児島高徳

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児島高徳（こじまたかのり、応長元年(1310年)？ - 弘和元年/永徳元年(1381年)？）は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した備前国の武士。父は後鳥羽天皇の玄孫に当たる頼宴大僧正、母は佐々木盛綱の娘・信夫。幼名、高丸。後に地元豪族の三宅範長の養子となる（範長を実父とする説もある）。通称は備後三郎。

児島高徳朝臣の墓
（赤穂市坂越の妙見寺山内）

児島高徳供養塔
（瀬戸内市邑久町の餘慶寺）

承久の乱の際に、備前に流された後鳥羽天皇の皇子・冷泉宮頼仁親王の玄孫の頼宴大僧正が、高徳が少年時代から皇位継承にまで干渉する鎌倉幕府に強い敵意を抱いていたことを知り、範長に乞うて養子として育てたとも伝えられる。15歳の時に元服して児島氏を名乗った。

元弘2年（1332年）、元弘の変に敗れて隠岐に流される事となった後醍醐天皇の奪還を試みるが失敗する。この際天皇に対して「天莫空勾践、時非無范蠡」（天は古代中国越の王であった勾践に対するように決して帝をお見捨てにはなりません、きっと范蠡のような忠臣が現れて必ず帝をお助けする事でしょう）という漢詩を贈ったのである。その言葉通り、翌年に天皇が隠岐を脱出して伯耆国で挙兵した際には高徳も養父とともに伯耆に赴いて幕府軍と戦い戦功を挙げたとされるが、その論功行賞の記録には高徳の名前がなく否定説の根拠とされている。

建武2年（1335年）、足利尊氏に呼応して備中国で反乱が起こり高徳が討伐に向かうが、却って拠点であった備前三石城を奪われた上に配下の内応によって一族の大半が討たれてしまう。翌年には新田義貞とともに播磨国の赤松円心を攻めるものの大敗して養父・範長は赤松軍によって自害させられ、本人も戦闘中に気を失って居合わせた甥の機転によって辛うじて逃げ延びた。その後は義貞や宗良親王とともに北陸や東国を転戦している。後に故郷において再起を図るもこれにも失敗して吉野の後村上天皇のもとへ逃れる（高徳を『太平記』の著者とする説によれば、この時期に原本が書かれたとされている）。正平7年/文和元年（1352年）に後村上天皇を奉じて上洛を試みたとされるが、以後の消息については諸説があって不明である。

墓は赤穂市の坂越にある。

古くから南朝の忠臣として讃えられてきたが、具体的な活動を示す文献が軍記物語の『太平記』以外にはないために架空の人物とする説も根強い。また、同書の編者である小島法師と同一人物とする説や、高徳を地元の山伏勢力出身と見る説もある。

[編集] 唱歌

1914年には、岡野貞一作曲（作詞者は不明）による文部省唱歌「児島高徳」が発表され、『尋常小学唱歌　第六学年用』に掲載された。

※歌詞の著作権消滅済

船坂山や杉坂と、
御あと慕ひて院の庄、
微衷をいかで聞えんと、
桜の幹に十字の詩。
『天勾践を空しうする莫れ。
時范蠡無きにしも非ず。』
御心ならぬいでましの、
御袖露けき朝戸出に、
誦(ずん)じて笑ますかしこさよ、
桜の幹の十字の詩。
『天勾践を空しうする莫れ。
時范蠡無きにしも非ず。』

[編集] 諸説

新田庄がある群馬県東部では、高徳が晩年に古海太郎広房という武将を頼ってこの地に移り住み、出家して備後三郎入道志純義晴と名乗り、建徳2年(1371年)から弘和2年(1382年)に没するまでを過ごしたと伝えられている。また、群馬県大泉町には、高徳のものとされる墓や住んでいたとされる寺(高徳寺)、高徳を祀る神社(児島神社)などがある。