井土ヶ谷事件
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井土ヶ谷事件（いどがやじけん）は、江戸時代末期の1863年10月14日（文久3年9月2日）に武蔵国久良岐郡井土ヶ谷村字下之前（現在の神奈川県横浜市南区井土ヶ谷下町3付近）で起きた、攘夷派の浪士によるフランス士官殺傷事件。
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[編集] 経緯
横浜居留地の警備のため上海より呼び寄せられていたフランス陸軍アフリカ猟歩兵第3大隊所属のアンリ・カミュ中尉(J. J. Henri Camus、1842年～1863年)と士官2名は、保土ヶ谷村に向かうため乗馬で井土ヶ谷村に入ったところを、浪士3名に襲撃された。先頭に居たカミュは刀で右腕を切断され、さらに顔、首、胴、左腕を切られ死亡した。同行した他の2名は逃走し命に別状はなかった。
神奈川奉行並合原猪三郎（ごうはら いさぶろう、合原猪三郎義直、1827年～1901年4月1日、）は捜査を開始したが、フランス公使ド・ベルクールおよびフランス海軍提督ジョレスには犯人逮捕は難しい旨が報告され、襲撃した犯人は不明のまま逮捕されなかった。ベルクールは事件の解決と謝罪のため、フランスに特使として外国奉行竹本甲斐守を派遣することを幕府に勧めた。12月、幕府は横浜鎖港の交渉を行うために外国奉行池田 長発（いけだながおき、筑後守（ちくごのかみ）、1837年7月23日-1879年9月12日）ら34名からなる遣欧使節団を派遣。翌年3月、使節団はフランスを訪れ政府に事件を謝罪すると同時に、12万フラン（35,000ドル）の扶助金を遺族に支払い事件は解決したが、鎖港の交渉は失敗に終わった。
カミュの遺体は、中区の横浜山手外国人墓地に今も埋葬されている。
[編集] 井土ヶ谷事件の跡
事件の現場から北西に約109m離れた井土ヶ谷下町32の1の庚申塚に、井土ヶ谷事件の碑が建立されている。1988年、横浜市地域史跡に指定された。
[編集] 備考
カミュの階級について文献により定まらない。中尉とするものが大勢を占めるが、少尉とする文献もある。また墓碑には少尉と刻まれている。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 富田仁 『横浜フランス物語』 白水社、1991年。
- 日本歴史学会 『明治維新人名辞典』 吉川弘文館、1981年。
- 横浜開港資料館 『史料でたどる明治維新期の横浜英仏駐屯軍』 （財）横浜開港史料普及協会、1993年。
- 武内博 『横浜外人墓地』 山桃舎、1985年。
- 『南区の歴史』 南区の歴史発刊実行委員会、1976年。
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