司馬昭
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司馬昭（しばしょう、211年 - 265年）は、魏の武将、政治家。字は子上（演義では“子尚”）。司馬懿の次子で、司馬師の同母弟、司馬幹の同母兄。生母は張皇后（張春華）。晋の太祖･文帝と諡号された。
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[編集] 略要･人物
[編集] 略歴
255年 同母兄･司馬師が男子を儲けないまま亡くなったので、家督を継承した。
256年 大都督になる。寿春で諸葛誕が反乱を起こしたのでこれを鎮圧する（ - 258年）。
258年 この年より、相国・晋公に封じられ、九錫を賜るがこれを辞退することが繰り返される。簒奪の準備段階として、世論の瀬踏みをしているのである。
260年 皇帝（高貴郷公曹髦）が司馬昭に対して刃向かったのでこれを殺した。殺害を命じた賈充はお咎めはなく、実行犯の成済と成倅兄弟を誅殺した。また、曹髦に挙兵を打ち明けられ、唯一密告に来なかった王経も誅殺した。その後継者として元帝曹奐を皇帝に据える。この直前、2度目の相国・晋公・九錫の下賜があったが、やはり時期尚早とみて辞退した。
263年 鄧艾、鍾会を征蜀に赴かせ、蜀漢を滅ぼす。ここで6度目にして相国・晋公となり、九錫を受けた。
264年 晋王になる。
265年 、56歳で逝去。この時は文王と諡された。司馬昭は、兄･司馬師の養子になっていた三男の司馬攸に晋王を譲ろうとしたが、周囲の反対もあり長男の司馬炎が跡を継ぐことになる。
[編集] 評価
事実上魏を簒奪する足場を固めたことから、特に倫理的に後世批判されることが多い。また、司馬昭の側も批判に敏感に反応し、曹氏による反撃を警戒していた。竹林の七賢の一人である嵆康が殺害されたのも、彼の夫人が曹操の曾孫に当たっていたためである。さらに、皇帝殺害にも実質的に係わった。『世説新語』によると、東晋の明帝が王導から簒奪のいきさつを知り、顔を覆って「もし公の言った通りなら、どうして（晋の）皇祚を長く保つことができようか！」と言ったという。
その一方で、簒奪を成功させた理由についても分析されている。
諸葛誕らの反乱を鎮圧した事後処理で、首謀者を処刑しただけで、他は全て赦免した。また、呉より派遣された諸葛誕の援軍で捕虜となった者もみな赦免した。習鑿歯は「これ以降、天下の人は（司馬昭の）武威を恐れると同時に徳義を慕うことになった」と評価している。
ただし、習鑿歯の説は裴松之のしばしば批判するところである。
司馬師、司馬昭が実権を握っていた時代というのは、一種の恐怖政治に近かった。『晋書』阮籍伝に「魏晋之際、天下多故、名士少有全者」とあるがごとく、片言隻語で三族が誅殺される時代であった。魏末から清談が流行したのも、政治批判をすれば首が飛ぶため、政治に関心がないことを装わざるを得なかったのが、一つの要因である。 また、司馬氏も政治批判を徹底的にマークしたため、人々が政治に対して沈黙する一方、密告や讒訴が相次ぎ、これを利用して政敵を陥れる事件も後を絶たず、政治的な混乱も続いた。
このため、世論はますます現実逃避、政治的無気力を是とする方向へ動き、晋代になると深刻な政治的停滞を生み出すに至る。
正史の注『襄陽記』によると、263年の蜀漢攻撃について、呉では司馬昭が人々がまだ心服していないのに遠くに出兵したから失敗するだろうとの意見が多かった。しかし張悌は言った。「いいえ。曹操の功績は確かに世界を震わせましたが、権謀術数をこととし、戦争が止むことはありませんでした。民はその威勢を恐れても、徳義に従ったわけではないのです。丕、叡が跡を継いでも、その残虐なやり方を引き継ぎ、内には宮殿を築き、外には英雄豪傑を恐れて（討伐のために）東奔西走し、平穏な年とてありませんでした。彼等が民心を失って久しいのです。司馬懿父子は政権を掌握すると、しばしば大きな功績を立て、政治の煩雑さと過酷さを除いて平等に恩恵を広げ、自ら中心となって民を苦しみから救っています。（だから）民心が司馬氏に心を寄せてから久しいのです。ゆえに淮南で三度（王淩・毌丘倹と文欽・諸葛誕）反乱が起きても、曹髦の死によっても四方は動揺しなかったのです。敵を枯れ木を折るように、掌を返すように始末し、賢者を取り立ておのおの心を尽くして仕えさせていますが、知勇兼備でなければ、どうしてこのようなことができるでしょうか？ その威武は広がり、根本は根付き、人々の気持ちもなびき、（簒奪の）奸計も成算が立っています」。その司馬氏が民衆の疲弊している蜀漢に攻め込むのだから勝利は確実だし、たとえ負けても致命傷にはならないだろうと主張した。呉の人々は張悌を笑ったが、結局その通りになったという。
『襄陽記』の記述は一面もっともであるようだが、魏の文帝が黄初五年に密告を規制する勑や刑罰の軽減を布告したことを無視しており、文章全体が司馬氏よりであることに留意したい。これが司馬昭の存命の時期にあたる発言であることを考慮すると、自ずとその内容を割り引く必要がある。
[編集] ことわざ
260年、司馬昭打倒の兵を挙げようとした曹髦は、諫める王経らに憤慨して「司馬昭の心は、路傍の人も皆知っている（司馬昭之心、路人皆知）。吾は座して廃位の辱めを受けることはできない」と言った。
この言葉は現在の中国では「顔に書いている」「みんなお見通し」「公然の秘密」という意味で日常的に使用される。
[編集] 宗室
[編集] 后妃
- 皇后･王元姫（王粛の娘）
- その他に数人の側室がいる。
[編集] 子女
- 京兆長公主（平原侯･甄悳の夫人の従姉（司馬師の娘）が亡くなり、その後妻に）
