三つ目がとおる
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『三つ目がとおる』（みつめがとおる）は、週刊少年マガジンに1974年から1978年3月まで連載された、手塚治虫の少年漫画作品。
目次 |
[編集] 概要
1965年のW3事件以来、週刊少年マガジン及び講談社と関係が絶たれていた手塚治虫が久しぶりに週刊少年マガジンに登場。1970年代の超能力、超古代文明を含むオカルトブームを手塚流に消化した本作は人気作品となった。
1974年に月1回の読切として掲載されたが、読者から好評を得たのを受けて翌年から毎週連載となった。当時、少年漫画誌での人気が低迷していた手塚治虫が復活を遂げたのは、本作と週刊少年チャンピオン連載の『ブラック・ジャック』によるもの、と位置付けられている。1977年に『ブラック・ジャック』と本作により手塚は第1回講談社漫画賞を受賞。同年には、講談社から全300巻の「手塚治虫漫画全集」が刊行開始されるなど、手塚と講談社の関係は修復された。
本作は過去に2度アニメ化されいる。1作目は24時間テレビにおける長編アニメで、手塚治虫はシノプシスのみ手がけた。2作目は手塚治虫の死後、テレビ東京にて放映された（詳細は下記による）。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
古代の人類「三つ目族」の末裔で自称「悪魔のプリンス」写楽保介（しゃらくほうすけ）が、親友の和登千代子（わとちよこ）と共に、様々な事件を解決（自分で起こすことも）していく伝奇SF漫画。超古代文明など1970年代のオカルトブームが反映されている。
ストーリーの魅力として、現存する遺跡の謎を手塚治虫独自の発想にて写楽に謎解きをさせていくと言うところがある。例えば、酒船石は、現在では庭園の水を分配するものと考えられているが、薬を作った物と考察するなど結構真面目な側面を持った展開も登場する。
物語にはしばしば三つ目族の古代遺跡や遺物が登場する。すでに失われた文明が残した謎の遺跡に写楽が挑み、その全貌を解明する。難解な古代文字を解読し、自作のマシンで写楽が活躍する様は痛快無比。アリゾナ、イースター島、メキシコなど舞台は世界へと広がる。
サイドストーリーとして写楽が通う中学での学園ドラマも見逃せない。幼稚でいつも皆にいじめられる写楽が三つ目になって反撃する様は、同年代に週刊少年チャンピオンで連載されていた『魔太郎がくる!!』に通じるものがあった。学校に登場した教師や生徒が写楽のライバルとなり、後に大きな事件へと発展することもしばしば。
[編集] 主要登場人物
- 写楽保介（しゃらく ほうすけ）
- 本編の主人公。額に眼球のような感覚器官を戴く「三つ目族」の最後の生き残り。三つ目のときは各種の超能力が使え、ガラクタから魔法のような機械を作ったり難解な古代文字を解読したりする超天才だが、その眼を塞がれると幼稚園児並の知能になる。普段は特製の絆創膏で第三の目を塞がれている。連載当初から中学生で、留年している。三つ目族の遺産である赤いコンドルを呼び出す呪文は「アブトル・ダムラル・オムニス・ノムニス・ベルエス・ホリマク」である。赤いコンドルは武器だけじゃなく写楽が作った機械のスイッチにも使われる。
- 名前はアーサー・コナン・ドイル作の推理小説の主人公シャーロック・ホームズのもじり。
- 「悪の鉄腕アトム」とも評され、デザインもアトムとの類似を指摘する意見もあるが、手塚治虫自身はワーナー・ブラザーズのアニメ『ルーニー・テューンズ』に登場するエルマー・ファッドがモデルとしている。
- 和登千代子（わと ちよこ）
- 写楽の親友で、三つ目の写楽が心を許す数少ない人物。三つ目の写楽に惹かれていく。運動神経抜群で喧嘩も強い男勝りな女の子。写楽と出会ってからは古代文明に興味を持つ。一人称は「ボク」。通称「和登サン」は、ホームズの友人ワトソンのもじり。
- 犬持医師（けんもち）
- 写楽の養父で医者。写楽には普通の男の子として生活して欲しいと願っている。三つ目の写楽も犬持を父親として認めている様子。
- 須武田博士（すぶた）
- 大学の考古学教授。犬持の親友で、古代文明の研究をしている。考古学資料のためには金も命も惜しまない子供のような性格。そのため写楽を使い度々事件を起こす。
- 雲名警部（うんめい）
- ベートーベン似の刑事。なぜか写楽がらみの事件をよく担当する。なかなかのキレ者だと思うのだが、ほとんどヘタレ扱い。自称「捜査界の学聖」（楽聖のもじり）。但しバイオリンは弾けない。
- ヒゲオヤジ
- 写楽が住み込みで働いている中華料理屋「来々軒（らいらいけん）」の店長。江戸っ子風の熱血漢で自称「バカ田大学出」だが、意外と機転が利く一面を持つ。
[編集] 作品の改編等について
他の手塚作品にも見られるように、本作も単行本化に際して加筆・改編が行われている。特に連載前半における修正が多く、掲載時には切れ目の無い一連のストーリーとして書かれていたものが、単行本では1冊ないし2冊に収まるようにまとめられた。また当初は単行本に収められなかった短編も複数あった。
「手塚治虫漫画全集」の刊行に当たっては、当時6巻まで発売されていた講談社コミックス (KC) 版を打ち切りにし、その続きから優先して全集に収録されることになった。このため全集への収録順序は連載時の順序と大きく異なるものとなった。この混乱は講談社コミックスペシャル (KCSP) 以降の版では修正されている。
なお、先述の単行本未収録話については、ファンからの要望を受け、2003年に講談社プラチナコミック版に収録された（2006年9月現在、品切れで重版未定）。
[編集] アニメ
[編集] 24時間テレビ版
「悪魔島のプリンス 三つ目がとおる」と題された本作は、1985年に日本テレビの24時間テレビ内で放送された。ストーリーは原作のイースター島航海編をベースにしており、手塚治虫のシノプシスに基づいて東映動画により製作された。
[編集] 主なキャスト
[編集] テレビ東京版
テレビ東京で1990年10月から1991年9月まで放送された、原作をベースとした手塚プロダクション制作の連続アニメーションシリーズ。全48話。ラストは原作と異なり、原作はモア編で終わるが、アニメではモア編の後パワーアップした怪植物スーパーボルボックとの対決で終わる。
[編集] 主なキャスト
- 写楽保介、ゴダル：伊倉一恵
- 和登千代子：松井菜桜子
- 犬持教授：嶋俊介
- ヒゲオヤジ：緒方賢一
- 雲名警部：石塚運昇
- オサム：田野恵
- タカシ：石田彰
- バンカラ：桜井敏治
- 和登の父：峰恵研
- モア：大谷育江
- ゴブリン：青野武
- マクベス：大友龍三郎
- 天人鳥：滝沢久美子
- モエギ、ボルボック：天野由梨
- ポゴ：深雪さなえ
[編集] サブタイトル
- 三つ目登場・ボクが写楽だ
- ラーメン戦争! 怒りの一撃
- かわいい赤ちゃんは侵略者
- 迷子のUFOをさがせ
- ハイテク暴走車を追え
- 美少女はヘビの使い?
- のっとられた写楽
- 三つ目イヌ誕生
- 三つ岩山の秘密
- うそ!? 写楽が悪魔
- 守れ! ボクの宝物
- 守れ! 地下の都
- 守れ! 第三の目
- 爆発! 宇宙パワー
- 超能力VS超魔術
- 発見! 伝説の怪物
- 受験戦争と平和!?
- 不思議鳥モア!!
- 古代魔神めざめる
- 心を開け古代魔神
- 321・ドカーン
- 怪盗オズマの挑戦
- 三つ目族の謎 古代からの使者
- 三つ目族の謎 湖底に眠るひみつ
- 三つ目族の謎 財宝をさがし出せ
- 三つ目族の謎 秘められた使命
- 不思議の国の写楽
- 悪党文福あらわる
- 古代王子ゴダル もう一人の写楽
- 古代王子ゴダル 最終兵器を探せ!
- 古代王子ゴダル 始動せよ! ゴモラ
- 古代王子ゴダル 地球乗っ取り計画
- 古代王子ゴダル 魂を取り戻せ！
- 文福再びあらわる
- 怪植物ボルボック 出現! 七本の柱
- 怪植物ボルボック 不思議少女モエギ
- 怪植物ボルボック 地底にひそむ影
- 怪植物ボルボック 動き出した大地
- 怪植物ボルボック 決戦! 写楽VSボルボック
- イースター島航海 サルが喋った!
- イースター島航海 上陸! 悪魔の住む島
- イースター島航海 結婚? ポゴと写楽
- イースター島航海 さようなら、ポゴ
- 狙われたモア!
- メキシコ上空大バトル
- モア暗殺計画
- 復活! スーパーボルボック
- 明日への誓い
[編集] テーマソング
- オープニング：『? （はてな）のブーメラン』 歌：徳垣とも子
- エンディング：『ちょっと魔法でばんそうこ』 歌：中島安名
2004年にアニメ『ふたりはプリキュア』が放送されたとき、「オープニング曲の『DANZEN! ふたりはプリキュア』が『?（はてな）のブーメラン』とそっくりである」という少々珍しい形の注目のされ方をした。両曲の作詞と作曲の担当者がそれぞれ同一人物だったため起こった事のようである。
[編集] ネット局
- 同時ネット局：テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TXN九州（現、TVQ九州放送）
- 時差ネット局：山形放送、新潟総合テレビ、テレビ信州、静岡第一テレビ、奈良テレビ、テレビ和歌山、中国放送、長崎放送
| テレビ東京系 木曜19：30枠 | ||
|---|---|---|
| 前番組 | 三つ目がとおる | 次番組 |
| ジャングル大帝（第3作） | 燃えろ!トップストライカー | |
[編集] 他作品への出演
本作のアニメ化ではないものの、登場キャラクターの写楽と和登は、手塚治虫流のスターシステムで、いくつかのアニメに客演している。
- 1978年8月、日本テレビ系列の24時間テレビ内で放送された手塚プロ製作の2時間の手塚治虫スペシャルアニメ『バンダーブック』では、写楽がシャラク博士を演じた。声は肝付兼太。
- 1979年8月、前年に引き続き、日本テレビ系列の24時間テレビ内で放送された2時間の手塚治虫スペシャルアニメ『海底超特急マリンエクスプレス』では、写楽が悪役のムー帝国シャラク王子を演じた。声は肝付兼太。
- 2000年12月に朝日放送をキー局にテレビ朝日系列で放送されたスペシャル番組『手塚治虫が消えた?!20世紀最後の怪事件』のアニメパートには、ブラック・ジャック、サファイヤ姫、アトムらとともに本作の写楽と和登として参加。写楽はくまいもとこ、和登は松井菜桜子が担当した。
- 2003年10月12日にフジテレビ系で放送された『ASTRO BOY 鉄腕アトム』27話「名探偵ヒゲオヤジ」に登場した写楽と和登は母子という設定。写楽の声は伊藤美紀、和登の声はMEGUMIだった。
- 2004年からよみうりテレビをキー局に日本テレビ系列で放送している『ブラック・ジャック』にも登場している。写楽は佐藤ゆうこ、和登は小野涼子がそれぞれ声を担当。ただし「写楽」と「和登」は本来は苗字であるがここでは名前になっており、また写楽と和登は姉弟という設定になっている。「Karte38：未知なる者への挑戦」では、犬持も二人の父親として登場（声は中庸助）。
[編集] 小説
- 山崎晴哉『三つ目がとおる 悪魔島のプリンス』（1985年、角川文庫） - 24時間テレビで放映されたスペシャルアニメのノベライズ。
- 田中啓文『三つ目がとおる 天狗山の秘密』（2002年、SF Japan Vol.03 手塚治虫スペシャル） - オリジナル短編小説。現在は徳間デュアル文庫の『手塚治虫COVER タナトス篇』に収録。
[編集] ゲーム
『三つ目がとおる』のタイトルで、MSX版ゲームソフトがナツメから1989年に、ファミリーコンピュータ版ゲームソフトがトミーから1992年にそれぞれ発売されている。主役ではないがセガから2003年に発売されたGBA版ゲームソフト『ASTRO BOY 鉄腕アトム アトムハートの秘密』にはゲストで登場している。
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