とする。)
- 警備隊(警備隊本部・陸警隊・港務隊・水中処分隊・警備所・基地分遣隊・連絡所・ミサイル艇隊・警備隊の長の直轄する自衛艦を以て編成される。司令は一等海佐。)
- 防備隊(防備隊本部・警備所・ミサイル艇隊を以て編成される。)
- その他長官の定める部隊
[編集] 総監部の編成
- 地方総監
- 地方総監部
- 地方隊の部隊の一つで、管轄内の総司令部(つまり、例:大阪本社総務課 的存在)に相当するもの。
- 幕僚長
- 地方総監部に1人置かれる。幕僚長は、海将補をもって充てる。幕僚長は、地方総監を補佐し、地方総監部の部内の事務を整理する。
- 管理部(総務課・人事課・厚生課・援護業務課・施設課)
- 防衛部
- 経理部(経理課・契約課・原価計算課・監査課)
- 技術補給監理官
- 造修補給所長が兼補される。一等海佐。
- 衛生監理官
- 衛生隊長が兼補される。一等海佐又は二等海佐。
- 監察官
- 地方総監の命を受け、監察並びに安全及び事故調査に関する事務をつかさどる。
- 副官
- 地方隊先任伍長(海曹長)