伺か
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開発元: | ls |
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最新版: | period 583 / 2002年6月22日 |
対応OS: | Windows |
プラットフォーム: | IA-32 |
種別: | デスクトップマスコット |
公式サイト: | うさださくら |
伺か(うかがか)はデスクトップ常駐型アプリケーションの一つで、デスクトップマスコットと呼ばれるソフトウェアの一種である。伺かと言った場合にはどちらかというとコミュニティをさして、本家のベースウェア(本体アプリケーション)はMATERIA(マテリア)と呼ぶ傾向にある。また伺かを偽春菜・任意・何かと旧名称で呼ばれる場合もある。
ユーザが伺かを起動すると、大抵は二人一組のキャラクタが画面に現れ、たまに会話などを行ったりする。キャラクタのデータはソフトウェアとは独立しており、ユーザの作成したGhost(キャラクタ)が多数配布されている。
目次 |
[編集] 機能
主な機能はPCのメモリを無駄に占有しCPUパワーを無駄に消費する、メインキャラクタであるさくらとサブキャラクタであるうにゅうが毒の効いた掛け合い漫才を行うのを眺めることである。
副次的な機能として、NTPクライアント、POP3によるメール着信確認、ToDoリストの管理、Windows 9x系用のメモリクリーニング、オンラインアップデート、SSTPを使用した通信等がある。
現在では多彩なGhost(キャラクタ)が用意され、美麗な画像やジャンル特化されたトーク、萌えキャラ鑑賞などとしても利用されている。
[編集] 歴史
[編集] 前史
伺かの源流は、ソフトウェア技術者・中西巧が国立舞鶴工業高等専門学校在学中の1993年に構想した仮想人格エージェントを用いたヒューマン・マシン・インターフェースに端を発する。中西は1995年に自動車整備業界向けシステム開発会社翼システムの支援を得て構想の実現に取り掛かり、ペルソナウェアの名で1998年10月に無償公開した。その後バージョンアップを重ね、2000年10月に有償公開に移行している。
[編集] 伺か史
伺かはペルソナウェア同様のマスコットソフトとして、黒衣鯖人(ハンドルネーム)によって制作された。黒衣鯖人はペルソナウェアを数日使用してそのコンセプトに感嘆したが、ペルソナウェアの実際のできに不満を感じて白紙状態から同様のソフトの開発を決意。ペルソナウェアへの皮肉を込めて偽ペルソナウェア with 偽春菜と命名して2000年5月25日に公開した。
ペルソナウェアとの大きな違いはペルソナウェアのキャラクタ(仮想人格)が一体(「春菜」と呼ばれる)なのに対し、偽ペルソナウェアは「偽春菜」と「うにゅう」という二体で構成され、両者が会話する形で動作する点にあった。偽春菜は名前は勿論のこと、外見も春菜と似せたものとなっており(服装や髪型が類似)、クリックした際に表示されるメニュー構成が春菜のパロディになっていたり、台詞の中に春菜の台詞と似通ったものがあるなど、総体としてペルソナウェア with 春菜のパロディとなっていた。
各ニュースサイトの更新情報を自動的に監視・報告する「ヘッドラインセンサ」という革新的な機能が、特に多くのユーザに受け入れられる。インターネット掲示板2ちゃんねるで取り上げられた事もあって、偽ペルソナウェアはインターネットコミュニティに次第に広まっていった。なお同年12月に偽ペルソナウェアは翼システムが「ペルソナウェア」を商標登録に出願中である事やソフトが十分に認知されたなどの理由によってあれ以外の何か with 偽春菜に改称した。
ソフトの名称と偽春菜の類似性を問題視したペルソナウェア側は、2001年1月25日に翼システムとプラエセンス(翼システム傘下のベンチャー企業として2000年9月設立)両社社長の名で、黒衣鯖人に対しあれ以外の何かの公開停止と「ペルソナウェア」・「春菜」・「haruna」などの名称の使用停止を要求。あれ以外の何かユーザ側からは非難の声が高まった。1月26日に名称の使用停止に応じるかたちであれ以外の何か with 任意に改称(キャラクタ名の部分が任意となっている通りソフトの初回起動時に入力を求められキャラクタ名をユーザが任意に決められるようになっている)し、1月31日にはペルソナウェア側の言い分に納得したわけではないが無用の摩擦を避けるためとの理由で公開を停止した。これに対して一部のあれ以外の何かユーザは2月16日に公開質問状をプラエセンスに送付。2月20日には黒衣鯖人がウェブサイトを閉鎖(以後、黒衣鯖人は消息不明とされる)した事も重なり、ペルソナウェア側とあれ以外の何かユーザ側の緊張関係は極点に達した。
事態が沈静に向かったのは、ウェブサイトが閉鎖された翌日の2月21日、Doichan!によってあれ以外の何かの互換ソフトSAKURA Script Player(現:SSP)が公開されてからである。さらに2月23日、あれ以外の何かの後継ソフト(仕様を継承しているため、全くの別物とはなっていない)の開発が明らかにされ、3月18日に開発者限定ながら何か。(仮)(制作者:閑馬永空)の名称で公開を開始した。何か。(仮)に対するペルソナウェア側からの警告の動きはなかった。なお、うなぎ計画(現在のGhostとShellの形に移行するために下地となった計画)が発動されるまで何か。(仮)にはゴーストが添付されていなかった。
その後は順調にバージョンアップが進み、名称も2001年8月5日から何か、2002年4月14日からは現在の伺かに改称されて同時に制作者が「ls」(旧:川上新夜)に引き継がれた。
2002年6月22日に公開されたperiod 583を最後に、バージョンアップは行われていない(これにともなう影響は徐々に出てきている)。制作者であるlsによると「一アプリケーションがプラットフォームになったため」という理由による開発の終了で、アプリケーションとしての伺かはしなちくへと形を変えて開発が続行されたが、こちらも更新が停止している。
[編集] 名称の変遷
中国語圏では一貫して「偽春菜」の名称が使用されている。「中文界的偽春菜」を参照。
- 任意系
- 2000年5月25日 - 12月25日:偽ペルソナウェア with 偽春菜
- 12月26日 - 12月27日:ペルソナウェア以外の何か with 偽春菜
- 12月28日 - 2001年1月25日:あれ以外の何か with 偽春菜
- 1月26日 - :あれ以外の何か with 任意
- 伺か系
- 2001年2月2日 - 8月4日:何か。(仮)
- 8月5日 - 2002年4月13日:何か
- 4月14日 - :伺か
[編集] Ghost
Ghostには以下のような二つの意味があり、一般的には後者を指す事が多い。
- SHIORIなどを含めた人格部分
- 上記の人格部分とShellデータを含めたキャラクタデータ
[編集] 構成
人格部分としてのGhostは、以下の三つを最低限必要な要素としている。
- Ghostを定義するdescript.txt
- 会話などを記述した辞書ファイル
- 辞書ファイルのスクリプトを理解してDirect SSTPに沿って送受信するSHIORI
キャラクタデータとしてのGhostは人格部分としてのGhostとShellの二つを最低限併せ持ったデータである。 SHIORIにサンプルGhostが同梱されていることが多く、Shellと会話の内容などを変更する事によって簡単に作れるようになった。
[編集] SHIORI
SHIORIはベースウェアからのリクエストに対して辞書ファイルに記述されたスクリプトを処理してベースウェアに送信する。DLLとして実装する。 主要なSHIORIは簡易言語となっており、比較的簡単なスクリプトで演出を制御できる。 辞書ファイルの書式やフォーマットは決められているものではなく、SHIORI毎に異なる。
漢字で「栞」と表記する事もあり、名称の由来はPCゲーム「Kanon」のキャラクタ「美坂 栞」より。
下に主なSHIORIの特徴を示す。
- 華和梨(かわり)
- 作者はさとーを始めとする華和梨開発チーム。
- 派生テンプレートとして「Openkeeps」や「FUDS」(作者:とわ)などがある。
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- 長所:SHIORIとしては古い部類に入るため、先達のスクリプトを参考にしやすい。また、拡張性にも富む。
- 短所:文法構造が少々複雑なので、初心者には取っ付き難い。
- 文(あや)
- 作者はumeici。C言語のような文法構造を持つ。
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- 長所:拡張性に富み、採用ゴーストも多い為先達のスクリプトを参考にしやすい。
- 短所:その独特な文法構造のため、初心者や非プログラマには取っ付き難いきらいがある。
- 里々(さとり)
- 作者は櫛ヶ浜やぎ。唯一の2バイト文法構造を持つ。
- オープンソース化により、現在はC.Ponapalt(SSPの現開発者)が独自の開発を行っている。
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- 長所:SakuraScriptをほとんど気にせずに済むので、手軽にGhostを作ることが出来る。
- 短所:文法が簡単な分複雑なことをするのには向いておらず、手の込んだことをしようと考えるとSakuraScriptを理解する必要が出てくる。
- 結奈
- 作者はRhein。専用のエディタを持つGUIなshiori。
- 現在Rheinの結奈本家ウェブサイトは消滅しているが、エディタ搭載のテンプレートゴーストを綾河くものウェブサイトから落とすことが出来る。
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- 長所:自らSakuraScriptを打つ必要が無く、全てのトークやイベントをエディタから記述するため、初心者でも手軽にGhostが作れる。
- 短所:専用のエディタからでないと辞書を編集出来ない。また、作者多忙につき、ただいま公開停止中。
[編集] SAORI
SHIORIに搭載されていない機能を追加するためのプラグイン規格、又はそのファイル。
名称の由来はPCゲーム「はじめてのおるすばん」のキャラクタ「観月 さおり」(姉の「観月 しおり」とSHIORIをかけている)より。
[編集] Shell
キャラクタの外観部分。
初期はアニメーションの実現に大量の画像を必要としたが 現在では小パーツの組み合わせや ベースウェア側の拡大縮小表示(記述現在でSSPとC.R.O.W.がサポート)などにより より少ないファイルで多彩な効果を表現できるなどの進歩を見せている。
[編集] 互換環境
本体(伺か=MATERIA)のバージョンアップは前述の通り行われていないが、仕様が公開されているため、数々の互換環境が公開されている。
- UNIX系OS
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- ninix
- ninix-aya
[編集] 主な用語
上記以外の基本的な用語の説明を記しておく。
- ベースウェア(Baseware)
- 互換環境を含めた本体アプリケーションの総称、本体とは言わずにこの様に呼ぶ事の方が多い。
- ゴーストマスタ
- Ghostの制作者、シェルマスタを兼任している事が多い。
- シェルマスタ
- Shellの制作者、ゴーストマスタを兼任している事が多い。
- フリーシェル(Free Shell)
- 絵は描けないが、Ghostを制作したいというゴーストマスタのために配布されている、Shellとして自由に使用できるShellデータ。
- nar
- 読みは「なー」。INSTALL/1.x仕様に準拠した伺か用のアーカイブファイル、実体はZIPで拡張子をnarに変えているだけ。「Nanika ARchive」の略。
- バルーン(Balloon)
- キャラクタのふきだし部分の事。通常は各キャラクタの左右どちらかに表示される(キャラクタの左右どちらに表示するかは、各キャラクタごとにユーザが変更する事ができる)が、キャラクタの頭上に表示するものも存在する。
- ヘッドラインセンサ
- サイトのヘッドラインを取得・表示する機構。今後はRSSが主流になると思われるが、ヘッドラインセンサは独自にサイトを解析してヘッドラインを取得するため、RSSが設置されていないサイトに関しては残っていくと思われる。
- 辞書ファイル
- 各SHIORIで定められたスクリプトを用いて、会話などの内容を記述したファイル。
- SAKURA Script
- キャラクタのリアクションなどを記述するための専用のスクリプト言語。
- MAKOTO
- SHIORIがベースウェアに渡したスクリプトを実行前にMAKOTOに渡し、スクリプトを加工してベースウェアに返すトランスレータ規格、又はそのファイル。それを拡大解釈して音楽ファイルを再生するものなどもある。SHIORIのイベントに同等のものが追加されたうえに、SAORIも作られたため、現在では滅多に使われていない。名称の由来はPCゲーム「Kanon」のキャラクタ「沢渡 真琴」より。
[編集] 人工無能として
この手のデスクトップ常駐型アプリケーションは、ユーザに対してアクションを求め、それに対して反応を求めるアーキテクチャをもつものが殆どであった。 これは、実装が非常に容易であるが、問いかけに対して必ずユーザが相手をしなければならないため、会話パターンの少なさも相まってユーザが相手をしたい時のみ起動される事が多かった。
これに対して伺かでは「うにゅう」と言う相方の導入とオンラインアップデートによる頻繁な会話辞書データの更新により、ユーザが介在する事無く(介入することも可能だが)画面上で会話が行われ、かつ話題も豊富であるため文字通り常駐させることに成功している。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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