ランド研究所
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ランド研究所（RAND Corporation、ランド・コーポレーション）はアメリカ軍から調査分析を請け負うことを目的として設立された総合シンクタンクである。その後他の政府機関や民間企業からの依頼も受けるようになった。
ランド研究所では1600人の従業員が6ヶ所の施設で働いている。アメリカ国内では、カリフォルニア州サンタモニカ（本部）、ワシントンD.C.（現在はヴァージニア州アーリントンにある）、ペンシルバニア州ピッツバーグ（カーネギーメロン大学の隣）にある。ヨーロッパでは、オランダのライデン、ドイツのベルリン、イギリスのケンブリッジにある。2003年、ドーハに RAND-Qatar Policy Institute をオープンした。
ランド研究所には、ランド研究所政策大学院（Frederick S. Pardee RAND Graduate School）が置かれている。博士号(Ph.D.)を授与する公共政策大学院である。この大学院のユニークな点は学生がランド研究所の政策研究に政策分析アナリストとして実際に参画していることである。キャンパスはサンタモニカのランド本部の敷地内にある。政策研究、政策科学に関する大学院のPh.D.のプログラムとしては全米で最大規模である。
名称のランドは「研究開発 Research ANd Development」の頭字語である。
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[編集] ランド計画(Project RAND)
ランド研究所は 1946年、アメリカ空軍が Project RANDとして設立したのが始まりである。設立当初は Douglas Aircraft Company との契約に基づくもので、1946年5月に Preliminary Design of an Experimental World-Circling Spaceshipをリリースした（訳注：Spaceshipとなっているが、人工衛星の基礎研究である）。1948年5月、Project RAND は Douglas社から分離され、独立NPOとなった。
[編集] 設立目的
ランド研究所は非営利組織として「アメリカ合衆国の公益と安全のために、科学、教育、慈善の促進を目的として」設立された。自ら宣言した目的は自らの「高い品質と客観性」を使って「調査研究を通して政策や意思決定を改善することを助ける」ことである。
[編集] 業績と専門分野
ランド研究所の業績はシステム分析の開発から生じている。重要な寄与としては、米国の宇宙開発、情報処理、人工知能などがある。ランドの研究者はインターネットを構築するのに使われている様々な原則も開発している。多くの解析手法がランドで発明されている。例えば、動的計画法、ゲーム理論、デルファイ法、線形計画法、システム分析、exploratory modeling などである。ランド研究所はウォーゲームを分析手段として開発し使用したことでも知られている。
教育関連も含めたランド研究所の現在の専門分野は次のようになっている。小児政策、民事裁判、刑事裁判、教育、環境とエネルギー、健康、国際政策、労働市場、国家安全保障、人口と地域研究、科学技術、社会福祉、テロリズム、交通。
ランド研究所は健康保険に関する最も重要で大規模な研究のひとつを行った。アメリカ保健教育福祉省の出資で新たな実験用の健康保険会社を作り、公共医療サービスの需要とそのコストを比較したのである。
2004年の年報によると、「ランド研究所の研究の半分に国家安全保障問題が関係している」とのことである。
[編集] 様々な主張と文化
アメリカ空軍の将軍カーチス・ルメイは、RAND が 「Research And No Development ＝研究するだけで何も開発しない」の略ではないかと皮肉を言った。
映画『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』はランド研究所へのジャブであった。というのも、主人公が BRAND Corporation の行った研究について言及していたのである。
ランド研究所はおびただしい出版物を出しているが、その最大のベストセラーは A Million Random Digits（乱数表）である。
[編集] ランド研究所に関わる有名人
- ヘンリー・アーノルド - アメリカ空軍の将軍、ランド設立者
- en:Donald Wills Douglas, Sr. - Douglas Aircraft Company 社長、ランド設立者
- en:Arthur E. Raymond - Douglas Aircraft Company 主任技術者、ランド設立者
- Franklin R. Collbohm - Douglas Aircraft Company 航空技術者、ランド設立者にして元責任者/理事
- ケネス・アロー - ノーベル経済学賞受賞者、社会選択理論におけるアローの不可能性定理を開発
- en:Paul Baran - インターネットの元となったアーパネットで使われたパケット通信の開発者の一人
- en:Barry Boehm - ソフトウェア経済学の専門家、COCOMOの発明者
- en:George Dantzig - 数学者、線形計画問題におけるシンプレックス法の考案者
- en:Bruno Augenstein - 物理学者、数学者、宇宙開発に携わった
- en:James Gillogly, 暗号研究者、情報工学者
- Cecil Hastings - プログラマー、ソフトウェア工学の古典 Approximations for Digital Computers（1955年）を書いた
- アレン・ニューウェル
- ハーバート・サイモン - ノーベル賞経済学賞受賞者
- ポール・オニール - 1990年代終盤の会長
- en:Daniel Ellsberg - ペンタゴン・ペーパーズをリークした人物
- ジョン・フォン・ノイマン - 数学者、ゲーム理論の創設者
- ジョン・ナッシュ - ノーベル賞経済学賞受賞者、数学者
- en:Herman Kahn - 核戦争理論家、Scenario Planning の創設者の一人
- Lewis "Scooter" Libby - ディック・チェイニーの前の主任スタッフ
- Katsuaki L. Terasawa - 経済学者
- ドナルド・ラムズフェルド - 1981～1986年、ランド研究所の会長を務めた。元アメリカ合衆国国防長官
- コンドリーザ・ライス - 1991～1997年、理事を務めた。現アメリカ合衆国国務長官(2006年11月現在)
- フランシス・フクヤマ - 学者、『歴史の終わり』の著者
- トーマス・シェリング - ノーベル経済学賞受賞者
- en:Zalmay Khalilzad - アメリカ合衆国駐イラク大使
- マーガレット・ミード - 文化人類学者
- James Thomson - 1989年以来、ランド研究所所長(CEO)
- en:Michael D. Rich - 1993年以来、ランド研究所副所長(Executive Vice President)
- フランク・カールッチ - 理事、カーライル・グループの会長
- Harold Brown - 理事
- ウォルター・モンデール - 元理事
- en:Carl Bildt - 理事、元スウェーデン首相
- en:Robert F. Salter - Vactrainや磁気浮上式鉄道の概念の提唱者
- en:Samuel Cohen - 中性子爆弾の発明者(1958年)
- en:Harold L. Brode - 物理学者、核兵器専門家
[編集] ランドへの批判
ランド研究所を軍国主義や軍産複合体と関連付ける人も何人かいる。多くの陰謀説ではランド研究所が登場するが、その多くはランド研究所の研究内容の詳細が明らかでないため間違っているか不明瞭なものとなっている。軍産複合体で大きな役割を果たしたランド研究所の関係者をランド研究所内の研究でも大きな役割を果たしていたとする者もいるが、多くは間違いである。
[編集] 外部リンク
いずれも英文
- ランド研究所公式サイト
- ランド研究所自身の歴史
- Frederick S. Pardee RAND Graduate School
- RAND And The City - Santa Monica Mirror（サンタモニカの左翼系弱小フリーペーパー）による（やや偏った）ランド研究所の歴史。パート1, 2, 3, 4, 5
