ロングヘア
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ロングへア(long hair)とは、髪を長く伸ばした髪型のことである。日本では長髪、俗にロン毛とも呼ばれる。 対して短髪のことをショートヘアという。
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[編集] 概要
髪が肩にかかる程度の長さである場合はセミロングとし、それ以上の長さの髪をロングヘアと呼ぶのが一般的である。とても長く腰に届く以上に長い場合などにベリーロングなどと呼ぶ。
髪の毛を特に結う場合には、その結い方によって、ポニーテール(アップ)、ツインテール(サイドアップ)などと呼称される髪型に派生する。
[編集] 魅力
文化、慣例として特に日本においてはロングヘアが長らく女性の特徴であり、現在において大多数の男性が短髪であることなどから、ロングヘアはすなわち女性という既成概念が存在する。そのため長い髪に女性らしさを感じる男性は少なくない。そのため、髪が長いと美人に見えたり(見られたり)、無条件に(男性に対する性的な)魅力が上昇する場合もあるようである。
ドラマやアニメなどの映像作品においては、髪になびくロングヘアを描写することがとても多いが、キャラクタの魅力を演出する意図が成立する由縁はまさしく前述した理由が大きい。
このような理由からシャンプーやリンスなどの髪関連製品のテレビコマーシャルでもロングヘアのモデルが起用される場合が多い。
[編集] スタイリング
[編集] あまりいじらない場合
ロングヘアのスタイリングとしては大きく分けて、結わない場合では、真っ直ぐな状態を保つ「ストレート・ロング」とクセ毛や意図的にパーマをかけて「ウェーブ・ロング」とする場合の2つがある。
[編集] カットを伴う場合
ストレートにおいては、ボブカットのように前髪と、サイドの前髪部分の髪を両頬に当たる位に伸ばして切り揃えた場合、姫カット、プリンセスカットと派生して呼称される場合がある。(姫カットの項目に詳しい)ただし、この髪型を実践している現代女性はロングヘアの中でも少数派(というよりもむしろ皆無)であり、アニメや漫画などの仮想人物において見られるか、またはファッションショーのモデルなどで稀にある。
前髪部分だけを切りそろえる、または短くし、横・後ろの髪を伸ばしているスタイルと、前髪からすべてを伸ばすスタイルとがある。この2つには特に区別する名称はない。ただし、全体を(水平時の長さにおいて)同一に切りそろえた場合は「ワンレングス」「ワンレングスカット」と呼称されることがある。
[編集] 結ぶ、留める場合
ロングヘアはその長さゆえにスタイルを保つのが難しい。 そのためリボンなどを用いたポニーテール、ツインテールなどの結うスタイルが派生する。 (この2つについては各項目に詳しい) 古くは簪を用いたスタイル(現在でも和服にあわせて用いられることが多い)や、ヘアバンド、カチューシャ、髪留め、ヘアピンといわれる装飾具を用いて髪型を固定するスタイルもある。
「前髪部分だけを切りそろえる、または短くし、横・後ろの髪を伸ばしているスタイル」の場合には特にカチューシャが似合い、よく用いられる。
また、ロングの毛先だけをリボンなどで結ぶスタイルも存在する。 このとき、髪全体をひとつにまとめる場合と、毛先だけ2つに分離する場合とがある。名称はないようである。 この場合、古風な雰囲気となる。
何もしない状態から上(後頭部)の髪だけをアップにしたハーフアップがある。これは長く下方に伸びる髪とポニーテールのスタイルが融合した、気品の感じられるスタイルとなる。
後ろ髪を普通に伸ばした状態で、両側面の髪を後ろに回して一つに結びたらし、上方の髪だけアップにしたスタイルもある。(ハーフアップの状態で両側面の髪を後方で一つにまとめる。)これはお嬢様結びなどと呼称される場合があるが一般に定着した名称はないようである。さらに、お嬢様結びといった場合に、このスタイルのほかに、サイドから回して後ろでまとめる髪を三つ編みにするなどの発展系を指す場合もある。
[編集] 編みこむ場合
三つ編みを用い、低い位置の後部から三つ編みが1つないし2つ長くある場合にお下げ(二つ三つ編み)、一つ三つ編みなどと呼ばれるスタイルがある。3つ以上の三つ編みを構成することはあまりないが、民族によってはそれが正式な髪型となっていることもある。また、朝鮮などでは輪形(わっか状)にする三つ編みのスタイルもある。
編みこみ方によって四つ編み(フィッシュボーン)もある。
また、束ねた髪をサイドや後頭部で(団子状に)まとめたシニヨンのスタイルもロングヘアを伴う場合が多い。
[編集] 管理・手入れ
結わない場合は髪の痛みやそれにともなうハネ、クセといったものがとても目立つため、ストレートを好む人は髪の管理にとても神経質に成らざるを得ない。髪が伸びる速さは一般的に毎年10cm前後であるといわれているので、ショートヘアの状態から腰まで伸ばす場合、5年程度の歳月は最低要することになる。つまり、毛の先端にかけて何年も前にはえた髪ということになる。ショートのようにすぐにあたらしい髪に入れ替えるわけではないので、当然美しく保つために手入れが重要になる。ブラッシンも丁寧に行う必要があるし、場合によっては髪を乾かすためにドライヤーを用いることがダメージなるとすることから、自然乾燥を好む人もある。
また、ロングヘアを美しく保つためには髪を空くことはあまり好ましくない。枝毛・切れ毛などの発生が危惧されるうえ、人によっては頂点ボリュームが不足し、美的バランスが崩れるからである。
美容師によっては営業上の理由や髪型を作り上げたいという欲求などからシンプルなロングヘアの女性にやたらと髪をいじることを勧める行為がすくなくない。最悪の場合、顧客に対して十分な説明を行わずに手を入れる場合もあるため注意が必要である。また、知識不足の美容師によって無条件に髪を空かれてしまう場合もあるため、十分に美容師とコミュニケーションをとっておき、要求スタイルを強く示しておくことが必要である。
[編集] 説話
ロングヘアの女性がある日一転してショートヘアへと髪型を変えると、失恋が原因である、とする風説が出回ることがある。 特に高年齢層のいわゆるオヤジが女性に対して「失恋したの?」と冗談交じりで発言するといった場合が聞かれる。
これは実際に失恋したロングヘアの女性が髪を切ることが少なくなかったことに加え、恋愛を話しに交えたマンガ(特に少女マンガ)やアニメ、ドラマなどにおいてエピソードとして用いられることがよくあることに起因している。
なぜ失恋すると髪を切るのか、という問いに対しては、過去を忘却するための変身願望、と考えることができる。 実際、ロングヘアの人がショートヘアにするとほとんど別人に見えることが多い。
[編集] 歴史
有史以来、世界的にロングヘアは普遍的な存在であることが知られている。中世の男性などではロングヘアは一般的であったし、平安における日本においても男性のロングヘアは珍しいものではなかった。しかし平安から安土桃山時代の日本においては女性の髪は黒いほど、また長いほど美人とされていたといわれ、現在まで女性の象徴であり続けているのは疑いの余地はない。