ヘプ

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ヘプの位置

ヘプ（Cheb）はチェコの都市。ドイツ語ではエーガー、エゲル（Eger）。人口は約3万3千人（2005年）。

[編集] 地勢・産業

街の風景

ドイツ国境に近い。中世よりバイエルンからベーメン（ボヘミア）地方へと移動する中継地点としての役割を果たし、交易などを通じて栄えた。現在は木材、自転車工業などが盛んなほか、多くの観光客も集める。とりわけ、2004年にチェコがEUに加盟したことは、隣国ドイツからの観光客を増加させることに大きく寄与した。近隣の都市としては、約25キロ南東のマリアーンスケー・ラーズニェ、40キロ北東のカルロヴィ・ヴァリ、40キロ北西のホーフ（ドイツ領）などが挙げられる。

[編集] 歴史

ヘプは11世紀後半より史料に現れる（当時の表記はEgire）。12世紀には、神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世のもとで、ヘプ城が建てられている。13世紀に帝国自由都市としての地位を手に入れた。14世紀半ば、カレル1世（神聖ローマ皇帝カール4世）によって貨幣鋳造権が認められた。通商路の中継地に位置していたため商業が盛んだったが、幾度となく戦禍にもさらされた。また、1389年におけるエーガーのラントフリーデ（エーガーのラント平和令）や、1459年のエーガー条約など、ヘプ（エーガー）において諸侯間の重要な取り決めが結ばれた。とりわけ後者では、ベーメン王国とザクセン公国の勢力範囲を確定させている。

ヴァレンシュタインの暗殺

15世紀前半のフス戦争、17世紀前半の三十年戦争で深刻な被害を受けるが、そのつど復興を果たした。また、三十年戦争において皇帝側で戦ったヴァレンシュタインは、皇帝の不信を招いてこの地で暗殺された。

第一次世界大戦後、ヘプはチェコスロヴァキアの一部となった。街の多くを占めるドイツ系住民（当時、街におけるチェコ系の住民は1割程度）は、この措置に不満を持った。そのことが、ヘプを含むズデーテン地方におけるドイツ系住民のナチス支持へとつながった。1938年、ナチスはズデーテン地方を併合したため、ヘプはドイツ領となった。

第二次世界大戦の被害は限定的であった。それゆえに歴史的建造物が比較的良く保存されたことは、ヘプにとって幸いであった。第二次世界大戦後は再びチェコスロヴァキアの領土に戻ったが、その際にドイツ系住民が強制追放によってヘプを追われた。そのため、街の風景はドイツ風だが、ドイツ系住民の数は大幅に減少した。終戦時に約4万5千人いた人口は、この強制追放によって1万5千人程度にまで減少している。1993年におけるチェコとスロヴァキアの分離にともなって、チェコ領の都市となった。