リアル鬼ごっこ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

文学

ポータル

各国の文学
記事総覧

出版社・文芸雑誌
文学賞

作家

詩人・小説家
その他作家

リアル鬼ごっこ（リアルおにごっこ）は、山田悠介のデビュー作で、各メディアなどで話題になった都市型ホラー小説。

[編集] 概要

2001年に文芸社より刊行され、発行部数は35万部を超えた。また、2004年には幻冬舎文庫から文庫版（改訂版）が、幻冬舎コミックスからは新人漫画家杉山敏による漫画版が刊行された。2007年に映画公開の予定。

設定がかなり突飛であり、更には西暦3000年の某王政国が舞台なのに、時代背景などがほぼ現代の日本と変わらない（東海道新幹線が、刊行当時の所要時間とほとんど変わらない状態で、そのまま存在する etc.）、などといった特異点を有する。また、言語の使い方が文法的におかしい（主語と述語の食い違い、重複表現、 etc.）箇所が多いことも指摘されている。

いわゆる「トンデモ本」や「VOW」ネタの延長線上として、この作品を捉えている読者も少なからずいると見られる（と学会の「トンデモ本の世界S」で取り上げられた）。

幻冬舎文庫版は、徹底した校訂（例：ファミリーレストランでの食事シーンが削られている）が行われているため、文芸社版での持ち味が失われてしまっていると評するファンも存在する。

[編集] ストーリー

西暦3000年。王様が治めるこの国は人口が約1億人、そして…「佐藤」という苗字を持つ人口は500万人を超えていた…。ある日、王様は自分の苗字が「佐藤」であることに対して「佐藤は自分だけでいい!」と怒り、「鬼ごっこのようにして全国の佐藤を捕まえ、抹殺する」という恐るべき計画を提案する。その計画を詳しくすれば、23時から24時までの1時間、全国に王国の兵士を配備し、時間になったらその兵士は付近の「佐藤」を追いかける。捕まったら最後、秘密の収容所に連れて行かれる。そして、最後には殺されてしまうのだ。

横浜市内の大学に通う大学生佐藤翼は現在父との2人暮らし。友人の持っていた号外にてこの計画の施行を知る。翼は7歳のときに父の暴力に悩まされていた母と妹・愛と生き別れになってしまうという過去がある。母と愛は家に翼を置いて出て行ってしまったが、きっとどこかにいる…そう思っていた。

「リアル鬼ごっこ」初日。開始のサイレンが鳴る。外をあるいていると、翼はある女の子と知り合う。その女の子も「佐藤」という苗字だけで王国の兵士に1時間追い回されるのだ。初日はなにごともなく終了。が、日を追うごとに「鬼ごっこ」は激しくなってゆく。果たして佐藤翼は地獄のような1週間の鬼ごっこから逃げ切れるのか…