台与
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台与（日本語読みとよ、通説は「臺與」である。235年頃？－没年不詳）は、『三国志 (歴史書)』、魏志倭人伝中の邪馬台国の女王卑弥呼の親族にて卑弥呼の跡を継いだとされる女性である。封号は親晋倭王。
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[編集] 表記に関する議論
台与の表記に関しては「臺與」（とよ・だい（ゐ）よ・たい（ゐ）よ＝台与）と「壹與」（い（ゐ）よ＝壱与）の二通りがある。
（い（ゐ）よ＝壱与）の場合、中国風に（い（ゐ））を氏、（よ）を名前として名乗ったとする九州王朝説がある。
魏志の編纂が後者二書に比べ大きく先立っているが、三書はいずれも『魏略』（魏代に編纂）を元にしていると考えられ、『魏略』には他の書に引用された逸文（通称、逸文魏略）が残っており、そこには該当部分は存在しないが、魏志以外に「壹與」の表記が見られないことから、『魏略』の元の表記は「臺與」（とよ）であろう、という見解が広まっている。また当事、臺は晋の皇帝のことであるため避諱されており、三国志の記述の字を替えたという説もある。
これに基づき、古事記日本書紀に登場する「豊～」という表記や北九州の「豊の国」と言う古名は、台与に由来するのではないかという説がある。
[編集] 発音に関する議論
ところで、「臺與」を「とよ」と読むのが通説となっているが、これには異論があることも付け加えておく。
- 「台」であれば、「と」と読めるということに異論は無いようである。しかし、「臺」と「台」は異なる文字である。（漢字制限(当用漢字、常用漢字、教育漢字)のため使用せざるをえない。）
- 「臺」を「と」と読む根拠は、例えば『国語音韻論』（藤堂明保、江南書院 1957年）に 「魏志倭人伝で、『ヤマト』を『邪馬臺』と書いてあるのは有名な事実である」と記載されていることに求められているが、これはすなわち「邪馬臺=ヤマト」という当時の通説に基づいた記述に過ぎないことが読み取れると言う指摘がある（『邪馬一国への道標』古田武彦、講談社 1978年）。従って、中国語音韻論の記載、あるいはそれに基づいた漢和辞典の記載を根拠に「『邪馬臺』はヤマトと読める、『臺與』はトヨと読める」と言ったところで、大元にある通説の同語反復に過ぎないことになる。
[編集] 人物の比定についての議論
台与を誰に比定するかという議論は、卑弥呼が誰であるかという議論、邪馬台国がどこにありどんな国家に受け継がれていったかと言う議論と、切り離すことができない。邪馬台国を参照のこと。
一部の説では、「日本神話の天の岩戸伝説の前後の天照大神は別の人物であり、それぞれ卑弥呼と台与である」として「アマテラスを誰に比定するか」という議論とともに考えようとするものがある。 ただし、「古代日本での太陽信仰における祭祀者」（アマテラスのモデル）をすなわち邪馬台国の二人の巫女と結びつけることは、史料上の状況証拠が多いとは言えいまだ議論が不十分であり、より多くの研究が待たれる。
[編集] 万幡豊秋津師比売説
万幡豊秋津師比売（ヨロヅハタトヨアキツシヒメ）はタカミムスビの娘。アマテラスの息子アメノオシホミミと結婚し、アメノホアカリとニニギをもうけた。アマテラスが卑弥呼だとすれば、アマテラスの極めて近い親族で、名前の中に「トヨ」の文字がある彼女が台与に比定できるとする説。伊勢神宮の内宮の主祭神はアマテラスであるが、相殿神はタヂカラオとこのヨロヅハタトヨアキツシヒメとなっているのが何よりの証拠だという。（伊勢神宮#祭神参照）神話上では彼女も間違いなく皇室の先祖の1人でありアマテラスと関係が深く、またアマテラス（卑弥呼）の死後は有力な神の1人である父親のタカミムスビが後見人だったと考えることもできるので辻褄は合っているといえる。
[編集] 人物比定についての一説
海部氏（あまべし）『勘注系図』（かんちゅうけいず）の、大倭姫命（おおやまとひめのみこと）またの名、天豊姫命（あまとよひめのみこと）が、魏志倭人伝の台与（とよ）であり、九代開化の妃になった竹野媛（たかのひめ）という説を紹介する。
『古事記』は九代開化の妃を、丹波大縣主由碁理（たんばおおあがたぬしゆごり）の女、竹野比賣（たかのひめ）とする。 『日本書紀』は天皇(開化)は丹波の竹野媛をいれて妃とし、彦湯産隅命（ひこゆむすみのみこと）を生んだ』とする。
『勘注系図』は建諸隅命（たけもろずみのみこと）を、またの名、由碁理（ゆごり）として、建諸隅命が開化の時代、丹波の国に丹波郡（たんばのこおり）と余社郡（よさのこおり）を割いて、竹野姫の屯倉（みやけ）を置いたとする。このことから開化の妃になったのは建諸隅命の娘、竹野姫（大倭姫命、天豊姫命）である。 『勘注系図』の伝える大倭姫命という名は、倭国の女王の名前にふさわしい。また別名を天豊姫とする。天(あま）は海部（あまべ）につながる一族の氏（うじ）名で、名前は「トヨヒメ」である。 さらに、この人は、宇那比姫命＝卑弥呼説に立てば、卑弥呼の二世代後で、邪馬台国（大和王権）の女王として、歳十三歳で擁立されても不思議はない、まさに『宗女』である。 だとすれば『勘注系図』の大倭姫命は、九代開化の妃竹野媛で、中国史書が伝える、卑弥呼宗女台与（とよ）である可能性が高い。 以下にその系譜を示す。
