吸魂鬼
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吸魂鬼（きゅうこんき）またはディメンター(Dementor)は、J・K・ローリングの書いた小説『ハリー・ポッター』シリーズ、および同小説の映画化作品に登場する架空の生物。 「吸魂鬼」という名称は、訳者である松岡佑子女史が吸血鬼を基にして考え出した造語である。なお、日本語版の小説中には吸魂鬼、ディメンター双方の記述が見られる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
人間の幸福な感情や歓喜的な興奮を、糧として吸い取る能力を持つ魔法生物。吸魂鬼が周囲にいるだけで、人間は幸福な感情を吸い取られ、つらく悲しい記憶のみが蘇り、その結果活力を失う。特に、ハリー・ポッターのように過去に非常に悲しい記憶を持っている人間ほど、吸魂鬼の悪しき影響を受けやすい。長期にわたってそばにいると心を蝕まれ、通常は1年ほどでやつれ衰えて死んでしまう。
ただし幸福でない感情は、どんな感情でも吸い取れない。また、動物など人間以外の生物は感情が複雑でないため、やはり吸い取れない（ただしケンタウルスなどの知的生物については不明）。長期間彼らのそばにいて正気を失わなかったのは、彼らのそばにいる間幸福な感情を持つことのなかったシリウス・ブラックだけである。
また、吸魂鬼は人の魂を吸い取ることができ、魂を吸い取られた者は廃人状態となり生ける屍と化す。その格好が接吻のように見えることから、この行為は主に「キス」と呼ばれる。魂を吸い取られた者はこれもまた吸魂鬼と化す。 また、魔法使いではないふつうの人間（マグル）は、ディメンターによって一時的に視力を奪われる（スクイブは視力を奪われない）。
こうした能力を持つため、魔法使いや魔女からは非常に恐れられており、彼らを隔離する意味も含めて魔法使いの刑務所アズカバンの看守を務めている。
しかし第5巻の終末時、吸魂鬼はアズカバンの看守の職を放棄しヴォルデモートに与したことが明らかとなった。第6巻ではイギリス中に現れたためイギリス全域が霧に覆われた。
その姿は、頭巾に覆われた顔が見えない頭部、水中で腐敗したかのような手を持つ、マントに覆われた黒い人影。滑るように移動する。 魔法使いでない者（マグルやスクイブ）はその姿をはっきりと見ることができないが、彼らを陰鬱な霧のように感じる。
吸魂鬼を追い払うためには守護霊の呪文（エクスペクト・パトローナム）を用いる。ただし、これはあくまで追い払う為だけ。吸魂鬼の影響を受け元気を失った者にはチョコレートを与えると元気を取り戻す。
吸魂鬼の存在と、人が吸魂鬼に幸せを吸い取られ心を蝕まれる様子は、J・K・ローリング本人がうつ病に罹患したときの心理状態をもとに考え出したものであると言われている。
