レッド・ミラージュ
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レッド・ミラージュ | |
正式名称 | LED MIRAGE |
形式 | Mirage B |
マイト | アマテラス帝 |
シリアルNo. | 0003~0049 |
全高 | 18,700mm |
肩高 | 15,200mm |
重量 | 120.0t |
出力 | 3兆3千億馬力+α~ |
武装 | フレイムランチャー、実剣、 頭部レーザーカッター、15mm対物レーザー、 7mm対人レーザー、破壊用ブラスター、 対人用ブラスター、 他固定、オプション多数あり |
キャラクター・パワー・バランス | 1920 (ドラゴンやログナー、オーバーロードと同等レベル) |
レッド・ミラージュ (LED MIRAGE 略称L.E.D) は、漫画『ファイブスター物語』に登場する、架空の兵器。A.K.D.の光皇、アマテラス帝の所有する騎士団、ミラージュ騎士団が使用するモーターヘッド(MH)である。
物語史上最強の「ロボット」であり、この物語を象徴するメカニックである。
目次 |
[編集] 概要
ミラージュ騎士団主力MH。主設計者(マイト)は天照帝。制御サーキットをDr.クローム・バランシェが担当。だが正確には「モーターヘッド」とは呼ばれず、後世の歴史家には「モーターメシア」「モーターカイザー」と呼ばれたようだ。
試作ネームはブラッド・ネイチャー。L.E.DはREDではなく、LEADの過去分詞形で「常に先を行くもの」を意味し、あらゆるMHの中でも最強を意味する。その言葉どおり、このMHは物語の開始から終了まで不敗である。ホーンド・ミラージュと、ウォータードラゴン(シュペルター)/ オージェ・アスルキュルのK.O.Gシリーズの設計の延長線上にあり、カヴァード・ミラージュ、E-S、E-L、E-Nなどのテスト機と大規模な設計開発・テストの末に完成。ドラゴンを模して作られ、ナイト・オブ・ゴールドを含む、以降のミラージュマシンの基本となっている。製作数は合計41騎。39号騎以降は星団を離れた天照の戦闘コロニー「ウィル」内で作られている。
新たに開発された小型・高出力のスーパー・イレーザーエンジンを両脚のふくらはぎに搭載して開発された。この両脚ふくらはぎへのマウントは、胸部にエンジンを搭載している他のMHに比べ、ウェイトコントロールが飛躍的に向上している。また、スーパー・イレーザーエンジン自体も優れており、ホーンド・ミラージュに比べ1.5倍の出力を発揮し、出力バランスも向上している。
単騎でも驚異的な性能に加え、複数のL.E.Dが互いにデータリンクを行いファティマの演算能力を共有する「RAID-GIG」(ライド・ギグ)システムを搭載し、大規模な乱戦時においても一糸乱れぬ指揮系統と死角のない高効率の戦闘を実現する。
元々「破壊と殺戮」を本能としており、味方L.E.Dと「血の十字架」をつけたもの以外は全てが攻撃対象で、唯一ナイト・オブ・ゴールドにのみ臣従する。その凶悪さ故騎乗する騎士とファティマは操縦者などではなく、その本能を押さえ込む為の安全装置に過ぎない。天照の始動印と騎士とファティマが一致しないと動かないようになっている。
その圧倒的なまでの破壊力と裏腹に、星団史上たった7回しか星団に姿を見せていない上に一般には正式名称すら公表されて無いため、単に「殺戮ロボット、アマテラスの幻像騎士団の白い悪魔」と呼ばれている。あまりにも残虐なその戦闘・虐殺行為から、騎士の人権を守るため、MHのナンバリングは騎士のナンバーと一致せず、滅茶苦茶になっている。
[編集] 武装
初登場時は近接戦用の剣を使っていたが、後の改装時に主武装の背中のバックパック式の燃料槽から供給される、リキッドRという触媒を強力な電圧で放射することで、150mの火炎放射が可能な長大な砲身を持つ火炎放射器、通称「インフェルノ・ナパーム」を装備する。
これは敵に対して直接噴射するだけでなく、噴射した状態で砲身を動かす事により巨大な剣のような使用も可能であり、相対した殆どのMHは剣を交える事もなく焼き尽くされている。他にも炎を用いる事による視覚的な効果を計算していると思われる。MH以上の敵との戦闘を想定されている(むしろ対MH戦は眼中に無いと言っても過言ではない)ために他のMHを凌駕する耐久性や、ブーメラン・ユニットやルーナ・ユニットなどに代表される広域移動や長時間活動を維持する豊富な増装備を持つ。
逆に固定主武装は、対バッシュ戦で使用された頭部のレーザーカッターのみとなっており、これは文字通りの「最後の手段」である。その他全身に対人・対通常兵器用の火器や光学兵器を多数装備している。
[編集] バリエーション
他のMHの例に漏れず年代によってその姿や装甲・装備は異なる。
- 2989年 - 先行量産機が実戦に初投入された。他量産機とは姿や装備が若干異なる。
- 3007年 - バージョン3として正式発表。先行量産機には無い、自から発光しジョーカー世界最強の硬度をもつ半透明装甲をまとい、両肩に遠隔浮遊するシャッフルバインダーを持つ姿となっている。さらに外からは見えないが、顔前方ひさしの下にフレイム・ランチャーのプロミネンスウェーブの炎から目を守るアイコンタクトバイザー、頭部前方装甲内部に高出力レーザー砲「ビー・ベロック」が追加装備されている。
- 3159年のアドラー星侵攻において背中に巨大なフレイムユニットとインフェルノ・ナパームを装備した機体が確認されている。
基本的に形状・塗装が全騎同一であるが、ヤクト・ミラージュ支援用のサポート・L.E.Dと呼ばれる騎体や、式典用装甲に換装したバビロンズなどの、用途や外見の異なる騎体も若干存在する。 他にも暁姫(B4デストニアス)、雷丸(B2レッド・ミラージュ バビロンズ)、彗王丸(B3ハイドラ・ミラージュ)の3騎のサブリミテッド・ナンバーがついた騎体がL.E.Dミラージュのグループに属するが、実際はDr.ダイヤモンド・ニュートラルの設計で、エンジン以外は他のL.E.Dとは似ても似つかない別物である。
[編集] 劇中での活躍
2989年のコーラス - ハグーダ戦争に非公式ながら、実戦テストを兼ねて投入。3007年の正式公開時にバージョン3として発表される。3159年のアドラー星侵攻では、インフェルノナパームを放射して全てを焼き尽くし、星団中に「史上最強、星団最悪の白い悪魔」に恥じない残虐な戦闘・虐殺行為を見せつけ、たった15機でアドラー星を制覇したとされる。
他に姿を現したのは、ボォス侵攻、カラミティ侵攻、スタント遊星攻防戦、ジュノー侵攻の合計7度のみであり、現場にいた者はことごとくその殺戮の対象となったため、実際にその姿を見た者はほとんどいないと言われている。
あまりの強さ故に、「立ち向かっただけで、星団史に名を残す」と言われており、大破寸前まで追い詰めたのはバッシュ・ザ・ブラックナイトだけだと思われる。またフィルモア騎士ブルーノ・カンツィアンとファティマ・パラーシャは、2989年のコーラス・ハグーダ戦においてLEDと対戦し敗れたものの、「生還した」という事実だけで星団中の注目を集める事となった。
[編集] 備考
『重戦機エルガイム』の劇中未登場であったヘビーメタル、ブラッド・テンプルがデザインの源流であり、アニメスタッフに配られた設定資料集表紙や角川書店のアニメムック「重戦機エルガイム-2」、アニメック誌などに掲載されたイラストにその面影を確認できる(「ブラッド・テンプル」の名とデザインは、同じAKDの宮廷騎士団ゴーズの主力MHに継承されている)。また「眼にした物を無差別に破壊する」というコンセプトは、永野の漫画デビュー作『フール・フォー・ザ・シティ』に登場した殺人マシン「ベオ・グライド」と共通している。
『ファイブスター物語』自体も長年連載されている間に物語やデザイン、設定は当初より少しづつ変更されているが、このL.E.Dミラージュもその象徴的事例の1つといえる。連載当初の設定では「他軍よりも少し強い」MH程度で、戦闘時の損傷擱座や大破の記録が記載されているが、設定が拡充された90年代後半にはその設定は奥にひっこみ、光の神アマテラスが生み出したMHの姿を借りた「神の代行者」、という色彩が強くなっている。目だった損傷は、現在明かされている限りでは初登場時のカーレル・クリサリス機と、戦闘前に自損したとされるスペクター程度である(前者は対戦相手のファティマ・エストとバッシュの相乗効果に加え、5代目黒騎士グラード・シドミアンの超絶な能力と経験とによるもので、後者は一応神様のやらかした事だからどうしようもない)。また剣聖マキシマム・ハルトフォラス(マキシ)はスタント遊星における謎の存在との戦闘にて死亡しているが、後の設定で彼の乗騎がB4デストニアスに改められたのもLEDの不敗神話を守る為の措置であると思われる。