加藤老事件

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加藤老事件（かとうろうじけん）とは大正時代に発生した強盗殺人事件であり、被疑者の虚偽の供述により共犯とされた男性が冤罪を訴え、事件発生から62年経って再審により無罪が言い渡された冤罪事件である。

[編集] 事件の概要

1915年 7月11日朝、山口県豊浦郡殿居村（現在の下関市豊田町）で、炭焼き人夫の男性（当時50歳）が刺殺されているのが発見された。警察は以前被害者と喧嘩をしていたところを目撃された馬車曳きの男性（当時34歳）を7月22日に逮捕した。彼は当初ある夫婦が共犯であると供述しその夫婦は逮捕されたが、取調べによりその夫婦にアリバイがある事が判明し、釈放となった。その次に彼は「知人の加藤」が共犯であると供述したため、7月25日に加藤新一（当時24歳）が逮捕された。加藤は容疑を否認したがそのまま被疑者の男と共に起訴され、第一審・第二審ともに無期懲役が言い渡される。上告審では上告が棄却され、刑が確定して加藤は服役した。

[編集] 再審

加藤は模範囚として14年間服役し、1930年に出所。その後、1963年に吉田岩窟王事件に無罪判決が言い渡された事を知り、再審請求を始める。その年から1974年まで5度にわたる再審請求を行ったが、全て棄却された。そして1975年の第6次再審請求において翌年9月にようやく再審が認められて再審が開始する。再審では、共犯者の男の供述やその他の証拠の信憑性への疑念が指摘され、1977年 7月7日に無罪判決が言い渡された。事件から実に62年の歳月が流れており、無罪判決が下されるまでの期間は史上最長である。