メタルギア
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メタルギア(METAL GEAR)は、コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)の代表作であるタクティカルエスピオナージアクション(戦術諜報アクション)ゲームのシリーズの呼称。または、そのシリーズ第1作目の呼称、及びシリーズ内に登場する兵器の名前。
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[編集] 概要
ゲーム界の巨匠小島秀夫が監督するゲームであり、1998年9月3日に『メタルギア』シリーズの第3作として発売された『メタルギアソリッド』は、全世界で600万本を売り上げる人気作となった。更には、映画化も検討されている。(HIDECHAN! Radio.第52回 小島監督談)
ゲームファンの間では、MGS(METAL GEAR SOLID)と略され、これ以降の作品のシリーズ名称としても、しばしば用いられる。
小島はメタルギアソリッド以降のシリーズの大きなテーマとしては、「遺伝子操作」「反戦反核」を伝えること、とインタビューで言っていたが、「核についてはゲームの緊張感を高めるための手法、ゲームでお説教めいた事はしたくない」ともインタビューで答えている。
また、M・G・Sはそれぞれ「MEME(ミーム : 文化的遺伝子)」、「GENE(ジーン : 遺伝子)」、「SCENE(シーン : 時代)」の頭文字とされ、シリーズ第3作から第5作までのテーマを象徴している(対応はMGS2・MGS1・MGS3の順)。ただ、この意味は偶然MGSになったもので、意図してMGSとなるような組み合せを選んだのではないと、小島監督はインタビューにて答えている。
[編集] メタルギアシリーズ
一般に、1987年に発売された第1作『メタルギア(MSX2版)』と第2作『メタルギア2 ソリッド・スネーク』を「メタルギアシリーズ」(狭義)、『メタルギアソリッド』以降、『メタルギア』とタイトルに付く作品とその派生作品を「メタルギアソリッドシリーズ」(MGSシリーズ・または「ソリッドシリーズ」)と呼称する。そしてこれら全作品の総称を広義的に「メタルギアシリーズ」と呼ぶ。
『メタルギアソリッド』・『メタルギアソリッド2 サンズオブリバティ』・『メタルギアソリッド3 スネークイーター』の3作品はメーカーでは『メタルギアソリッド三部作』と位置づけている。
[編集] シリーズ作品
[編集] 発売日順
- METAL GEAR (1987/7/13・MSX2)
- METAL GEAR (1987/12/22・FC)
- METAL GEAR 2 SOLID SNAKE (1990/7/20・MSX2)
- METAL GEAR SOLID (1998/9/3・PS.PC)
- METAL GEAR SOLID INTEGRAL (1999/6/24・PS・MGS1の完全版)
- METAL GEAR Ghost Babel (2000/4/27・GBC)
- METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY (2001/11/29・PS2)
- METAL GEAR SOLID 2 SUBSTANCE (2002/12/19・PS2、PC,XBOX・MGS2の完全版。PC、XBOX版は、欧米のみ発売)
- METAL GEAR SOLID THE TWIN SNAKES (2004/3/11・GC・MGS1のリメイク)
- METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER (2004/12/16・PS2)
- METAL GEAR AC!D (2004/12/16・PSP)
- METAL GEAR AC!D 2 (2005/12/8・PSP)
- METAL GEAR SOLID 3 SUBSISTENCE (2005/12/22・PS2・MGS3の完全版)
- METAL GEAR SOLID BANDE DESSINEE(2006/9/21・PSP・MGS1のデジタルコミック)
- METAL GEAR SOLID PORTABLE OPS(2006/12/21・PSP・MGS3とMGの間のストーリー)
- METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS (開発中・2007年秋予定・PS3)
番外編的なものに、THE DOCUMENT OF METAL GEAR SOLID 2(2002/9/12・PS2)がある。PS2で観る設定資料集である。ゲームではないが、『METAL GEAR SOLID 2 SUBSTANCE』に収録されているステージがわずかではあるがプレイ可能。
[編集] 時間軸順
- メタルギアソリッド3(1964年)
- メタルギアソリッド ポータブル OPS(1970年)
- メタルギア(1995年)
- メタルギア2(1999年)
- メタルギアソリッド(2005年)
- メタルギアソリッド2(タンカー:2007年 プラント:2009年)
- メタルギアソリッド4 (前項のメタルギアソリッド2のプラント編の数年後)
なお、「ゴーストバベル」と「アシッド」シリーズは外伝であり、人物などに共通点はあるものの、ストーリーのつながりはない。
[編集] シリーズの推移
※ ここではプレーヤーが能動的にゲームに関与できるタイプの作品のみを取り上げ、作品設定集的な要素の強いものやデジタルコミック系作品は除外する。また、いわゆる“完全版”系の作品も除いた(“MGS1インテグラル”など)。
- 1987年 第1作『メタルギア』発売
- MSX2用ゲームソフトとして発売。戦術核弾頭を装備した歩行戦車「メタルギア」を発見・破壊するために送り込まれた主人公のスパイ・「ソリッド・スネーク」の活躍を描く。敵に見つからずに潜入するという、それまでにない斬新なコンセプトが好評を博す。この作品は同年ファミリーコンピュータにも移植され、さらにユーザー数を伸ばした。
- 1990年 第2作『メタルギア2 ソリッドスネーク』発表
- コナミMSX2の最終リリース作品となった本作はコナミがMSXで蓄積した技術を結集。ストーリー上でも、MSXというハード史上でも一つの区切りとなった。メタルギアシリーズはここでひとまずの決着を見る。
- 参考・『メタルギア』から『メタルギアソリッド』シリーズ発売まで
- 旧『メタルギア』シリーズと前後して発売された小島監督の作品『スナッチャー』には、本シリーズのメカ的主人公といえる歩行戦車「メタルギア」が相当なダウンサイジング(もちろん核兵器非搭載)をされた上で、『スナッチャー』主人公をサポートする自律型ロボット「メタル・ギアmk-II」として登場した。また、その後の小島作品にも大なり小なりメタルギアに関連するキャラクター・小ネタが登場した。(『MGS1』のヒロイン・メリルは元々『ポリスノーツ』が初出演。ただしMGSのメリルとポリスノーツのメリルは一応別人という事になっている)
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- ※ 『メタルギア2 ソリッドスネーク』にも、『スナッチャー』に関連する人物として、「ペトロヴィッチ」が登場する。
- 1998年 第3作『メタルギアソリッド』(MGS1)発売
- “敵から逃れ、潜入する”という基本コンセプトはそのままにグラフィックを完全3D化し、プレイステーション用ソフトとして発売される。単純な戦争ものに終始していない点やストーリーを盛り上げる演出により、この作品は大反響を呼び『メタルギアソリッドシリーズ』(MGSシリーズ)の先駆けとなる。先述の通り全世界で600万本のセールスを売り上げた。
- 2000年 第4作『メタルギア ゴーストバベル』発売
- シリーズ唯一のゲームボーイカラー専用ソフト。内容的には、旧MSX版『メタルギア』『メタルギア2 ソリッドスネーク』を模した様な2Dデザインを採用。ゲームボーイの作品としてはかなりの完成度を誇った。ストーリー的にはMGSシリーズを元にしたパラレルワールド的なものとして独立した一個の作品として成立しており、その後も他作品との関連は特に無い。
- 2001年 シリーズ第5作『メタルギアソリッド2 サンズオブリバティ』発売
- プレイステーション2(PS2)用ソフトとしてグラフィックを大幅にグレードアップして発売。『MGS1』のシステムを元に更なる改良、新システムを搭載。ストーリー的には難解な点が目立ち、プレーヤーを翻弄したが、操作システムは好評だった。全世界で約500万本のセールスを記録、本作発売後にアメリカではスパイを題材にしたものが一時的に増えている。
- このときにサブスタンスが発売されたとのこと サブスタンスのPC,XBOX版は米国で2002年3月21日発売
- 2004年 『メタルギアソリッド ツインスネークス』発売
- ニンテンドーゲームキューブ用ソフトとして発売。『MGS1』をベースに『MGS2』のシステムを導入、ムービー演出に映画監督北村龍平の演出を導入するなど数々の要素を入れてリメイク。
- 同年12月 『メタルギアソリッド3 スネークイーター』(MGS3)/『メタルギア アシッド』(AC!D)発売
- 『MGS3』は当時『MGS三部作シリーズ』完結作と銘打ちPS2で発売、ソリッド・スネークではない“最古のスネーク”、ネイキッド・スネークを主人公に据え、メタルギアシリーズの原点ともいうべきストーリーが語られた。
- 『AC!D』はプレイステーションポータブル(PSP)用ソフトとして発売。カードバトル要素を取り入れ、『MGS』シリーズとは違う新機軸を打ち出す。『AC!D』は翌年に続編「METAL GEAR AC!D2」が発売された。
- 2006年 『MGSシリーズ』最新作『メタルギアソリッド4 ガンズ オブ ザ パトリオット』(PS3用ソフト・2007年発売予定)及び『メタルギアソリッド ポータブル OPS』|(PSP用ソフト・2006年冬発売予定)の制作が正式に発表された。
[編集] メタルギア
メタルギア | |
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ジャンル | タクティカルエスピオナージアクション |
対応機種 | MSX2 ファミリーコンピュータ 携帯電話 |
発売元 | コナミ |
人数 | 1人 |
メディア | MSX2用カートリッジ FC用カートリッジ 携帯アプリ |
発売日 | 1987年7月13日 FC版:1987年12月22日 携帯電話版:2004年8月18日 |
その他 | MGS3 SISにもリメイクが収録 |
1987年7月13日にMSX2用として発売されたゲーム。メタルギアシリーズの原点である。グラディウスシリーズと並び、当時のMSXゲーム市場でコナミがトップメーカーとしての確固たる地位を築き上げた要因となったソフトである。
2005年12月22日発売のプレイステーション2用ソフト『メタルギアソリッド3 サブシスタンス』の付録として移植版が収録されている。また、2004年3月11日発売のメタルギアソリッド ザツインスネークスの限定版にもGCの移植版が添付されている。
また、コナミのグループ会社が運営するポータルサイト・i-revoのゲームソフト配信サービスにおいてMSX版が供給され、専用エミュレーターによってWindowsパソコン上でプレイすることが出来る。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
南アフリカ奥地の軍事国家「アウターヘブン」(OUTER HEAVEN)で、軍事史を変えてしまうほどの恐るべき兵器が開発されているという情報が伝わってきた。この「謎の兵器」の実態を掴むべく、ハイテク特殊部隊「フォックスハウンド」(FOXHOUND)に出動を要請した。
総司令官のビッグ・ボスはこれに対し、部隊の中でもっとも優秀な兵士、グレイ・フォックスを派遣。しかし数日後、調査を行っていたグレイ・フォックスは「メタルギア…」と言う謎のメッセージを残し、消息を絶ってしまった。
政府は再度「フォックスハウンド」に出動を要請。ビッグボスは今度は新入隊員ソリッド・スネークを指名し、彼に全てを託した。彼に課せられた任務は、アウターへブンに潜入し、行方不明となったグレイ・フォックスを捜索。彼から情報を得て、最終兵器「メタルギア」を破壊することだった。
[編集] システム
- 見つからずに潜入するという点では他のメタルギアの名を冠する作品と同じだが本作とメタルギア2では敵の視界範囲が後の作品と違い真正面のみであること。
- 本作にしかない要素としては、ランクシステムが存在、これはマップのどこかにいる捕虜と接触することにより徐々に上昇していき、最大レベルに到達すると特定の部屋でロケットランチャーが入手できるというもので、クリアーするうえで必須の条件となっている。(これがないと、倒せない敵がいるため)
[編集] 主なキャラクター
- ソリッド・スネーク
- 優れた身体能力・頭脳を持つ新人FOXHOUND隊員。行方不明となったグレイ・フォックスの探索とメタルギアの正体をつかむことを目的に単身、アウターヘヴンに潜入する。後の作品で明らかになるが、実はビッグボスの遺伝子を用いたクローンであるという事実がある。
- グレイ・フォックス(本名 : フランク・イェーガー)
- FOXHOUND隊員のうち最も優秀な者のみに与えられる称号「FOX」を持つ男。アウターへヴンではソリッド・スネークより先に潜入、メタルギアの情報をつかんだ後、敵の捕虜となる。後に潜入してきたソリッド・スネークにより助けられる。ソリッド・スネークにメタルギアの情報を伝えソリッド・スネークをサポートする。
- ドラゴ・ペトロヴィッチ・マッドナー
メタルギアの開発者。これが理由で、アウターヘブンの捕虜となる。
- エレン・マッドナー
ペトロヴィッチ博士の娘。共にとらわれていた。
- カイル・シュナイダー
- ジェニファー
- ダイアン
- シュート・ガンナー
- マシンガン・キッド
- アーノルド
- ファイヤー・トルーパー
- カワード・ダッグ
[編集] ファミコン版メタルギア
MSX版が発売され好評を博していたメタルギアは、より大きな市場での展開を目指してファミリーコンピュータ(ファミコン)への移植が決定し、原作者である小島秀夫の手の届かぬところで、ファミコン専業チームによって粛々と開発された。完成したファミコン版は結果的に、潜入方法も敵の配置もマップもほとんど原作と異なり、しかも肝心のメタルギアが出てこないという、原作MSX版とは似て非なるものに変貌した。難易度などはメチャクチャなものとなってしまった。
過去の東京ゲームショウのMGS1発売前トークショーにて小島は「あれはやらないで下さい」と冗談まじりで話しており、挙句の果てにはラジオで「ボクが携っていないファミコン版メタルギアは糞ですよ、糞」と発言したことさえある。
しかし、このファミコン(日本国外ではNintendo Entertainment System=NES)版メタルギアは北米で大ヒットとなり、その結果北米向けに、NES版だけのオリジナルの続編「Snake's Revenge」(スネークズ・リベンジ)が制作されることになった。開発は日本で行われたが、こちらの作品にも、小島は一切関与していない。
後に小島は「Snake's Revenge」の開発に関わったかつての同僚との会話の中で「小島秀夫が作るメタルギア2を見たい」との熱い思いを受け取ることになる。彼はその直後に一気に企画書を書き上げ、それが後日「メタルギア2 ソリッドスネーク」として世に送り出されることになった。小島はFC版については触れる事はないが、前述の通りこれなくしてはメタルギアは広まることはなかった。その意味では、シリーズにおいて欠かせない存在である。
[編集] 備考
ここでは、メタルギアシリーズ全体の備考を記す。
- そもそも「隠れながら進む」というシステムは、MSX時代の技術面での制限の名残である。ハード自体の制約(スプライトの表示制限)により、プレイヤーともう一人(敵兵)、さらに飛び交う銃弾などを加えると表示できないという事がおこった。しかし、そこから当時「戦争ゲーム」を作りたいと考えていた小島は、「敵との戦闘を極力避ける」という画期的なシステムを考えついたのである。また「アイテムは現地調達」というお約束も、「これは敵と極力戦わないようにするゲームです」とプレイヤーに分からせる意図があった。
- ゲーム作品中において主人公(ソリッド・スネーク、及び雷電)が敵の目から逃れるために段ボール箱をかぶることなどから、「どこかの段ボール箱を被った工作員」などと、他媒体で暗喩的に用いられる場合も多い(まるで「女たらしのMI-6の中佐」などと暗喩される007の如く)。ちなみに、この場合「工作員」とは雷電ではなく、スネークのことを指すことが大半となる。ちなみにダンボールを被るという行動は、安部公房著の「箱男」のオマージュになっている。
- メタルギアソリッド1では「性欲をもてあます」というセリフが監獄のシーン付近で聞ける。これを元ネタとした、下ネタパロディflash動画の "Mad Gear Solid" やそれに倣った「性欲MAD」がメーカーの許諾なしに公開され、ひそかな人気を博していた。現在は著作権上の問題から公開停止されている。
- ソリッド・スネークの本名は「デビッド」、オタコンの本名は「ハル」。スネークが「まるで木星に行けそうなコンビだな。」と語るが、これは2001年宇宙の旅から来ている(船長が「デビッド・ボウマン」、コンピュータが「HAL9000」、そして目的地が木星。)。余談だが、小島組の次回作となったZ.O.Eは、木星軌道上に浮かぶコロニーが舞台である。
- Wii用ソフト大乱闘スマッシュブラザーズX(任天堂)にはスネークがプレーヤーキャラとして参戦する。メタルギアシリーズは他作品からキャラを借りてコラボレーションすることは多いが、他社の作品にキャラを貸し出すのは珍しい。(前例としてはサルゲッチュ3(SCEI)がある。またコナミが制作に参加したドリームミックスTV ワールドファイターズにも参加している。)
[編集] 関連項目
- 核兵器
- 新川洋司 - シリーズにおけるキャラクター及びメカニックのデザインを担当
- 北村龍平 - 『メタルギアソリッド ツインスネーク』のポリゴンデモパートの演出を担当
- 小島秀夫 (ゲームデザイナー)
- コナミ
- 自由の息子達 - アメリカ独立戦争以前の史実。愛国者(Patriot)が自由の息子達(Sons of Liberty)と名乗った。
- beatmania - 『メタルギアソリッド』のメインテーマのリミックス曲が『beatmania 3rdmix』に収録されており、リリースが終了したにもかかわらず未だ人気が高い曲でもある。